フロントガラスの割れた破片を掃除している人がいた。近所の人が「どうしたんだい?」と尋ねると「ジプシーか子供のイタズラだよ」と淡々と話す。事故なのか悪戯っ子の仕業なのか、ルーマニアではフロントガラスにひびが入っていたりサイドミラーがない車が多い。また、カー用品ショップにフロントガラス、リアガラスが常時売られている。それだけ頻繁に起こるということか。
ルーマニアの国産車メーカーで『ダチア』 というがある。ルーマニア人の祖先ダチア人から取った名前でチャウシェスクが名付け親でフランス・ルノー社の旧型モデルの権利を引き継いでいるらしく元は同じなのだそうな。ルーマニアではこのダチアに乗っている人が多いのだけど、お世辞にも上等と言えないボロ車(失礼)にもハンドルロックやセキュリティーシステムを取り付けている。これには笑える話があって、ドア鍵が5本あればどれかで開くといわれるほどいい加減なのだそうだ。実際、アウレリアンが駐車場で車の鍵を開けて乗り込んだら自分が使うことのない灰皿が開いていて、よく見ると他人のダチアだったという。
話は飛ぶけれど、私のカメラ用のアルミケースもメーカー違い、サイズ違いにもかかわらず1本の鍵でどちらも開く。世に出回っている鍵など同じタイプを使っている人は多いし、絶対開けられないものなどないんだろうな。
知り合いのブカレスト在住の人はオフィスのドアに5種類の鍵を取り付けている。それでも不安でもっと増やしたいという。それだけあるとドロボウも開けられないだろう安心感のためではなくて、ドロボウが侵入するまでに少しでも手間取るようにという対策なのだそうだ。な〜るほど。