1930年(昭和5年)、日比谷公会堂と同時期に建てられた昭和初期のオフィスビルです。
すでに70数年の年を経ていて、東京大空襲にも耐えています。
日比谷公園に面した側が短辺で、有楽町駅側に長手方向の構造となっています。
地下鉄千代田線日比谷駅からの連絡口があり地下街または上のアーケードを抜けて有楽町駅側に出られます。
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外観に派手さはないのですが、内部に2階まで吹抜けている長いアーケードと円弧を描いて配置された
中央のエレベータホールが特徴的です。
昭和30年に増築したというのは裏にあったバルコニーの上の部分なのだろうと思われます。
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真鍮の手すりのある日比谷公園側1階玄関ドアを引いて中に入る。「ひく」と書かれたプレートさえ
レトロです。ちなみに有楽町駅側出入り口は自動開閉ドアーでした。
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すでにテナントの多くは撤収していて店名を示していたであろういくつかの“あんどん”は消えていました。
しかし2階まで吹き抜けのアーケードの天井は間接照明でまだきれいに照らされています。
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アーケードの中央にはエレベータホールがあり、そこには重厚な感じのエレベータドアーが円弧を描いて
配置されています。たぶん、ドアーの上には機械式の階数表示があったのではないかと思われます。
当然、運転はされていません。
向って右脇には投げ込み式の郵便ポストがありました。
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エレベータの向かい側は大理石と木の手すりの使われた両振り分けの階段になっていますが
3階以上には入れません。
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2階にあがるとアーケードの空間がより美しく見えます。それというのも随処に細かい装飾、
たとえば木製の手すりやアーチ部分の星型彫刻、間接照明根元の鳥の彫刻、
1階店舗上部のステンドグラスなどがあるためであろうと思われます。
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このようにこのビルは外側にではなく、その内側にこそ美しさがあります。
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←これはすべての間接照明の根元にある鳥の彫刻です。
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こちらが、階段にしつらえたカーブもきれいな木製の手すりです。→
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装飾といえばほかにもトイレ脇の洗面台や階段付近のフロア表示なども凝っていました。
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階段をB1フロアに下りると地下街になるのですがここもほとんどの店舗は撤収していました。
エレベータホールだけが明るく照らし出されています。
このようにぎりぎり間に合った形で中を見ることが出来てとてもラッキーでした。
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