「カメラの想い...after」



最初は君に嫉妬しました

僕より目が良く小さな君は

とても嬉しそうな主人に連れられて

部屋に入ってきました

そして今まで僕だけの思い出だった

部屋や雑貨や窓から見える景色を

次から次へと写していきました

しばらくたって主人は君を僕の後ろに置き

部屋を出て行きました

そしてどのくらい沈黙が続いたでしょう

君は口を開きました

「大きな背中ですね。」

僕は何も言えずただ黙っていました

その時息を切らした主人が帰ってきて

また君を手にとりました

そしていきなり僕の背中を写しました

主人は僕の目を見て言いました

「そういえば背中写すの初めてだったね」

主人はまた部屋を出て行きました

もう沈黙はありませんでした



「今写した僕の背中見せてくれる?」



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