無人駅の入場券発売状況(近畿編)

開業以来無人または昭和41年頃迄に無人化された駅のうち、赤線入場券を販売していた可能性が高い近畿地方の駅をリストアップし、駅の無人化に関する文献資料の記述を一覧表にして以下に示す。

昭和41年頃迄に無人化された旅客駅など 鉄道入場券
図鑑
旅客事務用
鉄道路線図
鉄道統計年報 停車場変遷大事典他より 鑑定結果
S26 S27 S28
篠山線・篠山 47.3/1廃止 47.3/1廃止 有人 1307 2115 1430 ・33.11/1一般運輸営業(不集貨・不配)→旅客・小荷(不配)※ 39年頃迄、駅員配置?(★@)
篠山線・八上 47.3/1廃止 47.3/1廃止 有人 801 550 520 ・33.11/1一般運輸営業→旅客小荷及び貨物(不代引)※ 39年頃迄、駅員配置?(★@)
篠山線・丹波日置 47.3/1廃止 47.3/1廃止 無人 1479 1180 2290 ・33.11/1一般運輸営業→旅客 33.11/1無人(★@)
篠山線・村雲 47.3/1廃止 47.3/1廃止 有人 896 705 540 ・33.11/1一般運輸営業→旅客小荷及び貨物(不代引)※ 39年頃迄、駅員配置?(★@)
篠山線・福住 47.3/1廃止 47.3/1廃止 有人 1010 1326 1450 ・33.11/1一般運輸営業→一般運輸営業(不代引)※ 39年頃迄、駅員配置?(★@)
加古川線・滝 開業以来無人 無人 ・24.7/15手荷取扱廃止(後追い公示) 24.7/15無人?(★A)
加古川線・船町口 開業以来無人 無人 ・24.7/15手荷・小荷取扱廃止(後追い公示) 24.7/15無人?(★A)
高砂線・野口 34.5/1無人 無人 132 15 25 ・34.5/1旅客及び手荷(不配)→旅客 34.5/1無人
舞鶴線・北吸 47.11/1廃止 47.11/1廃止 無人 106 70 10 ・31.4/8手荷・小荷取扱廃止 31.4/8無人?(★B)
舞鶴線・中舞鶴 47.11/1廃止 47.11/1廃止 無人 3068 4530 5116 ・38.2/1旅客手荷小荷及び専車(不配)→旅客及び専車 38.2/1無人?(★B)
信楽線・雲井  37.5/1無人 無人 507 580 910 ・37.5/1旅客手荷及び手荷(不配)→旅客 37.5/1無人
紀勢本線・狗子ノ川 42.10/1廃止 42.10/1廃止 無人 ・9.7/1新宮鉄道買収、停留場→停車場 開業以来無人?(★C)
紀勢本線・紀伊天満  有人 1261 1370 991 ・37.2/1旅客手荷小荷・小口扱貨物(不集貨・不配)→旅客 37.2/1無人?(★D)
名松線・権現前 38.4/1無人 有人 572 280 211 ・38.4/1一般運輸営業(不代引)→旅客 38.4/1以降に無人化(★E)
名松線・伊勢八太 38.4/1無人 有人 107 170 75 ・38.4/1一般運輸営業(不代引)→旅客 38.4/1以降に無人化(★E)
名松線・井関 40.10/1無人 有人 47 75 105 ・40.10/1一般運輸営業(不代引)→旅客 40.10/1無人
名松線・伊勢大井 26.12/15無人 無人 0 ・26.12/15手荷・小荷取扱廃止 26.12/15無人
名松線・伊勢川口 40.10/1無人 有人 242 176 675 ・40.10/1一般運輸営業(不代引)→旅客 40.10/1無人
名松線・関ノ宮 26.12/15無人 無人 222 ・26.12/15手荷・小荷取扱廃止 26.12/15無人
名松線・伊勢鎌倉 26.12/15無人 無人 167 ・26.12/15手荷・小荷取扱廃止 26.12/15無人
名松線・比津 26.12/15無人 無人 5 ・26.12/15手荷・小荷取扱廃止 26.12/15無人
【凡例】
