この公演を観たのが事の始まり…
何気なく見ていた情報誌で、偶然みつけた名前“松村冬風”。一世風靡セピアのファンだった私は(特に松村さんとリーダーの小木茂光さん)何の予備知識もないまま、松村さんが主演だという、その公演の予約をし、劇場へ行ったのです。
横浜相鉄本多劇場の天井の低い最後列で。
一番印象に残っているのは、松村さん扮するある男がアンドロイド3人組に襲われ、闘うシーン。一人をなぎ倒し、もう一人を組み伏せた。客席に向けられたその背中を残りの一人がチェーン・ソウで襲う。ガクッとひざを付き、こうべをたれる男。ほくそえむアンドロイド。ところが…男の顔が、ぐっぐっぐ!と上り、うなだれていた肩が起こされ、ゆっくりと立ち上がり、悠然と振り返る…。
実はその男もアンドロイドだったわけなんですが、もうおう、むちゃくちゃカッコイイんですよー。グレーを基調にした廃墟のようなセットに、黒づくめの男と白塗りの“妖”めいた3人組との対比が効果的で。そして、男はサングラスをかけているんですけど、それでもその時の表情がなんとも言えずビリビリッと…。
いきなり、リピーター
その時の私はまず松村さ〜ん!でしたが、今考えるとこの公演、ものすごい豪華キャストだったんですよね。汗にまみれて、美しい顔をより輝かせる女優さんたち。スパークして、火花が散っていそうな男優陣。とにかく芝居、演劇というものを観たことがなかった私には、強烈過ぎました。観終った後の興奮状態は次の日になっても続いていて、なんと無理をいって仕事を早退させて貰い、当日券でもう一度観ることにしたのです。できることならもっと観たかったのですが、その2ステージで充分、芝居、演劇という“もの”にドップリはまってしまったのでした。なにせ、そのときもらったチラシの中から、(次はこれを観よう!)と決めちゃったりしたのですから…。
以来、いもづる式にいろんな公演を観ることになり、今にいたります。流山児★事務所の公演は、毎公演欠かさずとはいきませんが、ずっと観つづけています。こんなに楽しい趣味を与えてくださった事に心から感謝し、また、どうにも止められそうにない劇場通いに、(あー、あの公演を観ていなければなー)とも思っています。
2000.10.15記
『天狼騎士団』『ザ・寺山』での少年役も、『ダフネの嵐』での妖しいおネエさま役も、『カレー屋の女』での微妙な違和感のある役も好きです。どこが好きかというと、役に染まれる透明感と声。『ザ・寺山』の少年役でも、初演の脇役の少年と、再演での主人公と、両方が好きだったりします。あと『カレー屋の女』での、ちぎれそうな歌声とか。最近、米山さん出ないなぁと思っていたら、事務所HPで休団されていると知り驚いたのもつかのま、『シェルター』で嬉しい2年ぶり復帰のお知らせ。今回は残念ながら観られなかったけれど、次回は必ず観たいです。2000.11.5記
ルナティック・フリンジ『靴の踵の月』での、恋するおばちゃんも大好き。2001.1.9