勝手に鑑定「赤3条特急券」

昭和26年11月から昭和40年10月までの14年間は、「特急券と言えば赤3条」の時代。140年足らずの日本の鉄道史からすれば、僅かな期間だけれども、当時若かりし chabin にとって、その印象は実に強烈だった。普通急行券や準急行券と違って、全車座席指定の特急券には、列車の名前が必ず記載されているので、乗車した特急がすぐに分かる逸品! 父の土産の赤3条特急券は大切な宝物だったのだ。特急券から赤3条が消えて、はや45年。往時を偲びながら、どんな特急列車が券面を飾っていたのか、chabin が自分勝手に鑑定してみました。名づけて「赤3条特急券チェックリスト」を どうぞ ご笑覧あれ。

1.赤斜線3条入り特急券(昭和26年11月1日〜昭和33年1月31日)

特急券に斜めの赤線が3条入るようになったのは昭和26年11月のこと。当時は特急の愛称ではなくて、列車番号が記載されていた。列車番号時代は、昭和33年1月末まで6年以上続いたという。この様式の特急券を飾った特急列車を下表に示す。鑑定対象は、列車番号印刷の常備特急券。星(★)の数は、独断と偏見と見た目による chabin のデタラメ鑑定結果。”?”は、発行されたかどうか 定かでないもの。

愛称 列車番号 運転期間 運転区間 鑑定結果
1等 2等 3等
つばめ 第1、第2 S25.1〜 東京←→大阪 ★★★★★ ★★
はと 第3、第4 S25.5〜 東京←→大阪 ★★★★★ ★★
かもめ 第5、第6 S28.3〜S36.9 京都←→博多 未発行 ★★★ ★★
あさかぜ 第7、第8 S31.11〜 東京←→博多 未発行 ★★★ ★★
さちかぜ 第9、第10 S32.10〜S33.9 東京←→長崎 未発行 ★★★★ ★★★
さくら(臨時) 第3001、第3004 S30.3〜S32.9 東京←→大阪 未発行 ★★★ ★★
さちかぜ(臨時) 第3009、第3010 S32.7〜S32.9 東京←→長崎 未発行
さくら(不定期) 第1001、第1004 S32.10〜S33.9 東京←→大阪 未発行 ★★★★ ★★★

2.列車愛称入り赤斜線3条特急券(昭和33年2月1日〜昭和33年9月30日)

発行期間 僅か8ヶ月という 特急券の中で最も短命だった様式。勝手に鑑定「特急展望車の切符」でも述べたように、列車名常備券は3等でも数が少なく貴重品。

愛称 運転期間 運転区間 鑑定結果
1等 2等 3等
つばめ S25.1〜 東京←→大阪 ★★★★★ ★★★ ★★
はと S25.5〜 東京←→大阪 ★★★★★ ★★★ ★★
かもめ S28.3〜S36.9 京都←→博多 未発行 ★★★★ ★★★
あさかぜ S31.11〜 東京←→博多 未発行 ★★★★ ★★★
さちかぜ S32.10〜S33.9 東京←→長崎 未発行
へいわ S33.10〜S34.7 東京←→長崎 未発行 ★★★★★ ★★★★★
はやぶさ S33.10〜 東京←→鹿児島 未発行 ★★★★ ★★★
はつかり S33.10〜 上野←→青森 未発行 ★★★★ ★★★
さくら(不定期) S32.10〜S33.9 東京←→大阪 未発行 ★★★★★ ★★★★

3.赤縦線3条特急券・3等級時代(昭和33年10月1日〜昭和35年6月30日)

昭和33年10月、赤線3条が斜めから縦に変わった。2等級制に移行するS35.7月まで発行されている。

愛称 運転期間 運転区間 鑑定結果
1等 2等 3等
つばめ S25.1〜 東京←→大阪 ★★★★★ ★★
はと S25.5〜 東京←→大阪 ★★★★★ ★★
かもめ S28.3〜S36.9 京都←→博多 未発行 ★★★ ★★
あさかぜ S31.11〜 東京←→博多 未発行 ★★★ ★★
へいわ S33.10〜S34.7 東京←→長崎 未発行 ★★★★★ ★★★★★
さくら S34.7〜 東京←→長崎 未発行 ★★★ ★★
はやぶさ S33.10〜 東京←→鹿児島 未発行 ★★★ ★★
はつかり S33.10〜 上野←→青森 未発行 ★★
第1こだま S33.11〜 東京←→大阪/神戸 未発行 ★★
第2こだま S33.11〜 東京←→大阪/神戸 未発行 ★★
第1つばめ S35.6〜 東京←→大阪/広島 未発行 ★★
第2つばめ S35.6〜 東京←→大阪/広島 未発行 ★★
ひびき(臨時) S34.11〜S36.5 東京←→大阪 未発行 ★★★ ★★

