−2006/01/09 UP−

■□■2005年 ブンガクのまとめ■□■

僕はいわゆる「活字中毒者」ではないのですが、本を読むのはフツーに好きです。
ここでは、2005年に読んだ本の中から、何冊かピックアップして、
僕がどんなブンガク・ライフ(もちろんマンガも含みますよ。)を送ってきたか、
サクサクッと紹介していきます。それではどうぞ。



 ブック・オブ・ジ・イヤー2005



『激刊!山崎』
山崎洋一郎 著
ロッキング・オン 刊



今年の「輝け!この1冊」は、『激刊!山崎』です。
ロッキング・オンの名物編集者、山崎洋一郎が、編集長を勤めた『ロッキング・オンJAPAN』と
『ロッキング・オン』に書き綴った、まあいわゆる編集後記を、12年分まとめたのが、
この1冊です。
これがまあ面白いの何のって!
前半は割とどうでもいいおちゃらけ話でこっちを抱腹絶倒の渦に巻き込み、
後半は鋭い批評眼で、ロックシーンに対して一言物申す。
もう、文体がすごく洗練されてて、読んでてすごくシアワセ。
ロックに興味がないヒトにもオススメできる、超面白いテキスト集です。
やっぱこのヒト、最高だわ。
どっぷりハマッた1冊で、見事今年のベストに輝きました。
面白いですよー。



2003年ブンガク・ベスト3


−小説−
んー、読むペースが遅かったり、隙あらば村上春樹の再読に耽ったりと、
やっぱり今年もそんなに読んでいないんじゃないか。
でも今年はサリンジャーをまとめて読んだりもしてて、
なかなか充実した小説ライフだったんじゃないかなー、と。
でもつくづく、小説をじっくり読む時間を作りたいなあ、と感じる今日この頃。
そんなもん、自分のやりくり次第なんだけどね。
では、今年読んだ小説のベスト3を。


『SPEED』 金城一紀
もう、もう、もう。待ちに待った待望の待ち焦がれた金城一紀の新刊がやっと出た!しかもゾンビーズ・シリーズの最新作と知って、喜びは2倍!興奮を抑えながら読んだんだけど、『フライ、ダディ、フライ』と同じく、ゾンビーズ登場時点でアドレナリンが爆発。そして中盤を過ぎてラストに至るまで、もうページを繰る手が止まらなーい。
クライマックスからラストにかけてなんてさ、1ページごとに泣きそうになってたもんね。
どうしてこんなにカッコ良い文章が書けちゃうのか。
どうしてこんなにカッコ良いことを言ってしまえるのか。
青臭い?上等。作り話の夢物語?So What?
誰が何と言おうと、この胸が晴れ渡る感動は生きる活力となって僕を支える。最ッ高!
『東京奇譚集』 村上春樹
『海辺のカフカ』(長編)→『アフターダーク』(中編)→そして『東京奇譚集』(短編)と、順調に自らのルーティンを踏んでる村上春樹。タイトルを見たときは首をかしげた。だって「奇譚」なるものは、村上春樹にとって、いまさら声高に言う要素じゃないから。でも、確かにこの短編集における「奇譚」なるものは、今までの作品に出てきたそれとは違う肌触りを持っている。主人公がそれを「通過」する、という意味合いでは同じなんだけど、その後の変化は、この作品ではそれほど多大なものではなく、それが終わった後は、あっさりと主人公は元の日常に戻っていく(もちろん、確かな波紋はしっかりとある)。長編での「奇譚」が、主人公の存在をも揺るがすほどのトリガーとなっているのに対し、この作品での「奇譚」は、何らかのきっかけに過ぎない。
日常の中に潜み、僕らが見逃している分岐点。それが「奇譚」というメタファーとなって物語に登場しているのではないか、と。
『ベルカ、吠えないのか?』 古川日出男
えーと。ここにこの作品を置くのは、自分がやっていることながら、ちょっと反則。
だってまだ読み終わってないんだもん。
それでも、この小説の面白さに、僕はこのスペースを『ベルカ、吠えないのか?』にあげてしまう。このヒトの作品を読むのはこれが初めてなんだけど、まー文体のカッコ良いこと!特にイヌ視点のエピソードの文章のスピード感はシビレてしまう。人間同士の、妙に古臭いダイアローグも妙な隠し味になっていて、全体のハードな雰囲気が一貫して緊張の度合いを高めている。軍用犬が辿る戦争のクロニクル―。果たしてどのように物語は決着を迎えるのか。
ページがヒリヒリと熱いです。もうすぐ読了予定。


−ノンフィクション−

今やノンフィクションもすっかり僕の読書ライフの一部になりました。以前はホント読まなかったから。
今年もいろんな本を読んで、正直、ノンフィクション部門のセレクトがいちばん悩みました。
そん中でも僕の知的好奇心(があるとするならば、ソコ)にハマッた3冊をここでご紹介!

