根岸競馬場旧一等馬見所

 JR根岸線の根岸駅から北側の高台に向って徒歩10数分のところに「根岸森林公園」 があります。そこはかつての横濱競馬場、通称根岸競馬場の跡で、遠く幕末のころから 横浜に居留する外国人のための娯楽施設として誕生しました。以来、太平洋戦争が始まるまで 中央競馬を開く競馬場の一つとして横濱競馬が開催されました。しかし戦争中は旧日本海軍 に接収され、戦後もまた米軍に接収されて住宅地やゴルフ場などに使用されましたが、接収解除後 も再び競馬が開催されることはありませんでした。
 森林公園北西側の米軍施設をはさんだところにこの競馬場唯一の遺構である 「旧一等馬見所(観覧席)」が残されています。 
 


 近づくと付近に何もないせいか圧倒されるように感じる建物です。現存するこの一等馬見所は 関東大震災で壊れたものが1930年(昭和5年)に建築家モーガンによって再建されたものです。 ほかに二等馬見所、下見所(いわゆるパドック)があったのですが老朽化のためすでに解体されました。
 観客席はこの画像の背中側です。米軍施設側に向いているため外部から直接には見られません。 また観客席の屋根部分もすでに解体されたようです。


 塔の高さは約30m、森と東京湾が一望できたそうです。つまり軍港が見えることから 海軍に接収されたとのことです。
 3つある塔はそれぞれエレベーター設備だったようです。建物はフェンスで囲まれた上に、 入口や窓などはすべて塞がれてしまっていました。ただ、塔上部の丸窓だけは装飾とともに残されていました。
 
 

(2007年4月)



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