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〜お山のあるばむ&道中記〜

 

↑早朝の雲海  ↓西天狗岳と東天狗岳 手前は根石山荘 

 

↑八ヶ岳の中央、夏沢峠 ↓日本三大雪渓の一つ、針ノ木雪渓 

↑お花畑から針木岳を望む  ↓立山連峰と黒部湖 

静かな森、北八ヶ岳

2001年8  桜平〜夏沢鉱泉〜オーレン小屋〜根石山荘泊  東天狗岳(2640m)・西天狗岳(2645.8m)〜夏沢峠〜桜平  

今回は北八ヶ岳の主峰、天狗岳へ。南北30kmの八ヶ岳は、夏沢峠を境に南と北に別れます。南は険しい岩稜の峰々、北は原生林に覆われた穏やかな森が続き対照的です。

さて、天狗岳への稜線では、ものすごい強風にあおられ飛ばされそうでした。諏訪湖側の厚い雲が猛烈な勢いで稜線を越えて、晴れている反対側へと渦巻いて流れ降りていきます。雲の切れ間に時折山々が顔を出しますが、もたもたカメラを構えているうちにまた真っ白な世界、まさしく雲のただ中です。

雲の流れは見ていて飽きません。空模様は瞬時に変わっていきます。根石山荘付近にはコマクサがたくさん咲いていましたが、種子がこの強風の中で大地に根を下ろすのは、本当に奇跡のようです。

風を目で捉える楽しみを満喫して、ハイマツの森林限界から再び静かなシラビソの針葉樹の森の中へ。こぼれおちる暖かな太陽の光に、苔むす大地が所々緑に光っています。小さな小さな白い花も点々と輝き、時が止まっているようです。やがて沢沿いの広葉樹の森へ。沢の涼しい水音とあふれる緑のトンネル。森の緑はどれも違う、美しい色です。

 

 

 

 

 

 

 

ひんやり涼しい針ノ木雪渓、山小屋騒動

2001年7    扇沢〜大沢小屋〜針ノ木峠・針ノ木小屋泊 針木岳(2820m)〜針ノ木峠〜大沢小屋〜扇沢  

やったね!快晴。でも海の日の三連休。登山ラッシュです。針ノ木岳は夏でも雪が残っているため、途中で登山靴に滑り止めのアイゼンを装備して雪渓の上を歩いて登ります。足元の白い雪、山の緑、空の青、雲の白。強い太陽光線が肌に突き刺す原色の世界です。

山小屋へ着くと、すでに定員オーバー、「キャー。もう来ないでぇ。。」という私の悲鳴をよそに、夕暮れどきになっても後から後からと人はやってきます。針ノ木小屋での一晩の宿泊客人数の記録を更新したその日は、午後2時頃以降に到着した登山客は食堂で寝ることに。何回転もの夕食が終わるまで居場所がありません。

夏とはいえ山は日暮れとともに冷え込んできます。悠々テント組を横目に外で過ごしていれば、一緒に暖をとらないかと火の回りで声をかけてくださる方がいたり、寒さをしのぎ廊下で寝ていれば、ツェルトやシートを貸して下さる方がいたり。ホント、山へいくと人の親切が身にしみます。

夜の9時。ついに食堂争奪戦の時がやってきました。友人と様子を見に行くと恐るべし人数です。このまま廊下で寝た方がましかも・・・。と躊躇している一瞬のうちに、食堂は陣取った人々で埋めつくされてしまいました。一歩も入っていけそうなスペースはありません。気が付けば最後に残ってしまった私たち。幸運にもスタッフの方が気を遣って下さって、「よしっ。貧乏くじをひいたあなた達には特別に・・・。」と他のスペースの一部を使わせてもらえることになりました。おかげで広々と静かに眠りにつくことができたのでした。

そこは食材置き場だったので、翌朝早々に起こされましたが、山小屋スタッフはもう働いている!と思ったら飛び起きました。なんて大変なお仕事なんでしょう。でも毎日こんな壮大な山々を眺めることができるなんて羨ましいです。今回は人々の親切があたたかくて嬉しかったです。私たちもその分、誰か親切にしてあげなきゃね、と語りあったのでした。

