スタート時刻が近づいてきたので、入水チェックのために集合し、選手各自で、机の上の計時用アンクルバンドを勝手に取る。
これって、大事なものだから、普通はレースナンバーを確認しながら、一人一人、オフィシャルから手渡ししてもらうのが普通だと思っていた。
取り間違いがおきそうだなぁ、と危惧していたら、やはり、取り間違えた人がいたようだ。
ウェーブ制のスタートなので、順次、スイムキャップの色で分けられたグループごとにまとまって、スタート地点へと向かう。
私は、緑色のキャップ、アダルトな中年の魅力漂う40歳以上50歳以下男子、の第3ウェーブのスタート。
08:30ごろ、いよいよ第3ウェーブのスタートが迫る。
腕時計を計時モードにする。
スタートのために、桟橋まで移動する。
さて、この段になって、遥か前方に見える折り返しのブイまで泳いで帰ってくるのが、一周なのか、二周なのか、わたしは分からない。
というか、わたしは勝手に一周だと思い込んでいた。
隣のときパパさんに、「一周ですよね」と聞くと、「多分二周のはず」だと言う。
オフィシャルにときパパさんに聞いてもらい、二周だと判明。
うぅ・・・あんな遠いところまで行って帰ってを2回も・・・。
やはり、1.5kmってそこそこ距離が長いなぁ、とちょっと焦る。
この大会のスイムスタート方式は、フローティングスタート。
すなわち、桟橋から海に飛び込み、スタートラインの目印になっているロープ際まで泳ぎ、そこでしばし浮いて待機し、ヨーイドンで泳ぎだすという方式。
初体験のスタート方式だ。
第3ウェーブの順番になったので、桟橋から海に飛び込む。
勢い、頭の先まで水の中に潜る。
水中では前が見えないではないか!
予想していたよりも、海は汚い。
透明度は東京湾とどっこいどっこいのような気がする。
あぁ、残念。
水温は、発表では28℃と高いので、凍えることはない。
浮いて待つ間に、透明度の悪さがきっかけで、前回江戸前トライアスロンで「沈」しかけたトラウマが急に襲ってくる。
どきどきして、パニックになりかける。
ヤバイ、視界の無い水では泳げないかもしれない・・・。
リタイアしちゃおうかとさえ、考える。
まぁ、泳ぎ出してから考えようと開き直ったときに、ホーンの音がプワァ〜ンと鳴り、スタート。
仕方ないので、最後方からバトルに巻き込まれないように、ゆっくりと泳ぎだす。
あぁ、ぜんぜん大丈夫だ。
泳げる。
良かったぁ。
最初は息があがらないように、ゆっくりめで腕を回す。
息継ぎのたびに、コースと平行する護岸が見えるので、方向修正もしやすい。
大きなストロークを心がけ、のびのびと泳ぐ。
腕時計の計時、スタートを押すのを忘れていたことに気づき、泳ぎながら、スタートボタンを押す。
時々、ヘッドアップをしてコースを修正しながらマイペースで泳ぎ、思っていたよりも早く、折り返しのブイに到達。
時折、後ろから抜いてくる選手にのしかかられたり、追い抜こうとした時に前の選手に蹴られたりしながら、ゆっくりペースで進む。
一周目終了。
少しだけペースを上げる。
途中、後ろから追い抜こうとしてきた選手を思いっきり蹴ってしまった。
左足の甲に激痛が走るが、そのまま泳ぐ。
抜かれ際に頭をはたかれる。
ゴーグルがずれて、塩水が目にしみる。
立ち泳ぎして、ゴーグルから水を排出し、また泳ぎだす。
いろんなことが起こるたびに息が乱れる。
なんとか、2周目もクリアし、護岸から垂れた階段に取り付き、陸に上がる。
スプリットタイムを計るために、腕時計のボタンを押す。
二本の脚に重力を感じる。
スタスタと小走りでバイクラックへと向かいながら、ゴーグル、スイムキャップを外し、ウェットスーツを上半身まで脱ぐ。
自分のバイクラックに到着して、まずは給水。
真水は美味しい。
次いで、ウェットスーツを脱ぎ、タオルで簡単に全身を拭き、座り込んで靴下を履き(キツイ)、バイクシューズを履き、ヘルメットを装着して準備完了。
バイクをラックから外して、バイクスタートゲートまで、バイクを押して走る。
トランジションで走る余裕があるのは、今までより進歩している。
バイクスタートのゲートに到着して、乗車。
またまた、腕時計のボタンを押し、スプリットタイムを・・・。
あれれ?