 旅客事務用鉄道路線図(1964年)に駅員無配置とされている駅を無人、その他を有人と記載。
 鉄道統計年報(昭和26年、昭和27年、昭和28年)の旅客雑収入金額(円)。
その他のおまけの駅
文献閲覧中に妙なデータが発見された近畿地方のその他の駅(関西本線・加美駅、三木線・国包駅)をどうぞ。
関西本線・加美 無人 駅員配置は39年以降か?(★F)
三木線・国包 48.10/1無人 無人 ・24.7/15手荷取扱廃止(後追い公示) 24.7/15以前に無人?(★G)
★@(篠山線各駅(篠山〜福住)):その他の東海道線で示したように、丹波日置を除く駅では、以下の理由から、34年以降も赤線入場券が売られた可能性は否定できない。
  a,昭和28年度迄、各駅には旅客雑収入が計上されており、出札業務を行っていた。また、33.10/31迄、貨物や荷物を取り扱う有人駅だった。
  b.丹波日置は33.11/1に旅客専用駅となり、その時(または、その1〜2年後に)、無人化されたと考えられる。
  c.文献上、その他の駅は廃止迄、貨物荷物取扱駅とされていること、また、39年時点で有人駅とされていることから、34年以降も赤線入場券が売られたかもね。
★A(加古川線・滝、船町口駅):24.7/15迄は手荷物や小荷物を取り扱う駅とされているが、後追い公示なので、それ以前に手荷小荷取扱が廃止され、無人化されたのかも? 
  播但鉄道買収時(S18年)、停留場から手荷物を取り扱う停車場に格上げされたけれども、間もなく無人化されたと思われる(入場券を発売していたかどうかは不明)。
★B(舞鶴線・北吸、中舞鶴駅):北吸は、旅客雑収入が極小のチョー不人気駅だったけれど、31.4/7迄は入場券を発売していたと考えるのが自然。中舞鶴は、38.1/31迄は
  手荷物・小荷物を取り扱う有人駅であり、26〜28年度の旅客雑収入が大きいことから、かなりの枚数の入場券が発行されたと考えるのが自然。
★C(紀勢本線・狗子ノ川駅):旅客事務用鉄道路線図(1964年)や日本国有鉄道編・停車場一覧(41.3/1現在)には旅客駅と記載されているが、それ以前に営業休止状態に
  なっていた可能性が高い。S25年からS37年頃迄の交通公社時刻表では、国鉄線路図には載っているのに、紀勢線の時刻表の方には駅名が載っていないからである。
  関係者には周知の事実かもしれないが、新宮鉄道買収当時からの無人駅で、戦前は営業していたものの、戦争中か戦後間もなく営業休止になったのかもしれない。
★D(紀勢本線・紀伊天満駅):37.2/1迄は貨物や荷物を取り扱う有人駅であり、鉄道統計年報にはそれなりの旅客雑収入が計上されているので、相当数の赤線入場券が
  発売されたと考えられる。鉄道入場券図鑑では無人駅とはなっていないし、旅客事務用鉄道路線図(1964年)でも有人駅となっているが、貨物荷物取扱廃止の1〜2年後に一旦は無人化
  されたのかも。
★E(名松線・権現前、伊勢八太駅):旅客雑収の少ない不人気駅ではあったけれど、38.3/31迄は一般運輸営業の立派な有人駅だったので、赤線入場券が発売されたのは
  間違いない。旅客事務用鉄道路線図(1964年)では有人駅とされているが、旅客専用駅となって間もなく無人化されたものと思われる(旅客事務用鉄道路線図には更新が遅れている部分
  が数箇所ある)。
★F(関西本線・加美駅):有人駅のはずなのに、鉄道統計年報には記載がなく、1964年の旅客事務用鉄道路線図には無人駅とされているのは、これ如何に? もしかして
  39年頃迄は無人駅だったかもよ( → 41年発行の赤線入場券は存在するので、41年には有人駅になっている)。
★G(三木線・国包駅):播但鉄道買収時(S18年)には、手荷物を取り扱う有人駅だったけれども、間もなく無人化されたと思われる(入場券を発売していたかどうかは不明)。