・・・ 氷川丸とマリンタワー ・・・

 10月のある土曜日、次のような新聞報道がありました。
 『横浜マリンタワーと氷川丸を運営する「氷川丸マリンタワー」(横浜市中区山下町、成田達社長)は十三日、 両施設の営業を十二月二十五日で終了すると発表した。 ここ数年の「昭和」ブームやみなとみらい(MM)線開通などで入場者数は微増。しかし、 長年の減少傾向に歯止めがかからず経営環境が悪化、四十五年間の運営に幕を閉じることにした。(以下省略)』 
 
(2006年10月記)

      (注)その後、「氷川丸」と「マリンタワー」は いずれもリニュ−アルされて現存しています。

 【氷川丸】
 氷川丸は1960年(昭和36年)からこの山下公園に係留されていることことは知っていましたが、 まだ内部を見たことがありません。上記の報道を見て急ぎ見学する気になりました。


 氷川丸は1930年(昭和5年)に三菱重工横浜造船所(当時名称は横浜船渠株式会社)において建造され、 北太平洋を横断する客船として活躍しました。戦争中は病院船としても使用され、 終戦後の復員輸送にも従事したのです。そして1960年(昭和35年)になって現役を引退し、 生まれ故郷のこの地に係留されたのです。

 公園側に船尾を向けて係留されています。白灯台のある桟橋デッキから見学コースに入るとすぐに エンジンルームへと案内され、左右一対のエンジンを上層、中層、下層階の三層構造で見ることができます。 デンマークB&W社のマークがあり、一部エンジン内部を切り開いて クランクシャフトが見られるようになっていました。

 世界の貨客船、帆船などが展示されたスペースを過ぎ船首側に出ると、映画「タイタニック」で ジャックとローズが手を広げるあのシーンを思い出します。しかし、近くにあった錨を巻き上げる装置をよく見ると 錆びだか塗料だかわからないカチカチの状態で豪華絢爛ムードが吹き飛んでしまいました。

 船内の客室通路からは調理室や一等、二等客室の様子、特別室などを覗くことができます。

 いわゆるアール・デコデザインというものらしいのですが、ダイニングサロンやスモーキングサロンは 豪華な印象を受けます。

 「アール・デコ」とは1925年(大正14年)のパリ万博で発表された二十世紀のモダンを象徴する 新装飾様式のことで、ジグザグ模様や直線的幾何学的パターンを特徴としているそうです。 その5年後に建造された氷川丸には流行の最先端であるこのデザインが採用されました。

 ところで「氷川丸」とは埼玉県の氷川神社から船名を授かったということで、操舵室の後部に 氷川神社の祭壇が祀られています。また船長室なのですが、船と運命を共にするということから操舵室のすぐ後ろに 設けられていました。

 全長163m、高さ42m、乗員130余名、乗客280余名のこの氷川丸ですが、本船と同時期に就航した 日枝丸・平安丸の姉妹船はすでに戦没しています。

 そして現在、横浜市指定有形文化財となっている氷川丸は元の所有者の日本郵船に 売却されるらしいのですが、見た限りではあちこちで劣化が進みもう動くことはできないであろうと思います。 保存船としてどこまで維持できるのかが気になるところです。

 【マリンタワー】
 同じく山下公園といえばマリンタワー。じつはこのタワーも1961年(昭和36年)、 横浜港開港100周年記念の年に開業しています。高さ106mの展望塔ですが、灯台の機能も持っていて 世界で一番高い灯台としてギネスブックにも登録されているとのことです。
 


 展望台まで登るエレベータは細身の塔の鉄骨すれすれに、しかも足元まで透明の箱で運転されるため 真下が直視できてちょっとスリルがあります。

 展望台は2層になっていました。

 ←展望台から見た氷川丸と

      自らの影です。→


 地上の館内には有名なおもちゃコレクターによる展示コーナーがあります。しかし、 お土産コーナーは良いとしてゲームコーナーがあるのはどうなんでしょうね。

 またいつか、夕暮れ時からの夜景を楽しみたいと思いました。

 【浜の灯台】
 マリンタワーも灯台の一つではありますが、横浜港にはさらにいくつかの灯台があります。 横浜港内を60分で一周する観光遊覧船に乗って見学しました。

 横浜港で最初にできた灯台が氷川丸の桟橋にある白灯台とその対になる赤灯台です。 赤灯台は山下公園の向かい側にあり肉眼でも見えますが、横浜港の灯台の中で一番古く、 明治29年から今なお使われているものです。ちなみに白灯台は昭和38年に少し沖合いの堤防から 移設されたもので使われていません。

 遊覧船は湾岸線横浜ベイブリッジの真下をくぐりますが、この橋の両側橋脚部分に港内第二の赤灯台と 白灯台があります。

 北側橋脚の下が赤灯台です。

 そして南側橋脚の下に白灯台があります。つまり横浜港に入ってくる船舶から見て右手が赤灯台になります。

 ベイブリッジから少し離れてほとんど港の出口というところにさらに第三組目の赤灯台と白灯台があります。 大黒海づり公園側にあるのが赤灯台です。
 このころ遊覧船にゆりかもめがついてはなれず、撮影に夢中になっていて対になる反対側の 本牧埠頭側にある白灯台を見逃してしまいました。

 右の画像は湾岸線鶴見つばさ橋側に入るところにある灯台です。

 
 

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