interview vol.19  「リビングキッチン」  2009/06

キッチンを中心とした家づくりを提案されているそうですね?
倉田 

これまでは家の中心は家族が寛ぐリビングで、

  キッチンは作業空間として区切られているのが普通でした。
そういうものかと思っていました。
倉田 でも、本来キッチンは単なる作業スペースではなく、
  日常の食をまかなう重要な生活空間だと思うのです。
  料理自体がすでに楽しく創造的な行為で、
  出来るだけ家族と共同で進めたい作業だと思いますし、
  閉鎖空間で作るより明るく開放的な所で作った方が、
  美味しい料理が出来るのではないでしょうか。
  キッチンの窓をあえて公園に大きく向けたレストランなどもあります。
たしかに気持ち良さそうですね。
倉田 核家族化に加え共働き、子供の塾通いなど生活様式の多角化に伴い、
  家族が顔を合わせる機会も少なくなってきています。
  廊下や間仕切り越しの会話でなく、自然とキッチンに人が集まり、
  またそこに、人が時間を過ごせる場所があれば、
  少ない時間を有効に使って家族の係わり合いを深める事が出来るのではないでしょうか?
今の家は玄関入るとすぐ部屋なので子供の声すら聞けない事もあります。
倉田 オープンで自然な動線によって常に家族の気配が感じられる家が理想だと思います。
でもオープンキッチンだと、油が飛ぶのが気になります。
倉田 IHヒーターにすれば、油の飛散はかなり抑えられます。
あと片付けも苦手なんです。
倉田 物がいっぱいで狭いキッチンを更に狭く使うより、
  多少人目に付く事で何とかそこそこ片付けられれば、
  自分も気持ち良く使えるのではないでしょうか?
私の場合は、ちょっと勇気がいるかもしれません。
倉田 なかなか面積確保が難しい住宅事情の中で
  少しでも広く住みたいと考えるのは皆さん同じだと思いますが、
  キッチンとリビング、ダイニングが一部屋になれば、
  空間は思った以上に広々として開放感も得られます。
それは同感です。
倉田 また、機能が集中する所なので工事費も集中します、
  折角たくさん費用を掛けた所ですから是非見せたいですよね。
設計者にとってはデザインの腕の見せ所って事ですね?
倉田 もちろんそれもありますが、それぞれの家庭の個性が一番出る所になるでしょうね。
悪い方の個性が出ない事を祈ります。

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