2008年3月11日(火)

日本演出者協会 若手演出家VSベテラン俳優 バトルロワイヤル★チャンピオン祭り

 小林組 「ロミオとジュリエット」より抜粋

  演出:小林七緒(流山児★事務所) 出演:中田春介 瑞木健太郎

  下北沢「劇」小劇場 500円(公開稽古から公演、シンポジウムまですべて)

 稽古開始11:00〜 開演19:30〜

 

公開稽古見学の覚え書メモ

 11時に「劇」小劇場へ。

ロビーにいた中田さんに驚かれ「お客さんですか?」と訊かれて、「お客です」と答える。

準備していた七緒さんも「30分頃からになりますね」ということなので一旦離れる。

適当な時間に戻ると“お客さん”はもう一人いらした。

―以下乱雑覚え書メモー

*中田さんと瑞木さんは黒っぽいジャージの上下姿。

*舞台下手奥寄りに平台2枚が重ねてある。その横、舞台中程に2mほどの脚立。周りに箱馬が10個ほど転がっている。

上手の奥には平台や箱馬が重ねてあるが、こちらは使われない。

*他に使う小道具は、ベージュ色でストール位の布とジュリエットからの手紙という設定の紙の束くらい。

*各自、銃撃音を口真似しながら舞台上を走ったり、台詞を繰ったりして、ウォーミングアップ。

*前日が非公開の稽古で打ち合わせがあったそう。

出演者は二人とも一晩でほぼ台詞を入れてきているとのこと。

*七緒さんの声がかかって本格的に稽古開始。

*照明、音響は始めはなし。一時過ぎに照明さん&音響さん初顔合わせで通しを観てもらった後

作業開始。

13時代と15時代と16時代に休憩。

*返し稽古、通し稽古、台詞の読み合わせ、照明・音響を入れて止めながら通し稽古。

七緒さんから随時、台詞の選別、大まかな動き、声の出し方、シーンごとの関係の優劣、距離の取り方など指示。

 

*男優二人によるロミオとジュリエットということで、オリジナルのプロローグがある。

七緒さんが設定を決め、具体的には台詞も含めてエチュードで作り上げていた。

*現代的な戦時下の様子、銃撃音や爆撃音の中で男二人が逃げ惑う。

(音響が入る前の効果音は七緒さんの口マネで入れていた。

照明は始めは明るいままで、進んだところで照明を暗くして稽古。

本番の照明もこのプロローグ途中まではかなり暗く「なにをやっているのか判らないくらいのが面白い」と七緒さん。)

先に避難した男(瑞木さん)がロミオ(中田さん)を暗渠に引き入れる。

(脚立を入口に見立て、幾つかの箱馬で入口を塞ぐようにする。)

二人はお互いの素性を知らない。

*七緒さんの指示は「立て気味のウィスパー(ささやき声)で」

イメージは防空壕というほどではなくいつ崩れるかもしれない感じ。

*銃撃は止んだようだが、雷雨がくる。

(七緒さんから音響さんへ「銃声がやんで男が外を窺おうとしたらすぐ雷鳴を」

2つの音が一枚のディスクに入っていたためタイミングが合わず、編集して解決。

音源は以前流★事の公演で使ったものだったらしい。)

ロミオもまた攻撃かと怯むが、男が雷におびえているのに気づきなだめる。

だがロミオも狭くて暗いところを恐れ、パニックになる。

今度は逆になだめられ、そうこうするうちに辺りは静かになるが、朝までそこで過ごすことにする。

…恐がる順番が逆だったら良かったかも…

(照明は若干明るくなっている)

落ち着いた男は懐から手紙をとりだす。

ロミオが尋ねると、それは妹からの手紙で、これから会いに行くところだったのだという。

ロミオも恋人に会いに行くところだったのだと話す。

すると男は、今度はお互いの相手も一緒に4人で会おう、と言う。

この状況を生き延びられたらという願いを込めて。

 夜更けに目の覚めた男はまた手紙をとりだす。

辺りが静まっているのを確かめて外へ。

(手にした布を上着のように肩にかける)

「おおロミオ、貴方はなぜロミオなの…」(ジュリエットの台詞を手紙の内容として読み進みながら脚立の上へ)

「その名を捨てて…でなければ私を愛して…」

やがてロミオが目覚めて起き上がる。

外から差し込む光に気がつく。

「なんだろう、あの光は…あれは東、ジュリエットのいる方角…ジュリエットは太陽だ…昇れ太陽…」ひかれるように外へ。

(ロミオは暗闇を恐がるので光を大切にすると、七緒さんの注釈)

*「…嫉妬深い主人など殺してしまえ!…」

 

