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いざ3,000m級へ  夏山登山へのいざない 超!入門

山登りぃ?疲れるからヤダ、と思っているそこの若いあなた!山を中高年の方々だけの楽しみにしておくのはもったいない!彼女彼氏を誘って行ってみませんか?二人の絆が深まること間違いなしです。(・・・多分。大自然の中では、人の本質が見えてくるように思います。意外な発見があるかも。)
ここでは山小屋泊まりでラクラク登山?を前提に書いています。初心者向けの山の本がたくさん出ています。これを読んでみて、いけそう!と思ったら詳しくは専門書を参考にしてね。                                    (このページは2000年に書いた記事です。)

1.山用具を揃える
2.夏に向けて登山の計画を立てる
3.山小屋の常識
4.荷造りと山でおいしいおやつ
5.山での歩き方
6.いつまでも美しい山であるために

 

 

 

 

 

 

雲海の仙丈岳稜線 1997.8
雲の上を歩くのは爽快です。稜線をアリンコのように登山者が歩いているの、わかりますか?


1.山用具を揃える

最近は種類も豊富な山用品。その中でも妥協してはいけない三種の神器?それは登山靴、ザック、レインウェアーです。外見よりも機能性、フィット感、目的に合ったものを選びましょう。

靴は山用の厚い靴下をはいて、じっくり選びます。山へ行く前に履き慣らしましょう。

失敗しやすいのがザックです。必ず本人が背負ってみて、体型に合ったものを選びましょう。(中に重いものを入れた状態で背負わせてもらうと完璧!)ベルトの調節の方法が正しくないと、疲労の度合いも変わってきます。お店の人にアドバイスしてもらいましょう。ウエストベルトは腰骨の上、チェストストラップは鎖骨の下3cmにくるようにして、体になじむか試してみます。容量は山行きの形態に合ったものを。自分が長時間背負える荷物の大きさも考えてみましょうね。雨に備えてザックカバーも用意しましょう。

雨具はたとえ快晴でも必携品です。山の天気は変わりやすいし、防寒にもなります。素材は迷わずゴアテックス(または同等のもの)を選びましょう。少々値が張るけれど、ここは実用性重視です。夏にナイロンの雨具を着て歩くと、汗で内側から濡れ無意味です。Tシャツも山では速乾性の素材のものがおすすめです。

ちなみに服装は・・・夏なら、Tシャツ+長袖シャツ+セーターorフリースなど+パンツ+ハイソックス+帽子&手袋+レインウェア上下。早朝は寒いのでスカーフやカイロがありがたい時もあります。3000Mの山では麓と山頂の温度差は18度なんだそうです。100M高くなるごとに0.6度下がり、風速が1M増すごとに、体感温度は1度下がると言われています。もちろん、真夏日の登りは汗だくです。

はるか槍ヶ岳。燕岳稜線より 1998.8

さっきまで雲に隠れていた槍ヶ岳が夕方になって顔を見せました。仲間たちはビールを飲んで小屋で爆睡中。後で写真をみたらショックでしょう。このまま稜線を歩いていきたい気分です。

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2.夏に向けて登山の計画を立てる

毎年6月頃に出る雑誌、「山と渓谷」の夏の増刊号「ヤマケイJOY」や「岳人」の増刊号「夏山」などは写真も綺麗でコースを選ぶのに参考になるかもしれません。まずはガイドブックや地図を書店で入手しましょう。

最初は出発地点から山頂までの標高差や距離の少ない山を選び、小屋への到着や下山の時刻は午後のなるべく早い時間に設定します。(小屋へは午後2時〜3時、遅くても4時に到着するようにします。

日帰り登山なら昼前に登頂できるように、泊まりの場合は宿泊地に着く時間を基準にして登山計画書を作りましょう。

初心者の場合は、コースタイムは本に書かれている時間より1.5(〜2)倍増しで計画を立てます。山小屋泊まりは2泊以内が安心です。(その前に足慣らしに低い山へ行ってみましょう。)歩く時間は1日4〜5時間、休憩を含めて6〜7時間以内に留めます。(ちなみに私は脚力に自信が無い上に写真を撮りながらなので、けっこう時間がかかります。)

ルートは十分調べておきます。詳細な登山地図をみて、途中で引き返せる道や、トイレ、水場、危険な個所は事前にチェックして、コース全体を把握しておきましょう。地図を見ながら、あれこれ考えるのも楽しみの一つです。一緒に行く人の後に着いていけばよい、という考えは要注意。迷ったら大変ですよ〜。

