フレンドリー大冒険第三話

 

 ジェイクが逮捕された。ハリーがそれを知ったのは、7月の第三日曜日の事だった。事件の全容は次の通りだ。

 事件があったのは水曜日。場所は川沿いのヒマワリ畑。ジェイクはべスティ・ドゥと、散歩に来ていた。自分の話をべスティにことごとく無視され続けていたジェイクは確実にイラついていた。

 「5分くらい黙っていてほしいんだ。」

 このべスティの一言で、ジェイクの怒りは頂点に達した。後から思い返してみれば、夏の暑さもそれを後押ししていたのかもしれない。

 ジェイクはそばに生えていたヒマワリを引きぬくと、それを使ってべスティをメッタ打ちにしたのである。のちに、ジェイクは「ヒマワリが俺を呼んでいた気がする。黄色がやけに鮮やかすぎたのを強烈に覚えている。」と洩らしている。

 べスティはこの仕打ちに対して全く無抵抗だったという。彼はその時の様子を「思った以上に茎がフニャフニャだから、ジェイクは殴りづらそうだった。それがおかしくて。」と語っている。

 このべスティの言葉にもあるように、茎がフニャフニャだったこともあって、彼は無傷で済んだ。しかし、ジェイクが殺意のあった事を認めたため、「殺人未遂」で逮捕された。

 この事件を聞いてハリーが疑問を持ったのは、ジェイクが現行犯で逮捕されたという点である。なぜ、そんな場所に警察官がいたのだろうか。この事件の裏にブラウジーニ女王が関わっているのではないかという、根拠のない不安がハリーの頭に広がっていった。

 仲間にまで危険が迫っている事に強い不安を感じた。早めに動き出さなければならない。

 「相手は一国の女王かぁ・・。大変な戦いになるな。」

 ハリーはボブの言葉を思い出し、薄く笑った。確かに大変な戦いだ。そして、もうすでに始まっているだ。

 ハリーは意味も無く街へ駆け出していった。