海へ山へ  





                                                   

〜 山歩きのすすめ 〜 

 山歩きはいいですよぉ。疲れるだけ?いえいえとんでもない。大自然の中を自分の足で歩く楽しみは、行ってみないとわかりません。

森の香り、おいしい空気、可憐で美しい花々、清流の調べと鳥の声。満天の星空と息をのむ御来光。ダイナミックな大地と風。大展望と眼下の雲、そして抜けるような青空・・・。
たとえあいにくの悪天候でも雨は雨なりの自然の美しさがあって、植物は生き生きとしているし、霧や雲は幻想的です。時には自然の怖さと厳しさも身をもって感じ、地球ってすごい!と思ってしまいます。

騙されたと思って是非一度行ってみて!はまること間違いなしです。山は雑多な日常とはまるで違う世界です。それに山で出会う人々は、自然を愛する素敵な方ばかりです。(邪心や雑念を下界に置いてきている、とも言えるのかも・・・。) なんと言っても、山で食べるお弁当はこの上なくおいしいです。澄み切った冷たい空気の中で、御来光を見つめながら飲むコーヒーやホットココアも最高!

 一歩一歩大地を踏みしめて歩いていると、自分は地球の一部なんだなぁ、という感じがします。私にとって山歩きは、自己の内面を省みる絶好の機会です。不満の原因は自分自身にあるのに、他人のせいにしてしまっていること。やってみる前から出来ないと思いこんでいること・・・。日常生活の不満を大自然の中で省みると、日々の悩みは本当に小さな些細なことだと気がつきます。

足下を見ると、厳しい環境にもかかわらず小さなかわいい花がたくましく咲いています。あなたももっと自分らしさを表現してごらんなさい、と話しかけてくるようです。

 夜、星座がわからない程に星が輝く空を見上げると、地球が広大な宇宙の一部であることに気がつきます。果てしない宇宙の中の地球という星の今ここにいる自分自身の存在がとても愛おしくなります。私は大きな大きな全体の中のほんの一部にすぎないんだな・・・と感じます。

宇宙の時間からすれば、私たちの過ごす時間は瞬く間です。なのに、こんなにも悩んだり、苦しんだり、笑ったり・・・。わずかな時間だからこそ、何かしたい。山に登るとき少しずつでも足を前進させれば、やがて目的地に到着するように、人生においても亀の歩みでもいいから前進し続けたいと願っています。あせらずゆっくり一歩一歩。立ち止まってばかりでは夢はいつまでたっても夢のままです。

(2000/11)

鏡平から槍ヶ岳を望む 1999.10

この日、日が暮れてまもなく槍ヶ岳の右横から大きな満月が顔を出し始めました。

白く輝く光が暗闇から静かに顔を現してくる瞬間の美しさといったら、もうっ・・・。

みな、靴を履くのもそこそこに山小屋から飛び出し、東の空に釘付けです。

辺りは厳粛な空気に包まれました。

私は息をのんで・・そしてため息。素敵な光景を見ました。

    

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