CDプレーヤーと音質について

CDが音楽のメディアとして親しまれて20年も経つのに、どのプレーヤーも本当の音を再生していないように思います。もちろん、アンプ、スピーカーなど、オーディオにはまだやり残された解決しなければならないことがあり、これが興味をつなぐ原因でもありますが。

 最近また、アナログレコードのプレーヤーにも画期的ともいえる改善があり、いっそう身近に音楽の豊かさに触れることができるようになったと感じているところです。具体的に挙げれば、寺垣プレヤー(EPSON Σ3000 Σ2000), VESTAXの直線アーム、SMEアームのM2052改造などがそのよい例です。

 一方、CDプレーヤーのどこをどのようにすれば、気持ちの良い音で、音楽がもっと楽しめるのだろうか探り続けてきました。FMラジオの帯域の狭いデジタルメディアを聴いて、なぜ耳が痛く感じないのでしょうか。デジタルに変換しても、元のアナログ信号の大切な要素をできるだけ失わないようにしなければなりません。また、最後にアナログ信号に戻した時に、余計な成分(デジタルに起因するノイズなど)ができるだけ少ないことが望まれます。

 デジタルメディアで音楽を聴いた時になじめない音と感じる理由の一つは、本来の音に付帯音が付くことでしょう。この付帯音を減らすことを追求することで、音質の改善が進んだと私は考えています。付帯音は電気信号に加わるノイズ、位相のずれ、周波数のゆらぎなどがその正体ではないかと考えられます。電気回路や電源部から発生しますが、機械部分からも生じるし、また電気部品の振動も原因であることに気が付くようになりました。CDプレーヤーにとって、そのシャーシーやケースは最も大きな影響を与える構成要素であり、インシュレーターもその役割が大きいことが理解できます。これはLPレコードプレヤーの場合と同様です。

一方、CDプレーヤーが正しい音を出力するには、デジタル信号の正確さが重要です。

 原点に戻って考えてみましょう。時の流れを再現するアナログを一度変換し、デジタル信号としたものを再びアナログに戻すのです。デジタル信号の時間方向の基準は、いうまでもなくクロックの周波数です。アナログに変換する直前の時間方向のゆらぎは、当然、変換されたアナログ信号に反映します。

 また、クロックの基本周波数に付帯している、不要な成分やノイズが音質に変化を及ぼしていることにも気がつきました。基板上の水晶振動子に制振合金のチップを張り付けて、音の変化があったのです。

 音楽を聴くためのCDプレーヤーにとって、音のクオリティを決める重要なパーツのひとつが、水晶振動子およびクロックの発振回路であることは間違いありません。