釜石線・仙人峠駅 VS 橋場線・橋場駅 VS 大畑線・樺山駅

 戦前に開業し、戦中から昭和30年代前半にかけて廃止、無人化された東北地方の3駅。駅の統計情報を使えば、失われて50年以上が経過した幻の駅の赤線入場券発行枚数を定量的に推理できるんです。

(1)釜石線・仙人峠駅

駅名 入場料金(円)
S11 S12 S13 S14 S15 S16 S24* S25*
釜石線・仙人峠 11.8/1国有化、25.10/10廃止 18 47 21 10 6 6 7,082 1,580
*:S24、S25は旅客雑収入

 開業から昭和16年度末迄の間の入場料金合計は108円。5銭入場券にして約2100枚が発行されました。戦後の入場料金が不明なので、定量的な入場券発行枚数の鑑定はできませんが、かなりの旅客雑収入を計上していたことから、それなりの枚数の入場券が発行されたと考えてもおかしくないかも。

(2)橋場線・橋場駅

駅名 入場料金(円)
T11 T12 T13 T14 S1 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 S10 S11 S12 S13 S14 S15 S16 合計
橋場線・橋場 T11.7/15開業、19.10/1廃止 2 3 2 2 1 5 4 1 1 2 1 1 25

 開業から昭和16年度末迄の間の入場料金合計は25円(昭和2年度は入場料金の記録無し)。20年間に5銭入場券にして約500枚発行されました。年平均25枚ですから、終着駅としてはかなり不人気な駅だったようです。特に、S6〜16年度は、11年で5円(年平均9枚)しか売れませんでした。開業の年に40枚発行されていますが、そのうちの何枚かは開業初日に鉄の古老が購入したのかもね。

(3)大畑線・樺山駅

駅名 入場料金(円)
S14 S15 S16 S24* S25* S26* S27 S28 S29
大畑線・樺山 14.12/6開業、34.4/10無人 408 379 137 10 10 0
*:S24、S25、S26は旅客雑収入

 大畑線でS34年4月10日に無人化された駅は、樺山の他に、陸奥関根と正津川があります。樺山は最も不人気な駅だったらしく、戦前のS14年度からS16年度迄の入場料金は空位(50銭未満?)で、陸奥関根の11円や正津川の126円とは比べようもないほどチョー不人気な駅だったようです。この3年間の5銭券発行枚数は多くて30枚。戦後も、S27年度からS29年度迄の3年間に10円券は2枚しか発行されませんでした。それでも、東京競馬場前や安芸亀山のように、10円券の発行枚数がオールゼロの駅に比べれば、実に立派な記録です。もしかして、鉄の古老が愛蔵しているかもしれませんね。