質問1
Q | ホオジロザメというサメの中には、オットセイを狩る際に空中へ飛び上がるものがいるそうですが、これは主に南アフリカで見られる光景であるという話を聞きました。これって本当ですか? |
A | 本当です。 |
質問2
Q | サメの歯は抜け替わるというのは有名な話ですが、現在使われている歯、いわゆる「機能歯」の後ろに常に次の歯が用意されているということを最近知りました。これも本当ですよね? |
A | 全くその通りです。 |
質問3
Q | サメは漢字で「鮫」と書きますが、交尾をする特徴からこういう漢字になったそうですね。 |
A | ええ。 |
質問4
Q | 「サメ」と呼ばれるようになった理由には幾つかの説があり、夜になると目を「覚ます」からサメ、あるいは目が小さく細いという特徴から「狭目」、「狭眼」という言葉に由来したとも言われています。知ってました? |
A | 知っています。 |
質問5
Q | 北極付近の寒い海にもサメは生息していて、中でも7mに達するほどの大型のサメ、「オンデンザメ」がその代表格です。 |
A | なるほど。 |
質問6
Q | 日本では「サメ」以外にも地方によって「鱶(フカ)」や「鰐(ワニ)」などの呼び名があるんですけど、あなたは何と呼んでいますか。 |
A | サメです。 |
質問7
Q | この「フカ」という呼び名について面白い話があるのですが、来日したアメリカの研究者がサメとフカを全く別の生物であると勘違いしてフカの研究に乗り出そうとしたというのです。どうです、面白いでしょう? |
A | 傑作ですね。 |
質問8
Q | 僕の話は退屈ですか? |
A | とんでもない。 |
質問9
Q | サメが血の匂いを嗅ぎつける能力に優れているのはご存知だと思います。一滴の血や体液を100万倍以上に薄めても嗅ぎつけてしまうそうですよ。想像してみてください。あなたがちょっとしたかすり傷を負ったまま海に入っただけで彼らはやって来てしまうんですよ。 |
A | 身の縮む思いがします。 |
質問10
Q | 僕はあなたをそんなサメがうようよいるこの海に突き飛ばすことだって出来ます。いや、権利を持っています。そして、あなたにはその罰を受けるだけの罪があります。僕の言わんとするところは分かりますか? |
A | 分かります。 |
質問11
Q | あなたが僕の研究内容を盗作したのは、関係者の間ではもはや周知の事実です。どう弁解なさるおつもりですか? |
A | 申し訳ないと思っています。 |
質問12
Q | 僕がコツコツ今まで積み上げてきた成果をあなたは横からかっさらいました。あなたにこの僕の気持ちが分かりますか? |
A | 分かります。 |
質問13
Q | ならば、何故そのことを告白しなかったのですか? |
A | 地位や名誉が惜しかったからです。 |
質問14
Q | サメは好きですか? |
A | もちろんです。 |
質問15
Q | 今後もサメの研究を続けたいですか? |
A | もちろんです。 |
質問16
Q | あなたにその資格があると思いますか? |
A | ないと思います。 |
質問17
Q | 僕は、かつての師の過ちを自ら告発することは望みません。今日の研究報告会の席で、あなた自身の口から言ってほしいのです。お願いできますか? |
Q | もう一回おっしゃって頂けますか? |
Q | 今日の研究報告会の席で、あなたの口で、僕の研究論文を盗作したことを認めて頂きたいのです。お願いできますか? |
Q | このわしがですか? |
A | そうです。 |
A | わしはもう老いぼれです。 |
Q | 答えになっていません。Q&Aですからきちんとアンサーしてもらえませんか? |
A | 老いぼれですから横文字は分かりません。 |
質問18
Q | 今日は、少年誌で「サメへの疑問Q&A」という企画があるから回答者をやってくれという依頼があったので、この老体に鞭打って来たのですが。 |
A | あなたを騙したのです。こうでもしないとあなたは僕と会おうとはしなかったでしょうから。 |
質問19
Q | 老人を騙して楽しいですか? |
A | 僕も本当はこんなことはしたくなかったのです。ですが、いつまでたってもあなたは口を閉ざしたままでおられたから、やむを得ませんでした。 |
質問20
Q | 僕はもう行かなくてはなりません。最後にお聞きしますが、研究報告会の件、了承していただけますか? |
A | ザブーン。 |
21分後
Q | 先生、先生!息をしてください! |
A | もちろんです。 |