室堂から黒部へ

 
【富山県立山町 美女平〜室堂〜黒部湖〜扇沢】

 今回の山行は山にも登らず、徹底した手抜きでした。いわゆる黒部アルペンルートという美女平から室堂を経て、 黒部ダム、扇沢までの全てのコースを乗り物に頼りました。しかも天候はイマイチで、 美女平から室堂までのバスコースはほとんどガスの中でした。 このコースの室堂側は雪の大谷といって春先は高さ20mもの雪の回廊になることで有名です。

 室堂平では天気が少し回復し、雄山、大汝山、富士ノ折立からなる立山がかろうじて見られました。 付近のミクリガ池や、ミドリガ池、地獄谷など紅葉を見ながら散策するにはさしつかえありませんでしたが、 正面の剣岳はガスがかかっていました。それでも日の暮れるころに少しだけ見られました。

 さて、この室堂平には江戸時代に作られたという日本最古の山小屋 「立山室堂」があります。 室堂とは立山に信仰登山をする人のための宿泊所のことです。内外ともにがっちりとした造りで、 平成7年に国の重要文化財に指定されています。 もちろん今は宿泊施設としては使われていませんが、内部が公開されていました。

 室堂からはトロリーバスとロープウェイ、地下ケーブルカーで黒部ダムに降ります。

 昔、秘境といわれたこの黒部に、電力不足を解消するために造られたのがこの巨大ダムですが、 これは昭和31年から7年の歳月をかけた難工事でした。 そのときのトンネル(関電トンネル)工事を描いたものが映画「黒部の太陽」です。 昭和33年に開通し、その後突貫工事でダム本体を完成させています。 現在はトロリーバスが観光客を運んでいますが、 トンネル内を通過するときの途中にブルーのライトで「ここが【大破砕帯】だったところ」という場所を示していました。

 (黒部第四というようにこの秘境には他に第三、第二の発電所があり、 それとともに難工事を伴って掘削したトンネルがあります。 小説「高熱隧道」(吉村昭著)は第三発電所の水路トンネルを題材にしています。)

 (2009年9月)
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