ブラウジーニ

 

 僕は買い物をしようと、原宿を歩いていた。時刻は確か、14時くらいだったと思う。僕は、背の高いアメリカ人に声をかけられた。いや、声をかけられたというより、むなぐらをつかまれてたった一言言われただけなのだけど。

 「ブラウジーニ!」

 その日以来、僕の頭にはその言葉がずっとこびりついている。そういえば幼い頃、母が僕のためにオリジナルソングを作り、寝る前に子守唄として歌ってくれていた。たしかね、こんな歌詞だった。

 ブラウジーニ ブラウジーニ あなたはブラウジーニ 生まれた時からすでにブラウジーニなの やめちまえ やめちまえ 人間なんか 生まれた時から ブラウジーニなのだから そして おやすみ ブラウジーニボーイ もっと空気を読むべきな ボーイ

 なぜかこの歌を今でも良く覚えている。母は、とても優しい人だった。
 僕は今年、24歳になる。そして、いまだにこの言葉の謎は解けていない。英和辞典にも載っていなかった。だが、この謎の言葉が今の僕を支えてくれている。この言葉の意味が分かるまでは死ねないと思うからだ。

 ああ、そうそう。僕はものすごい太っています。やせる気もないんだ。

 じゃあ、バイバイ。


ファットボーイにサヨナラ