4.赤縦線3条特急券・2等級時代(昭和35年7月1日〜昭和40年9月30日)

2等級制に移行してから昭和40年10月までの間に発行された様式。昭和36年10月には特急の大増発があり、赤3条特急券を飾る列車が倍増した。昭和39年10月以降に新設された特急や、東海道新幹線開業に伴って山陽特急や北海道特急に愛称が流用された特急の赤3条常備券は、発行枚数が少ないらしい。

愛称 運転期間 運転区間 鑑定結果
1等 2等
第1こだま S33.11〜 東京←→大阪/神戸 ★★
第2こだま S33.11〜 東京←→大阪/神戸 ★★
第1つばめ S35.6〜 東京←→大阪/広島 ★★
第2つばめ S35.6〜 東京←→大阪/広島 ★★
第1富士 S36.10〜S39.9 東京←→大阪/神戸 ★★
第2富士 S36.10〜S39.9 東京←→大阪/神戸 ★★
はと S36.10〜S39.9 東京←→大阪 ★★
おおとり S36.10〜S39.9 東京←→名古屋 ★★
ひびき(臨時) S34.11〜S36.5 東京←→大阪 ★★★ ★★
ひびき S38.4〜S39.9 東京←→大阪 ★★★ ★★
第1ひびき(不定期) S36.10〜S38.4 東京←→大阪 ★★★★ ★★
第2ひびき(不定期) S36.10〜S39.9 東京←→大阪 ★★★ ★★
あさかぜ S31.11〜 東京←→博多 ★★★ ★★
さくら S34.7〜 東京←→長崎 ★★★ ★★
はやぶさ S33.10〜 東京←→鹿児島 ★★★ ★★
みずほ(不定期) S36.10〜S37.9 東京←→熊本 ★★★ ★★
みずほ S37.10〜 東京←→熊本/大分 ★★★ ★★
かもめ S36.10〜 京都←→長崎/宮崎 ★★★ ★★
うずしお S36.10〜 大阪←→宇野 ★★★
みどり S36.10〜 大阪←→博多 ★★★ ★★
へいわ S36.10〜S37.6 大阪←→広島 ★★★★★ ★★★★★
はつかり S33.10〜 上野←→青森 ★★★
ひばり(不定期) S36.10〜S38.9 上野←→仙台 ★★★★ ★★
ひばり S38.10〜 上野←→仙台 ★★★★ ★★
つばさ S36.10〜 上野←→秋田/盛岡 ★★★★ ★★
白鳥 S36.10〜 大阪←→上野/青森 ★★
まつかぜ S36.10〜 京都←→松江 ★★★ ★★
おおぞら S36.10〜 函館←→旭川/釧路 ★★★ ★★
とき S37.6〜S40.3 上野←→新潟 ★★★★ ★★
富士 S39.10〜 東京←→大分 ★★★★ ★★★
つばめ S39.10〜 新大阪←→博多 ★★★★ ★★★
はと S39.10〜 新大阪←→博多 ★★★★ ★★★
しおじ S39.10〜 新大阪←→下関 ★★★★ ★★★
ゆうなぎ S39.10〜 新大阪←→宇野 ★★★★ ★★★
やまばと S39.10〜 上野←→山形 ★★★★ ★★★
はくつる S39.10〜 上野←→青森 ★★★★ ★★★
第1とき S40.3〜 上野←→新潟 ★★★★ ★★★
第2とき S40.3〜 上野←→新潟 ★★★★ ★★★
おおとり S39.10〜 函館←→網走/釧路 ★★★★ ★★★
しらさぎ S39.12〜 名古屋←→富山 ★★★★ ★★
雷鳥 S39.12〜 大阪←→富山 ★★★★ ★★★
くろしお S40.3〜 名古屋←→天王寺 ★★★★ ★★
あすか S40.3〜 名古屋←→東和歌山 ★★★★ ★★★

赤3条特急券の評価には、他にも 印刷場の違いによる様式差に着目した鑑定方法などがありますが、決定的なポイントは、やっぱり 券面に印刷された特急列車の名前のようですね。