出発の前は、目的地の最新情報と天気予報は必ずチェックして、悪天候の場合はいさぎよく中止しましょう。これは大事なポイントです。

日頃から体力作りをして、山へ行く前は栄養のある食事をして睡眠をたっぷりとり、体調を整えましょう。もちろん前日のアルコールはやめておきましょうね。絶対バテます。

上に戻る  左はハクサンコザクラ 白山にて


3.山小屋の常識                      南アルプス仙丈岳馬の背ヒュッテ。

相部屋、男女関係なし。

混雑時には、お布団1組に2人は当然。お布団は湿っぽくて、シーツも枕カバーもなし。

お風呂は当然ない(基本的に水はとっても貴重で、時には有料)。たまに温泉のある小屋もあるが・・・。

食事は質素。

おまけにトイレは臭いことが多く、水洗ではない。

山の朝はとにかく早い。夜は9時には消灯、起床は早い人は4時前後。朝食は5〜7時。

小屋の規模もピンからキリまで。ちなみに白馬岳山頂直下には1000人収容する大規模な小屋が2つもあります。ああすごい、、、。山が気の毒。

・・・あなたは大丈夫?潔癖性の人には少々つらいかも。でも工夫次第で快適に過ごせるし、慣れれば大丈夫。(でした。私は。) 朝起きたら大自然の中だなんて、素敵じゃないですか。いろんな人と会話できるし、夕焼けや御来光、星空を見ることができ、楽しく過ごせるところです。

予約が必要でない山小屋へも事前に電話して、気候など聞くと安心です。到着したら、先に受付で料金を支払い、部屋の場所と食事の時間を確認します。翌日の朝食や昼食をお弁当にしたいときは、この時に申し込みます。私は朝食はたいてい持参のパンとココアなどで済ませています。小屋の朝食は先着順なので、混雑時には御来光の時間と重なり、ゆっくり写真を撮ることができないからです。でも朝の熱いお味噌汁は捨てがたい!小屋には自炊場があり、材料と道具を持ってきて自炊する人達もたくさんいます。やはり達人はテントに自炊でしょう。

明るいうちに、トイレの場所などをチェックして、寝る前には、枕元に水筒とヘッドランプを用意し、荷物はきれいにまとめておきます。夜中や早朝に荷物をガサガザやるのは迷惑です。枕にタオルを敷いたり、濡れタオルやウエットティッシュで身体を拭くなどすれば、多少なりとも快適になります。

山小屋初体験は混雑時を避けることをオススメします。人気の山では、7月後半の梅雨明け10日間、お盆、紅葉の週末は間違いなく込みます。特に「海の日」や「体育の日」の連休は、覚悟しましょう。せめて1日ずらすなどして避けましょう。

紅葉の北アルプス涸沢ですごい体験をしました。なんと布団1組に4人!「いったいどうやって寝るんだ!」との声に「互い違いに寝て、片方の肩だけをつけて寝てください。」という山小屋スタッフの冷静な声。トイレは長蛇の列。外は雪がちらついてるってのに小屋の中は熱気ムンムン。足の踏み場もない状態。もしこれが初めての山だったら、山嫌いになっていたに違いない!

そうそう、気をつけたいのが、山小屋での靴。靴の間違いや紛失が、自分の事となったら一大事です。未然に防ぐために、左右両方の紐を結んで名札をつける、目印をつける、仲間同士で紐でまとめるなどして工夫しましょう。

きらり一番星・・・ちょっと見にくいかな。(木曽駒ヶ岳) 1997.8

この日の夜の星空は、今まで行った中で一番の美しさでした。恐い程の星の数。のみ込まれそうな大宇宙。天の川がすぐそこです。一緒に行った初登山の友人はこれで山にはまりました。こうしてイモ蔓式に仲間が増えて・・・。

8月の終わりともなれば山は秋の気配。放射冷却のせいで冷え込みはひとしお。日中の真夏日が嘘のようです。登山客も少なくなり、静かな山歩きが楽しめました。

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4.荷造りと山でおいしいおやつ

いかにして荷物を減らすか、それが問題です。6時間も7時間も背負うとなると、かなり悩みます。

必要最低限の荷物を確実にコンパクトに詰めることがポイントです。ゴミも出ないように考えます。軽くてかさばるものを下に、重いモノを背中よりの上に入れると軽く感じます。よく使うものは取り出しやすいところへ入れます。体力に自信がなけれは、なるべく軽くすることをオススメします。出かける前に体重計で重さを計ってみると、次回の参考になります。

体力のない私は、少しでも荷物を減らしたいがために、荷造りは悩みの種です。毎回何を持っていくか、置いていくか、あれこれ考え出したり入れたり・・・。最初は支度に時間がかかります。前日の夜にこれをやると寝不足になってしまうので早めに準備しましょう。着替えなど、濡らしたくないものは、ビニールに入れておきます。着替えは1泊なら替えのズボンは必ずしも必要ではないと思います。靴下の替えは必ず用意しましょう。

小屋ではお湯を売っている(場合によっては無料)ので、myカップとインスタントコーヒーやティーパックをもって行くと楽しみも増えます。一杯やりたい人はそれもご自由に・・・。

さて、お楽しみの食料です。山で食べたいもの、疲れたときに食べたいものを吟味しましょう。私のお気に入りのおやつは、チョコレート、黒糖飴、みかんやブドウなどの果物、チーズやソーセージ、ナッツ類です。

