【多摩のちょいスポット:016】
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南大沢周辺の多摩ニュータウン造成間もないころ、鑓水の伊丹木谷戸にある小泉家屋敷から 少し上に行った道端に水の湧き出している場所がありました。この道路だけができていてあたりには 何もありませんでしたが、その道路の側壁が湧き水に合わせて切欠いてありました。 ところがもう何年も前から、たぶんニュータウン造成が進むにつれてと思われますが、 その湧き水は塞がれたのです。(たぶん今でも湧き水はパイプの中を流れていると思われます。) |
この地帯一帯には岩盤の層があって、槍のような尖った道具で突くと地下水が湧き出してくることから 鑓水という地名になった、と思ったのですが、実はこの地下水を節をくり抜いた竹(これを筧(かけひ)といいます) で瓶(かめ)などに導き利用したのですが、瓶から水が流れる仕掛けを「遣り水」といったそうで、 こちらが鑓水の地名の由来のようです。(別の説では、斜面に竹槍上に尖らせた青竹を打ち込み飲料水を得る方法を ヤリミズといい、これが鑓水の由来とされています:絹の道資料館) 湧き水の隣に置かれた石には「板木名水」と彫られ、「この筧の水は旧井上芳隆家の井戸を保存したもので 常に涸れる事を知らず不老長寿の名水なり 平成6年7月吉日 板木・・」とありました。 板木とは伊丹木が変化したもので、このあたりは伊丹木谷戸と言われました。元の「伊丹木」はアイヌ語の 「きれいな清水が湧き出るところ」の意味のようです。 (なぜアイヌ民族が関係するのかよくわかりません。なんでもここから出土した土器の紋様がアイヌの衣服の 紋様と似ていたことからとも言われています) 塞がれてしまった「板木名水」に代わって近くには別の湧き水が整備された状態で見られますが、 飲用はできません。 |
(2009.6) |