【多摩のちょいスポット:010】
 

一ノ宮の渡し跡

一ノ宮の渡し跡

 昔、多摩川にはいくつかの渡し場がありましたが、多摩市一ノ宮と向かい側の府中市四谷とを結んでいたのが 「一ノ宮の渡し」です。昭和12年に関戸橋が架かるまで存在していたようです。
 渡し場跡とされているところは聖蹟桜ヶ丘の駅から宮下通りを300mほど進んだところです。 大きな欅の木があってその下に一ノ宮の由来である大国魂神社の祭りにちなんだモニュメントが置かれています。 川岸より少しはなれていますが、近年になって家が建ったからであってそのむかしは何もなかったのでしょう。
 さて、ここで取り上げたのにはもう一つ理由があります。モニュメントの下にその由来を示す説明版と並んで 明治時代の水量標識が埋められているからです。
明治時代の水量標識

 かなり風化していて読み取りにくいのですが、「水量標零点ヨリ、・・・、明治廿五年四月、神奈川縣廳」 と刻まれています。ここに旧書体で神奈川県庁とあるように、明治26年までこの付近一帯(三多摩地域)が 神奈川県であったことを示す貴重なものです。 当時氾濫を繰り返していた多摩川の水位を測る目安とされていたと考えられています。ただし厳密には当初 設置されていた場所ではなく多少移動しているとのことです(説明版より)。

 (2009.3)



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