疲れて食欲がない時や、体調が悪くても食べられそうなものも、持っていきます。甘いもの、水分のあるもの、塩分のあるものを食べたくなるかもしれません。これらの行動食は、お腹がすいたらバテる前に補給します。休憩がとれない時には歩きながらでも食べられるように、取り出しやすいところへ入れておきます。非常食も持っていきましょう。(例えばカロリーメイトなど)おやつとは別で、緊急時用ですから何事もなければ食べずに持ち帰るのが原則です。

北アルプス爺ヶ岳から富士山を望む(photo by aki) 1999.10

紅葉の爺ヶ岳、おすすめです。この日は天候に恵まれ大展望が望めました。ここから富士山まで170km。遮るものは何もありません。右に木曽山脈の中央アルプス、左に八ヶ岳が見えます。

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5.山での歩きかた 

歩く前にはストレッチング。基本です。

歩き始めは早くなりがちなので、ゆっくり歩きます。私は20〜30分で1回目の休憩をとり、その後は40〜50分で10分程度の休憩をとります。急坂では20分程度ごとに、ザックをおろして数分の立ち休み。深呼吸して息を整えます。

歩くスピードは、普段の8割くらいでしょうか。気合いでぐんぐん登らず、自分のリズムを保って歩くのが、疲れないコツです。何人かで歩く場合、初心者なら、2番目か3番目あたりに入れてもらうと歩きやすいです。

水分と栄養は、早めに補給します。足にマメができそうと感じたらすぐに絆創膏を貼りましょう。

登りは靴底全体を地面につけ、あまり足を上げずにすり足で歩きます。

靴ひもは、登りは緩めにして、下りは全体的にきつく締めると歩きやすいです。

登りと下りのすれ違いは、登りの人が優先、ということになっています。とはいえ、混雑時など状況によっては臨機応変に譲りあいましょう。 ハシゴや鎖場では、すれ違いできませんので、先入者が優先です。

危険な個所では、手袋をはずし、三点確保(両手両足4本のうち、1本しか離さない)を保ちます。

これから下り、という時点では、休憩やお茶、軽食などで気分をリフレッシュしましょう。登りよりも下りの方が危険で集中力が必要です。膝の弱い人は、下りの方がキツイので、ストックがあると便利です。ドスン、ドスンと着地せずに、つま先からフワリと降ろす感覚で下ります。

ガレ場では、落石を起こさないよう注意しましょう。

 

もし道に迷ったら・・・?来た道を戻るのが原則です。もし、かなりの距離を歩いてから気がついたら?それでも戻りましょう。迷った場合の谷沿いの下山は不可能です。上を目指し尾根に出て、自分の場所を見つけるのが正解です。もちろん、暗くなったら動いてはいけません。こんな時、携帯電話が役立ちます。

雷が鳴ったら・・・?これは恐い!!山での雷はホント恐い。・・らしいです。山頂、尾根、大岩、大木、カサ、ピッケル。要注意です。ピカッときたら、なるべく離れて低い姿勢でおさまるのを待ちます。早めに下山します。

ガスや霧が出たら・・・?これも恐い。この道あってるのかなぁ・・・。と、とにかく不安になります。コンパスでまめに方向を確認します。雪渓は危険な場合があります。

まばゆい朝焼け(唐松岳から) 1997.9

空の色は、太陽の光と共に刻々と変わり、いつまで見ていても飽きません。自然の美しさを少しでも記憶に留めたくて、重たいカメラを頑張って持って行きますが、素人の私にはそうそう満足のいく物は撮れません。出来上がった写真を見て、毎回肩を落としています。ホントの景色はこの何倍も綺麗です。

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6.いつまでも美しい山であるために

自分のゴミはすべて持ち帰る。これは鉄則です。山小屋で捨てるのもダメです。ゴミを少なくするためには、食料のパッケージなどかさばる物は最初からとっておくとよいです。

果物の皮などの生ゴミも、本来そこにあるはずのないものなので生態系を乱すことになります。ポイ捨てはやめましょう。

喫煙者は、携帯用の灰皿を持参しましょう。首からさげる灰皿は便利そうです。

高山植物を取ってはいけません。高山植物の中には、花を咲かせるまでに何年もかかる植物もあります。たった一度足を踏み入れるだけで台無しです。登山道以外の場所へ足を踏み入れないよう注意しましょう。

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さて、帰ってきたら自分の山行き日誌をつけてみませんか?忘れないうちに花の名前を調べたり、地図に花や鳥を見た箇所を記したり、歩行時間を記録するのもよいかもしれませんね。

五竜岳(紅葉の遠見尾根から) 2000.10

体力のない私が本当にあそこまで登ってきたのだろうか・・・といつも後で思います。当たり前ですが、とにかく足を前に出しさえすれば、目的地に辿り着くんですよね・・。何度も振り返り、歩いた距離に驚くばかり。

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