『激刊!山崎』 山崎洋一郎
今年の「ブック・オブ・ジ・イヤー」に選んだ1冊。
僕はもともと山崎洋一郎のテキストが大好きで、エレカシだってミッシェルだって、この人が紹介したおかげで手にしたようなもんである。だけど改めてこの人の文章を一気に読むと、まあ面白すぎますね。理論的で、感情的で。その2つの要素が、洗練された文体でテーマをキチっと伝えてくる。言葉の選び方、言い回しなど、全く無駄がなくって、何かすごく文章のお手本にもなるし、言ってる事のいちいちに共感してしまう。前半のバカ話では笑いっぱなしで、後半のそうなんだよね!上手く言葉に出来なかったんだけども!的なロック解析まで、一分の隙もない。さすが山崎洋一郎である。「注射嫌い」から「トム・ヨークの憂鬱」まで、ロックンロールの果実が詰まった批評集です。
『意味がなければスイングはない』 村上春樹
ついに出たっ!村上春樹の音楽評論集!!今までありそうでなかった1冊(『ポートレート・イン・ジャズ』はあったものの)が、ついに刊行されました。
シューベルトからブライアン・ウィルソンまで。スタン・ゲッツからスガシカオまで。ロッキング・オンの「ロックとは!」的精神論にずぶずぶにハマッてる僕としては、村上春樹が、彼独自の音楽観に根ざしたアプローチによって、対象を解析していく様子がすごく斬新。あくまでクールに展開される村上春樹の論法に、素直に頷くことしきり。また説得力あるんだ、これが。ロッキング・オンとはまた違ったフレームで、すごく刺激的だった。

予想できたこととはいえ、
ブライアン・ウィルソンの章におけるテンションの高さがものすごいことになってます。
『現実入門』 穂村弘
「現実だな。現実ってかんじだ。」
「現実恐怖症」の穂村弘が立ち向かう、初体験のあんなこと、こんなこと。実直なルポものと思いきや、いつも通り虚虚実実に進んでいく穂村弘の「現実+妄想」日記。
信じられないことだが、ここには幸福があるッ!
しかも、少女漫画とか古本とかじゃなく、人との温もりがこの本にはあるの!
僕が穂村弘結婚という衝撃のニュースを知ったのは、これを読み終わった後でした。たぶん、このあとがきで触れている人と結婚したのでしょう・・・。
改めて読み直すと、その幸福感にいろんな気持ちになる。穂村ファンにとっては分岐点のような1冊。だってこの本を境に、穂村さんは「現実世界」に行けちゃったわけだからね。置いていかれたわけだ、僕は。
そんな複雑な気分も含め、『ほんとうはちがうんだ日記』よりは、断然こっち。


−マンガ−
今年は新しい本棚を1個買ったことが、僕の2005年における1つのファインプレーでした。
(もともとそんな気はなかったんです。浮いたお金で買っちゃいました。)
でもそのおかげで、それまでギュウギュウだったスペースが一気に拡大!
これからどんどん新しいマンガが買えてしまうわけですよ!
結局、1年を通してみると、マンガはそれほど買っていないんですが、
これから。これからー。


『のだめカンタービレ』 二ノ宮知子
本棚を買ってスペースが出来て。よーし、ついに集めちゃうぞお!と意気込んで、ついに僕も読み始めました。『のだめ』を。
いやー、噂に違わず、面白いっすねー。今現在、9巻まで読み進めました。奇人変人勢ぞろいの笑えるクラシック漫画。でもやっぱりのだめでしょー。むぎゅー!だの、ぎゃぼー!だの、おかしな擬音を炸裂させながら、ピアノを弾かせたら彼女はそんじゃそこらの女の子じゃないんだぞ、と。そしてそれに振り回される千秋もまた面白ーい!
音楽漫画として、二の宮知子の演出も秀逸で、どんどん引き込まれてしまいます。サブキャラでは、シュトレーゼマンがお気に入り。渋いっす。

『ひかりのまち』 浅野いにお
『素晴らしい世界』ですっかりハマッてしまった浅野いにおの、7月に刊行された作品、『ひかりのまち』。描かれるのは、丘陵を開発した新興住宅街、通称「ひかりのまち」でサヴァイヴする人間たちのドラマ。「閉塞された日常」というのは、もはや手垢のついた舞台設定で、僕はもうそれほど、物語に自己を投影することもなくなったんだけど、浅野いにおの描く閉塞は、未だに鮮やかなほどに胸に迫り来る。きっと彼が徹底して「生き続ける者」にフォーカスを当てているからなんだろうな。そして同時に、「消失」に強く感情移入しているからだと。生きることに何の意味も見出さずにいる主人公たちに、浅野は誰よりも強く同調しながら、優しく静かで、しかし安易な死から彼らを遠ざけ、寄り添っている。苦しくも安らかな閉塞を、(本当は誰もがそう望んでいるように)浅野は良しとしない。光の放射を確信し、主人公たちを救い上げようと浅野は身を砕いているように思える。
生き残った者だけが、物語の語り部となり得る、というような。
『SEX』 上條淳士
単行本1巻と2巻が出たきり、その後ぷつりと続刊が出なかった上條淳士の幻の名作『SEX』が、12年の時を経て、遂に全巻刊行されました。現在の上條による修正も多数。相変わらずこの人の筆力には圧倒されます。イメージショットの鮮やかさといったら、もうたまんない。基地がある街を舞台にしたハードボイルド漫画。上條特有のギャグセンスを織り交ぜながら、ブギーに続く夏の物語にはヘロヘロになりました。やっぱカッコいいなー!『8』が中途半端な形で終わってしまったのは残念。新作が待ち遠しいー!


* * * * * *


・・・・・・あらためて振り返ってみると、やっぱり今年もあんまし数は読んでいないんじゃないか、と。
でも今年も面白い本に沢山没頭できました。
他にも『ダウン・ツ・ヘヴン』、『ハイ・フィデリティ』、『ドキュメンタリーは嘘をつく』、
『明日がいい日でありますように』、『赤い雪』、『ハチクロ』、
『バガボンド』、『ロマンティック食堂』などなど、いろんな作品に感動し、興奮し、
泣いて笑いました。2005年も楽しいブンガク・ライフを送りたいです。
読書は僕にとって、あくまでも娯楽のひとつ。何より楽しくなくては。豊かなものでなくては。
以上、「2005年 ブンガクのまとめ」でしたー。





もくじ
#3.2005年 ブンガクのまとめ
#2.2003年 ブンガクのまとめ
#1.実験小説 『眠り』