山頂からは立山連峰と遠く槍ヶ岳の方までの大パノラマ、眼下には黒部湖を見下ろす絶景です。思い思いの写真を撮って楽しんできました。

(後日談:山頂で友人が撮った写真が、某全国写真コンテストで大賞をとりました!一同まさかの大仰天。大喜びです。地元の新聞や、広報にも記事が載りました。写真の中央には山でいれたコーヒーを片手にニッカリ笑う私が写っています。)






↑紅葉の唐松岳中腹  ↓ブロッケン





辰年にちなんで北アルプス五竜岳 見事な紅葉にくらくら

20001010・11日 1日目:八方池山荘〜唐松山荘〜五竜山荘泊 (6時間半)  2日目:五竜山荘〜五竜岳2,814m〜遠見尾根〜アルプス平駅 (7時間半) 

今年は紅葉の当たり年で紅葉は遅れ気味。おかげで予定していた10月の連休にピッタリ。登山を始めて4年目にして、すばらしい紅葉を見ることができました。特に五竜岳の下りの遠見尾根は行けども行けども鮮やかな錦のトンネル。これでもか!といわんばかりです。・・・それにしても今回はよく歩きました。

唐松岳から五竜岳へ向かう稜線では、ブロッケン現象を見ることも出来ました。太陽に照らされた自分の影が稜線直下の雲に写っているのですが、その影の周りに丸く七色の虹が見えるのです。内側から紫・青・緑・黄・橙・赤と神々しくて感激。

歩くと光の輪も影と一緒についてきます。いつまでも見えていて天使の輪とか、オーラのよう。面白いことに、自分以外の光の輪と影は見ることができません。大勢人がいても、皆、自分のしか見えないんです。科学的な根拠を知らない昔の人が、神の出現と思ったというのもごもっともです。それにしても五竜山荘の果てしなく遠かったこと。大展望のうきうき稜線歩きがよれよれ歩きになった頃、山小屋のモーターの音が聞こえてきてホント喜びの涙・・・。ああぁやっと着いた・・・。

秋の山へ行くと、夏に咲いていた花々のその後の姿を見ることができます。紅葉していたり、実を実らせたり、種をつけたり・・・。花好きの私とってはそれも楽しみの一つです。








↑↓白山の御来光

  ←クロユリ



高山植物の宝庫、白山へ。クロユリの大群落に狂喜

20008月17,18日 1日目 大白川ダム-平瀬道-室堂平 室堂泊(4時間半) 2日目 室堂平-御前峰2702m-紺屋ヶ池-池やお花畑を通り室堂へ−平瀬道を帰る   

信仰の山、白山。石川県と岐阜県にまたがる深田久弥のふるさとの山です。主峰御前峰には白山比盗_社奥宮が鎮座しています。

 2日目の朝は、山頂で御来光を見るために3時半に出発です。月明かりの中を歩き始めてしばらくすると、下の祈祷殿から太鼓の音が冷たい空気を震わせながら聞こえてきました。日の出1時間前の合図です。山頂ではすでに沢山の人が岩に腰を下ろして東の空じっと見つめていました。

 空が美しいグラデーションを描き始めました。そして快晴の空の眼下の雲の彼方から、まばゆく輝く太陽が顔を出しはじめます。朝の清らかな空気と厳粛な光に満ちて心洗われる瞬間です。ただただ美しいの一言!周囲の山々が光に照らされて輝きだし、色を取り戻してゆきます。冷えきった私の顔にも太陽の熱が届き、心も光に照らされていくようです。すべての人に平等に届く太陽の光は力があふれていて、感謝の気持ちが込み上げてきまます。う〜ん、ありがたい!