(男が肩にかけていた布をかぶり、振り返ったロミオがその姿をみつけると原作のバルコニーの場面に代わる)

布をかぶりきったところで振り返って欲しいという指示。

瑞木さんが1アクションで被れるようになった為、途中でテンポを早める。

(中田ロミオは舞台下手端のやや高くなったところへ)

「あれは俺の可愛い人!…俺の愛する人…」

「何か話している…いや何も語ってはいないのか…」

「答えようか、いやあれは俺に話し掛けているのではない…」

「あの目に星が宿ったなら、光が溢れて昼と間違い小鳥が歌いだすだろう」

(この場面では瑞木さんはジュリエットになる)

ロミオが聞いているとは知らずに、想いを口にするジュリエット。

「…薔薇は薔薇という名前がなくても、その美しさや香に変わりはない…あなたの手でも腕でも足でもない、その名前を捨てて…お父様の名前、キャピュレットを捨ててくださったなら…私ももうモンタギューではない」

思わず答えてしまうロミオ。

ジュリエットに気づかれて

「名乗ろうにも名前がない。あったが捨ててしまった。それは貴方の敵だから」 「ロミオ?ロミオなのね」

!!!、ジュリエットの前(脚立のそば)へ飛び出す中田ロミオ。

その勢いのまま、瑞木ジュリエットのいる脚立の足元の箱馬へ飛び乗り、台詞を続けるようにと。

*「恋に出来ない事はない、出来ることならなんでもする…」

高い壁も苦にはならない…恋を防ぐ役には立たない…というところで手を羽ばたかせる中田ロミオ。

瑞木ジュリエットの「みつかれば此処は死の場所…」という台詞と重なると“お亡くなりになった人が飛んでいくよう…”と直し。

*七緒さんの指示で「…見つかりはしない、夜のマントを身につけているから」で照明の当たらない下手へ。

「けれど君が愛してくれないのならば、見つかって殺されたほうがまだましだ」挑むように照明の当たるジュリエットの前へ。

(瑞木さん「押し返したりして」、中田さん「照明取り合って?」)

*何十本の剣より→何千本の剣より

*脚立の上にいた瑞木ジュリエットが降りてくるタイミングを七緒さんは

「ここでロミオが引けばジュリエットがついて行きたくなって…降りてくる」

*「だれの手引きで?」「恋の手引きで。恋が手を貸して、僕が目をかした…」

今度はロミオが脚立に上がり、想いを語るがジュリエットの呟きに遮られる。

ロミオは少し間抜けな感じで、ジュリエットは舞い上がった感じで。

*愛されていると判ってはいるけれど、あえて不安げにふるまうようなジュリエット。つられて近寄るロミオ。

*「…ほら、こうして夜の面を被っているわ…気持ちを聞かれてさえいなければ、もっとよそよそしくしたでしょう…」

少し距離をおくジュリエットに近づくロミオ。

*「誓おう。木々の梢を銀色に照らす、あの冴えた月に誓って…」「月に誓うのは止めて。月が満ち欠けを繰り返すように貴方の心も変わってほしくはないから」

「それなら何に誓えば…」「何にも…どうしてもというなら…あなた自身にかけて誓って」「…この愛を私の魂に…」「やっぱりやめて!」

中田ロミオを途惑わせる瑞木ジュリエットは幸せそうだ。

元は“果樹の梢”カジュノコヅエだったけれど、中田さんが申し出て変更。

このシーンを返している何回目か、中田ロミオがうつむいた瑞木ジュリエットの顎をつまんで上向かせた時があった。

かと思えば、月の方を向かせるのに頬を両手ではさんでグリッと向かせたりも。

*七緒さんから瑞木さんに、「ずっとキューっとなっているから、息してね。」「ここで相手(ロミオ・中田さん)を見れば、ゆったり自由にしているから任せてしまえばいい」

布を被って胸の前で合わせて持っているので気持ちがこもると自分で締め付けてしまっている感じ?

*「今日突然誓われても…まるで稲妻のように一瞬だけ光って消えてしまいそうな気がして…」ロミオから離れて上手端まで行ってしまうジュリエット。

「恋人達が誓いを破ってもジュピターは笑っているだけ…」

追いかけてきた中田ロミオ、稽古し始めでは「ジュピター?」と呟くようだったのがだんだん声が大きく確認するようになってきたのがおかしかった。

それにしても何故ジュピター?

