君が疲れたら 甘やかしてあげよう。
君が頑張っているなら 頭を撫でてあげよう。
君が泣きたい時は 抱きしめてあげよう。

自分に出来る事は、君が羽を休める事が出来る場を作る事だけ。


 聖者代行  - キミノタメニデキルコト -



「おはよ・・・・・・・う?」

(・・・なんだ?この大量の郵便物は・・・・?)

ある朝。起きてみたら水守がテーブルの上で大量の郵便物と格闘していた。
思わずいつもの朝の挨拶が途中で止まる。

「あら、おはよう。早いのね。チョット待ってて。すぐ朝ご飯の用意するから・・・・」

水守は慌ててテーブルを片付けようとするが、
それにしたってテーブルが一杯になるほどの郵便物だ。すぐ片付くわけがない。

(仕方ないな・・・・・・)

心の中で一つため息をついて片付けるのを手伝う。

「・・・ごめんなさい・・・・。迷惑、かけちゃったわね・・・」

すまなさそうに小さくなる水守。
謝る位なら最初からやらなければいいのに、と思うが、
いつもなら先に起きて、完璧を目指して用意をこなす彼女が、慌てているのも珍しい。

「・・・やっと一通り片付いたわね。手伝ってくれてありがとう。」

「・・それよりも、一体何を・・・?」

とたんに、水守はぱっと明るく笑い、
さっきまでテーブルにあった郵便物の一つを手に取る。

「あのね・・・・!郵便局に、「サンタシステム」というのがあったの。
 それはクリスマスにプレゼントを渡す事の出来ない親や孤児院の大人達が
 子供から預かったサンタ宛の手紙を「サンタシステム」という箱に
 いれるシステムなんだけど、
 その箱に入った手紙に書いてあるサンタさんへのお願いを、
 他の人が匿名で叶えてあげるというシステムなの。」

「・・・・なるほど。」

つまり、彼女は、その見も知らぬ子供達の願いを叶えてあげる事の出来ない
大人達の代わりに叶えてあげたいという訳だ。
実に彼女らしい行動とも言える。

「私は、家から貰っていたお金や、大学の時に取った特許料のお金とかで
 全然使っていないお金ががまだあるの・・・・・。
 何に使うでもなく、ただただ貯まっていったんだけど、 
 子供達のサンタの代わりになれるなら素敵な事だと思わない?」

そういって水守は手紙を大事そうに抱きしめる。

「人は、どこかで関わりを持っていたいのよ・・・・・・」

 たとえ見も知らない。関係のない人でも。

そういう彼女の顔はとても綺麗だったから。

「判った。」
「え?」

そういってさっき片付けた手紙の一束を手にとって中身の確認を始める。

「あ、の・・・なに、を?」
「これの中身を全部確認して、プレゼントを渡すんだろう?」
「そうだけど・・・」
水守はきょとんとしている。こんな所も相変わらずだ。
我知らず、笑みが零れる。

「もう一人手伝った方が終わるのも早いと思わないか?」

「いいの・・・・?」
水守の顔がだんだん明るくなる。
「あぁ。」
それで水守が喜んでくれるなら安いものだ。

「・・・・ありがとう・・・・!!」


その時の彼女の笑顔は。


ただ。とても。しあわせなきぶんにさせてくれた。

ただ。とても。とても。きれいだった。

それだけでこんな事なんでもないと思えた。








「あ、でも・・・・。朝ご飯は食べなくっちゃ。一日の元気のモトだもの。」




そういって微笑んだ水守もまた綺麗だった。



―了―

バレバレですがかも水守さんと一緒にいるのはあえて誰とは限定せずに!!
書き終えた後で水守さんの一人称にすれば良かったと気づき愕然。
目指したのは相手不確定な水守さん総受け話。

所で、サンタシステムっつーのは本当に存在します。
(アメリカにあったですよ。TVでやっていました。)
「人はどこかで関わりを持っていたい」というのもこの責任者さんが言った台詞。

でもサンタシステムという名前だったかどうかは不確定
(作業中だったので忘却の彼方/ォィ)

ひとまず書けて良かった・・・かな?(未消化ですが。)

01/12/25

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