 白山の室堂平周辺は、夏は高山植物が群生するお花畑が広がります。今回とくに感激だったのはクロユリの群生です。驚くほどの数なのです。里ではクロユリはめったに見られない花ですし、幸せを呼ぶ花だといって北海道土産でもらった球根は1年しか咲かなかった経験がありました。こんなに群生して咲く花だとは思ってもみなくて呆然としました。うつむいて咲く地味な花色のクロユリは、緑の草むらに隠れるように、でもよく見るとたくましく咲き誇っていました。

 他にもハクサンコザクラ、ハクサンフウロ、マツムシソウ、シモツケソウなどが色鮮やかに咲いていました。初めてみる花もたくさんあり、植物図鑑を片手に、花好きの一行は大喜びでした。

  ←コマクサ

↓コマクサの群落 点在してるのが見えるでしょうか。 

 

  

↑硫黄岳から赤岳(右)を望む  ↓遠く富士山 

 

 

  ← キョウマルシャクナゲ

↓伊豆国立公園 天城山登山道の新緑 

 

 

 

 

高山植物の女王コマクサに逢いに南八ヶ岳へ

20007月22,23日 1日目 美濃戸山荘-行者小屋-主峰赤岳2,899m-赤岳頂上小屋泊 (6時間半) 2日目 赤岳頂上小屋-横岳2,829m-硫黄岳2,765m-赤岳鉱泉-美濃戸 (8時間)

登山者にこよなく愛されている美しい花、コマクサケマンソウ科 Dicentra peregrinaは高山植物の女王と言われています。花の形が馬の顔に似ているので駒草という名前が付けられたとのこと。優しいピンクの花色と銀色がかった細かく裂けた葉の色はこのうえなく上品で美しいです。他の植物が育たないような強風が吹き抜ける高山の砂礫地に地中深く根を張り、群落を作って自生する誇り高き孤高の花です。厳しい環境で可憐な花を咲かせるところが人気の理由でしょう。

ちなみに北アメリカFESのフラワーエッセンスにはコマクサのエッセンス、「ブリーディングハート」があります。日本のコマクサとは学名がちょっと違って同一ではありませんが大好きな花なので興味深いです。ブリーディングハートのキーワードは愛と自由。愛らしいピンクとハートの形からはその通りの印象を受けますが、私が知る日本のコマクサのイメージは挑戦者・先駆者です。何も成育していない厳しい環境に最初に根付く役割担い、種から花を咲かせるまでには7年の歳月を要します。美しさゆえの乱獲にもあい、過酷な宿命を背負っている花なのです。

7月の南八ヶ岳、横岳稜線で見られるコマクサの大群落は感激ものです。一面がピンクなのです。人が踏みこむことのできない斜面は女王たちの楽園です。めずらしい白花も見かけました。

夜、激しい豪雨で小屋が飛ばされるのではないかと何度も目が覚めましたが、2日目は梅雨明けの抜けるような穏やかな青空に恵まれました。富士山もよく見えます。山はやっぱり別天地。アルペンムード漂うこのコースはとてもおすすめです。

 

 

 









シャクナゲの天城山

20005月27日 万二郎岳登山口−万二郎岳-石楠立-主峰万三郎岳1406m-涸沢分岐-万二郎登山口 (4時間半)

 伊豆半島中央部に位置する天城山。登山道はみごとな自然林が続きます。アセビの花のトンネル、ヒメシャラの気品あふれる美しい幹、力強いブナの大木、それに雨あがりの新緑の美しさといったら!

 アセビやヤマツツジの花に続き、やっとお目当てのキョウマルシャクナゲの密生地に到着です。そのあでやかさとは見事です。キョウマルシャクナゲは、一つのつぼみから10個以上の花が出て、その一つ一つがとても大きく、薄い桜色から濃い桃色まで、木によって濃淡が違います。うっそうとしたブナの原生林の中で花色がしっとりと明るく映えて美しさがひきたっています。シャクナゲの樹高は3mを越えるものもあり、なかなかの風格です。ブナもびっくりするほど幹の太いものがあり、思わず幹を抱きしめたり、耳を当ててみる人の姿が多くみられました。もちろん私もその一人です。

 展望はあまり望めませんが、シャクナゲの時期には新緑も美しくオススメです。花の開花期は5月下旬〜6月上旬といったところでしょうか。今回は山頂より下の木はつぼみの方が多かったようでした。

 

 

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