*気持ちが落ち着いてロミオを帰そうとするジュリエット。

「満たされない僕を置いて行ってしまうのか」「これ以上なにを望んでいらっしゃるの?」

「俺の誓いと愛の誓いを取り替えて…」「それならもう差し上げてしまったわ…でもできることなら取り返したい」

「取り返そうというのか、何のために」「もう一度気前よく差し上げるために」

七緒さんから瑞木さんに「ここはジュリエットのほうが大人で大きく包み込むような感じに

*ジュリエット「この胸の安らぎが貴方の胸にも宿りますように…」

屋敷内から呼ぶ声に答えながらロミオをひきとめておきジュリエット去る。

(瑞木さん脚立をくぐり平台に腰掛ける)

*一人になったロミオ。熱に浮かされた感じで脚立に上がり

「ああ幸せだ、なんて幸せなんだ。今は夜、これは全て夢なんじゃないだろうか。まさかかつがれているのではないだろうな?」

七緒さんから中田さんに、「後の悲劇を感じさせないよう暗くせずに」

 

*爆撃音が響き、プロローグと同じく男二人に戻る。

しばらくして音が止み、それぞれの仲間を見つけた二人。

男は下手へ、ロミオは上手へ。

振り返り相手の行方を確認し、敵味方であった状況を知る。

やむなく背を向けて去ろうとするロミオに、男が妹からの手紙を読み始める。

「ロミオ…ロミオ。…明日使いをだすわ…本当に結婚を考えているのなら、その使いに約束の場所と時間を伝えて…でなければ…」

七緒さんから瑞木さんへ「呼びかけてから気がついた位の感じで」

*それを聞いてロミオも男の素性に気がつく。

七緒さんから中田さんへ「驚くけれど申し訳ない感じではなく…」

*ロミオ「…俺の魂にかけて…」はっと何かに気づいて走り出す。

男も続いて何かを探すように走り出す。

ふたりとも舞台からいなくなる。

 

*ややあって下手地下から、舞台に男が戻ってくる。

重ねた2枚の平台をみつめ近づく。

七緒さんから照明さんへ「男が平台を見つけたらそこがやや浮かび上がるように」

思い切って中を確かめる。

(一枚を立てかけ、その裏側に沈むようにして)

兄の声で「おおロミオ、雄鷹を呼び戻す鷹匠の声が欲しい…」

七緒さんから瑞木さんへ「ジュリエットが亡くなっている事を大きな怒りで」

*上手からロミオも辿り着く。

ジュリエットをみつけて

「俺の名を呼ぶのは俺の魂だ…」

*平台の陰からジュリエットの声で

「ロミオ」

ロミオ、ジュリエットの横たわるそばゆっくり移動しながら落ちついた声で

「なにか?」

「明日は何時に?」

「9時に」

「ああそれまでが十何年もあるように思われるわ…」

そこにいるジュリエットは亡くなっているけれども、会話は続いていたように。

「夜が明けてしまう…もうお帰りになって…でも、悪戯っ子の小鳥のように遠くまで飛ばせたくはない」

「君の小鳥になりたい」

「そうしたら素敵ね。でも可愛がりすぎて殺してしまうかもしれない…やっぱりお帰りになって…誰かに見つかっては大変…」

「君の目に眠りを、胸には安らぎを…」

「…おやすみなさい」

*兄、ジュリエットを見つめたままの様子で起き上がってくる。

ロミオ「…朝がきたら神父様の処へ助けを求めに行こう…そして、この幸せを告げよう…」

ロミオと兄が顔を見合わせる。

暗転。

 

*通し稽古のあとで台詞確認の為、読み合わせ。

七緒さんの「好きなようにリラックスしてやってください。でも少し早回しで。」に

中田さん「…いや早回しもなにも…“動物園”でも?」

七緒さん「動物園でも()

瑞木さんはストレッチしたり平台に横になったりしながら。

中田さんは舞台上を上手から下手、また上手へと行ったり来たりうろうろ、壁に手を当て俯いたり仰向いたりしながら。

二、三箇所詰まるところあり。

休憩と灯り作りの間に更にさらっておいて下さいと指示。

*七緒さんは劇団で照明班も兼ねている。照明さんのセッティングもきびきびと手伝っていた。

*プロローグ、暗転から薄明かりで地下から出て来る中田さんは、待機の時に陰が移りこまないよう工夫。

同じく2階から駆け下りなければならない瑞木さんも危険な感じ。

七緒さんから「気をつけて、怪我をしないように」と何度も声がかかる。

*途中、見学者が増えたり減ったり。

*最初の休憩に入る時、七緒さんに2階から観てもいいか尋ねる。

本番では役者が階段に待機するので入れないけれど今ならOKとのことだったので上がって見る。

演出している七緒さんを見やすいようにという思惑があったのだけれど、やっぱりついつい舞台上に気がいってしまう。

18時半には稽古終了。1910分開場、19時半開演。

     上演時間は約20分。