ここで、腕時計の画面を始めてみて、計時モードではなく、普通の時刻表示になっていることに気づく。
スイムスタート前に、計時モードにしてから、スタートボタンを押すまでの時間が長かったから、計時モードがキャンセルされていたのだった。
ここから、再計測開始。
バイクは、10kmコースを4周回して、距離40kmを走る。
最初の一周目は抑え目でいこう。
走り出してすぐに、前走者を見て気づく。
あ・・・レースナンバーベルトをつけるのを忘れてた・・・(汗
まぁ、ヘルメットとバイクに、レースナンバーシールが貼ってあるから良いとしよう。
直線部では、DHポジションを取り、時速30kmちょっとで巡航する。
直角ターンや、180度ターンが連続するので、巡航速度を保てない。
ターンのたびに、立ち漕ぎして再加速しなくてはいけない。
向かい風も強い区間がある。
そこでは、20km台の後半までスピードが落ちてしまう。
そんな低速走行でも、向かい風区間ではDHポジションが有効。
スタート地点まで戻ってくると、コース脇には応援する観衆がすずなり。
この区間だけスピードアップ。
気分だけはカンチェラーラ。
180度ターンし、気合を入れて立ち漕ぎすると、一周目終了。
2周目、3周目は全力走。
直線部巡航で時速35km程度までスピードを上げる。
いい感じで汗も出てきた。
ゼイゼイしながら、走る。
結構、前を走る選手を追い抜けた。
4周目の前半部まで全力走。
後半は、ランに備えて息を整えながら走る。
ボトル二本分の補給水を全部消費する。
カーボショッツ2袋を補給する。
4周目が終わるころに、後方から、「LiLiSukeさん!」との声。
ときパパさんが軽やかに抜いていった。
最後は流して、4周回を終えてバイクゴール。
手元の時計で、各周回ごとにだいたい、25分、19分、20分、20分、のスプリット。
バイクを押してまた走り、ラックにバイクを掛け、靴を履き替え、ここでレースナンバーベルトを装着して、水を補給する。
準備完了で、ランコースにイン。
10kmのランスタート。
うわぁ〜、脚が重いではないかぁ!
バイクでがんばり過ぎたか。
左脚は棒のように固まりかけている。
全然脚が前に出ない。
ちょこちょこと、小またピッチで走り出す。
せっかくバイクで抜いたのだが、ランではどんどん抜かれる。
しばらく走ると、後方から、「LiLiSukeさん!」とまた声をかけられる。
ときパパさんが軽やかに抜いていく。
バイクで走行中に一度抜かれているから、バイクからランへのトランジションでときパパさんを抜き返していたということか。
左脚が攣りかけている。
ゆっくり走りながら、ほぐす。
折り返し地点が近づく。
先に折り返したときパパさんが前方からやってくる。
励ましあってすれちがう。
一周目の後半になると、左脚の攣りが納まり、ちょっとは脚が動くようになる。
二周目。
暑くなってくる。
曇っていた空に晴れ間ができ、太陽が出てきた。
暑い日差しが肌を焼く。
暑い!
エイドステーションでは、紙コップの飲み水ともらうのと一緒に、ひしゃくで頭から冷たい水をかけてもらう。
これが最高に気持ちいい。
一瞬だが、頭がキリリと冴える。
そして走り出してしばらくすると、また、頭が茹で上がってくる。
次のエイドステーションで、また、頭を冷やしてもらう。
二周目が終わりに近づき、ペースを上げる。
ゴールに向けて、最後の力を振り絞る。
ゴール地点が近づいてくる。
分かれ道に差し掛かる。
左に分岐すれば周回コース、直進すればゴール。
前を走る選手が軒並み左の周回コースへと進んでいく。
あれれ?
変だなