interview vol.16  「木造住宅の耐震補強」  2008/08

近頃、各地で地震が起こっています。
倉田 1995年の阪神大震災以降、地震に対する関心も高まって来ました。
私の家は築30年の古い木造住宅なのですが大丈夫でしょうか?
倉田 1978年の宮城県沖地震を受けて、
  1981年6月に建築基準法の耐震基準が大幅に見直されました。
  それ以前の建物は、大地震に対する耐震性はかなり低いと言えます。
では、私の家は大地震が来ると真っ先に潰れるのですね。
倉田 一概にそうとは言えませんが倒壊の可能性は高いかもしれません。
  大地震で倒壊しやすい建物は、
  南面が全て窓になっていたり、道路側が店舗や車庫などで壁が全くないなど、
  耐震上有効な壁が少なかったり、バランスよく配置されていない建物で、
  更に屋根が瓦などの重い材料で葺かれていると下階に負担が多くかかって不利です。
そう言えば南側は縁側になっていて壁がなかったような気がします、
  早く建て替えた方がいいのでしょうか?
倉田 木造住宅の場合、比較的簡単に耐震補強が行えますので、
  まずは耐震診断をするのがいいと思います。
  そうすれば、どのぐらい耐震性が足りないか、
  また、どの箇所が特に弱いか、
  そして、補強をするとどのぐらい費用が掛かるかもおおまかに分かります。
すごく費用が掛かりそうですね、建て替えた方が安いかも。
倉田 建物の規模や耐震性の程度にもよりますがだいたい200万円前後で可能です。
意外に安いのですね、実際にはどうやって補強するのですか?
倉田 壁を剥がして筋交いという斜めの木材を入れ金物で固定したり、
  合板を張って横揺れに対する耐力を高めます、
  その後、改めて仕上げを施すので、完了後には目に見えません、
  ただ、全く壁のない窓面などは一部窓を潰して壁にしなければなりませんが。
私の家の南面も雨戸とか押入れ部分の壁ならあったと思いますが。
倉田 それなら折角の窓を潰す必要はないかもしれません、
  また屋根を瓦から金属板葺きにすると建物が軽くなるので耐震性が上がります。
  そう言えば2階は大雨が降ると雨漏れするのです。
  それなら屋根の葺き替えを検討してもいいかも知れません。
そういった工事は住みながらでも出来るのでしょうか?
倉田 ほとんどケースで住みながら行っています、極力生活を阻害しない方法で計画しますし。
実際には何処に工事を頼めばいいのでしょうか?
倉田 まず自治体の行っている耐震診断を受けて、
  その流れに沿って施工会社選定へと進めるのがベストだと思います。
  診断が無料だったり、補強工事費用の一部を助成している所も多くあります。
飛び込みで営業に来る工務店もありますが?
倉田 近所でよく知っている所なら信頼は出来るでしょうが、
  知らない所なら不安ですね、話を聞くだけでなく、よく調べた方がいいと思います。
じゃあ、さっそく役所に電話してみます。
倉田 あと、地震を念頭に置いた生活も必要です。
倉田 生活スペースのまわりに背の高い家具を置いたりしていませんか?
  いざという時の非難経路は確保されていますか?
  2階を納戸代わりにして重い本などをたくさん収納して、
  その下の1階で寝起きしていたりするとなると、
  頭の上に凶器を乗せて生活しているようなものです。
なるほど、電話が終わったら大掃除を始めたほうがよさそうです!

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