***** 向ヶ丘遊園モノレール線跡 *****

 小田急向ヶ丘遊園駅から向ヶ丘遊園正門前までのモノレール線は平成13年2月1日をもって廃止されました。

 続いてレジャー施設「向ヶ丘遊園」そのものも 平成14年3月31日をもって営業を終了してしまいました。

 Rev.1 2001年6月
 Rev.2 2003年5月、追加記入
 Rev.3 2007年5月、追加記入
 Rev.4 2008年6月、修正、加筆
 Rev.5 2012年6月、追加記入

(画像をクリックすると拡大できます)

 2001年6月

 向ヶ丘遊園駅といっても駅前に遊園はなく、約1km離れた丘陵地帯に大観覧車や ウォーターシュートなどを備えたいわゆる遊園地がありました。 そこまでのアクセスにと1966年(昭和41年)にこのモノレール線が建設され利用されてきましたが、 2000年(平成12年)2月13日、台車の亀裂という致命的な欠陥が発見され、 それ以来運転されることはなく休止となり、そのまま廃止されてしまいました。

 小田急線の急行停車駅、向ヶ丘遊園駅南口の駅前広場にあるモノレール線乗り場です。 シャッターが閉じられ、2001年(平成13年)2月1日付けで廃止されたことを通知する張り紙があります。 そしてホームに続く階段にはチェーンがかけられていました。

 総延長約1.1km、府中街道沿いを走っていて途中駅はありません。 日本で唯一のロッキード式モノレールといって、コンクリート製のレールの上を直接走るのではなく、 その上に敷いた鉄製のレールを使用していました。ロッキード式モノレールは姫路市にもあったそうですが すでに1979年(昭和54年)に廃止されています。 


 車両の編成は2両でワンマン運転でした。また、1編成しか運行しないので単線でした。 たしかドアも向ヶ丘遊園正門駅に向かって右にしかなかったと思います。

 主の走らない鉄分の染みた橋脚が哀れです。

 本村橋を頑丈な鉄橋に守られて渡り、ボーリング場手前で小さな用水路(二ヶ領用水)と 府中街道を跨いで向ヶ丘遊園正門駅へと入っていきました。    

 橋脚には番号が付けられており、向ヶ丘遊園駅を基点に64まであります。

 ちなみにこのときにはまだ向ヶ丘遊園そのものは営業していて、ここからチケット売り場に入って、 広い花壇のような階段の横にあるエスカレータで上に登っていったと記憶しています。

 2003年5月

 橋脚などの施設の解体工事が進められているということを聞きつけ、急ぎ取材に向かいました。

 向ヶ丘遊園駅側の駅舎や階段、乗り場はすでに撤去され自転車置き場に変わっていました。

 もともとのこの駅舎の形は「マンサード型」といって、 本線の向ヶ丘遊園駅の駅舎にデザインをあわせたものでした。 中折れした屋根を持つ小田急独特のもので現在では向ヶ丘遊園駅(北口)のみとなってしまったそうです。 (注:本来はギャンブレル屋根と呼ぶのが正しいとのこと)

 駅から続くモノレール線はまさに解体工事中でした。府中街道沿いは橋脚もすでに取り払われたもや、 残っているものもあってまさに虫食い状態です。(ビルの上にヨットが飾られているところは相変わらずでしたが)

 運賃は大人片道100円。往復切符を買うと割引となったそうです。遊園地送迎用ばかりでなく、 付近の住民の足としても利用されていたと思いますが赤字路線である上に補修費用や期間が相当掛かるということで 復帰することが困難だったようです。
 橋脚がさみしげに見えます。

 撤去途中のレールは向ヶ丘遊園正門駅の直前でぷっつりと途切れ、道路をわたる部分と ボーリング場の手前側にあった駅舎は完全に撤去されていました。それと以前、歩道橋から写真を撮ったのですが その歩道橋も撤去されていました。


 2007年5月

 向ヶ丘遊園(当初は向ヶ丘遊園地)は、1927年(昭和2年)4月1日、小田急線開通と同時に無料の遊園地として オープンしました。戦時中は一時、近衛騎兵連隊に明け渡されましたが終戦とともに返却され、 本格的に整備されて1952年(昭和27年)から有料となりました。園内には飛行塔や豆汽車、 ビックリハウスなどがありましたが特に人気だったのはウォーターシュートです。 山頂から45度の傾斜でレールを敷き、20人乗りの船を急降下させて池に着水させるものです。 着水と同時に船頭がジャンプする光景が楽しみだったようです。
 開園から75年、園内には各種遊戯施設のほか鉄道資料館や保存SL、約1千種2万株のばらを有する 「ばら苑」があったのですがついに閉園となりました。そして現在「ばら苑」は川崎市に移管され、 「生田緑地ばら苑」として運営されてシーズン中のみ公開されています。


 モノレール線はきれいさっぱり全て撤去されていました。代わって橋脚番号29があった付近に モノレール線があったことを示すモニュメントが建てられ、遊歩道が整備されていました。 2本のモニュメントは2周り以上小さな形をしています。

 2008年6月

 向ヶ丘遊園跡地の利用計画が気になり、元のチケット売り場の建物をたずねて見ました。 正門から園内中央の山頂までの斜面はまだ健在でした。右側にはエスカレータがあったと思いますが その前はリフトで、さらにその前は空中ケーブルカーだったようです。
 外壁フェンスには事業計画の概要として立て看板があり、それによれば共同住宅、事務所、 店舗その他となっています。2009年10月に工事着手、4年後に完成の予定となっていました。 近々この建物も解体されてしまうことでしょう。


 2012年6月

 上の画像のさらに4年後の姿です。すっかり解体されていて、元ボウリング場のあったところ (この画像の左手)には「藤子・F・不二雄ミュージアム」が開館していました。


 その影響でモノレール線跡の遊歩道にはそれなりのキャラクターオブジェが多くみられるほか、 駅の電車接近音も「ドラえもんのうた」(上りホーム)になっていました。
 なお、遊歩道や車道上のところどころに モノレール橋脚跡を示すプレートがはめ込まれていました。

  
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