第5回 赤い切符がダイスキの巻

抑圧と格差と戦争を目指した戦前レジーム時代においては、自由と平等と平和を願う弱き平民は危険な思想家とされ、「アカ」と呼ばれて、お上から厳しい弾圧を受けたという。一方、鉄道切符については、お上は ことのほか「アカ」がお気に入りで、赤紙や赤線や赤字を使ったケバイ券を乱発したとか。





左の4枚はその代表例。とりわけ、下の2枚は、紙や字の色が 表も裏も マッカッカ!

明治維新でキリシタン解禁にはなったれど、現人神を信じない者は「アカ」とみなされ、お上から厳しい弾圧を受けた。戦前レジーム全盛期には、皇居遥拝が義務付けられたほどだから、神道以外の宗教は白い眼でみられ、ましてや 十字架、それも真っ赤なんて もってのほかとおもいきや、陸軍病院関係者の割引切符には、ななんと、マッカッカな十字架がっ!

戦前レジーム末期、鉄道は、皇軍の、皇軍による、皇軍のためのものになり、短距離旅行でさえ、乗車日が制限されるようになった(→乗車日指定乗車券)。また、座席指定の必要のない急行列車や普通列車への乗車も制限されるようになった(→列車指定券)。希少な切符として、今なお 大人気の列車指定券にも、「アカ」が入ったものが多い。左の縦型赤四字切符は、7月15日に新宿を出発する3本の列車のいずれかに乗車するために必要な切符らしい。風評によれば、アカ数字入り縦型列車指定券には、1から5まであるという。


敗戦から六十有余年、構造改革の御世にあって、「自由、平等、平和」の戦後レジームは今や風前の灯火。そのうちに、マッカッカな切符が発売されるかもよ。