東京駅






 日本の鉄道の中心にあたる東京駅ですが、この建物は「行幸道路」を隔てて皇居のほうに向って建てられています。 車寄せのある正面玄関は貴賓用で一般には開放されていません。つまり東京駅は天皇の駅であったことがうかがえます。

 駅の機能としてはJR東日本とJR東海の在来線各路線と各新幹線網の拠点であり、 地上および地下に15面30線のホームを持つ日本最大級の駅です。

 ちなみに東京駅の駅長は分割・民営化後2人になりました。

 東京駅(計画時の名称は東京中央停車場)の開業は1914年(大正3年)です。 当初、鉄筋レンガ造り3階建てでしたが、関東大震災の時にはさしたる被害もなかったものの、 太平洋戦争中の空襲で焼失し、戦後、2階建ての駅舎に修復されました。屋根の部分は三角形のようになっていますが、 もともとは丸いドーム形になっていたといいます。
 なお、この失われた南北二つのドームや3階部分について近々復元されるという計画があります。 すでに馴染んでしまったのでこれはこれでよいと思うのですが。 ちなみに北口や南口に比べて中央口改札が小さいのはもともとが皇室専用だったからとのことです。


 駅構内の5番、6番線ホームには開業当時のままの支柱や装飾が残されています。 ホームの屋根を支える木と鉄を組み合わせた梁にも、また梁を支える柱にも装飾が施されています。 何でも古代ギリシア・ローマ風に「アカンサス」(葉アザミ)を装飾化したもののようです。 (下の画像。何本かは緑色に塗られています。)


 ほかにホーム階段の手すりにも時代が感じられます。


 1日に発着する列車の本数は約4,000本(日本一)という日本最大級の駅であり 首都東京を代表するターミナル駅です。


 4番線と5番線の中央付近の線路間に山手線の起点位置を示す「ゼロキロポスト」があります。 数字の0をかたどっていて料金計算などに必要な距離の測定起点です。 ちなみにこの東京駅を起点とする路線はいくつかありますがそのために線路やホームにいくつかの ゼロキロポストが設けられています。


 駅を出て丸の内北口の北側、中央線の高架下に「丸の内鉄道橋記念塔」があります。 目立たない場所にあるのですが、これは元々、東京・神田駅間の日本橋川を跨ぐ橋の両端に装飾として 建っていたもので、中央線の高架工事の際に支障になったため撤去され移設されたものです。

 東京駅には赤レンガの地下通路があるそうです。丸の内南口付近を東西に貫いているのだそうですが 一般には通行できません。
 東京駅開業当初からある通路で、郵便物や小荷物専用の運搬路でした。1978年(昭和53年)までは 使用されていましたが、現在は車椅子の乗客用に利用されているそうです。 (「帝都東京地下の秘密」(洋泉社MOOK)より)
 丸の内南口改札内のチップ式トイレ入口横に業務用通路 があります。問題の通路はこの中なのではと思われます。入りたいが、入れません。
 

(2006年6月)

 2012年10月1日、赤レンガで造られた東京駅丸の内駅舎のリニュアル工事が完 成し、1945年5月の空襲で焼ける以前の丸の内駅舎の姿が復元されました。



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