可部線各駅の鑑定

 去年のネットツアー2009で鑑定できなかった可部線の途中駅。このたび、鉄道統計年報に昭和26年度から30年度までの可部線各駅の入場料記録を発見しましたので、あらためて、昭和40年代までに無人化されたと思われる駅の鑑定をやり直します(下表参照)。

駅名 入場料金(円) 残存10円券 備考
S26 S27 S28 S29 S30 印刷時期 発行日付 券番
三滝 37.10/1無人 0 0 0 70 180 広島2.5期 S37.1.8 不明 鉄道入場券図鑑
上八木 0 0 0 0 0
安芸亀山 45.11/1無人? 0 0 0 0
布 21.8/15開業、40.10/1無人 10 60 30 260 290 広島1期 S39.5.15 0187
安野 29.3/30開業、40.10/1無人 10 20 20
(参考)
安芸長束 0 70 40 50 70 広島2期 S39.4.7 0174
緑井 0 0 0 0 0
七軒茶屋 0 0 0 0 0
梅林 0 0 10 0 0 広島1期 S38.1.8 0021

(1)駅の無人化時期について

 上表及びS31〜S39年度の鉄道統計年報により、三滝駅、上八木駅、安芸亀山駅の無人化時期について、次のことが分かりました。

 @三滝駅は昭和37年度に無人化: S38年度・駅別旅客取扱収入表に 三滝の名前が見当たらないため。
 A上八木駅は昭和36年度に無人化:
 S37年度・駅別旅客取扱収入表に 上八木の名前が見当たらないため。
 B安芸亀山駅は昭和29年度末迄に無人化: S30年度・駅別旅客取扱収入表に 安芸亀山の名前が見当たらないため。

(2)赤線10円入場券の発行枚数について

 @三滝駅:安芸長束などの売れ方から考えて、100〜200枚程度が発行されたかも。
 A上八木駅:S26〜30年度迄はゼロ。S31〜33年度も旅客雑収入が極小なので、発行の可能性は非常に低いけれど、同じようにチョー不人気だった梅林(S26.4.1からS31.3.31間の発行枚数=1枚)が、S31.4.1からS38.1.8迄に19枚発行されていたことから、S35か36年度に数枚発行されたかもしれませんね。
 B安芸亀山駅:10円券の発行枚数はゼロ!
 C布駅:S39.5.15発行の券番が鉛筆チェック無しの0187なので、
  ・S26.11.1〜S31.3.31間の発行枚数=64〜65枚(約12枚/年)。
  ・S31.4.1〜S39.5.14間の発行枚数<122枚(約15枚/年)。
  ・S39.5.15〜40.10.1間の発行枚数は高々50枚かもね。
 D安野駅:おそらく、開業初日(S28.3.30)に広島印刷2期以降のA型10円券が1枚発行されたと考えられます。S31.4.1から無人化されるS40.10.1迄の間の発行枚数は、入場料金が記録されていないので定かでありませんが、梅林よりも旅客雑収入が少なかったので、梅林と同等か 少なかったのではと鑑定したくなる chabin でした。

(3)赤線5銭券の発行枚数について

 戦前の可部線はどうだったでしょう? 実は、他路線と異なり、可部駅以外は入場券はほとんど発行されませんでした(下表参照)

駅名 入場料金(円)
S11 S12 S13 S14 S15 S16
三滝 37.10/1無人
新庄橋 18.10/1廃止
安芸長束  
安芸山本 18.10/1廃止
下祗園
祗園 18.10/1廃止
古市橋 1 1 2
安 18.10/1廃止
緑井
七軒茶屋
七軒屋 18.10/1廃止
梅林
中八木 18.10/1廃止
上八木
安芸中島 18.10/1廃止
可部 6 24 26 15 29 17
安芸亀山 45.11/1無人?
安芸飯室 1

戦前の鉄道統計資料では、「本編各表の員数は凡て四捨五入の方法による、また一位は「・」減は「△」空位は「―」を以って之を表示せり」となっていて、この通りならば、「―」は45銭以下の数値と言うことなので、表に「―」で載っている駅では、その年度に1枚以上の入場券が発行されたことを否定はできません。従いまして、10円券は1枚も発行されなかった安芸亀山も、もしかして5銭券は発行されたかもね。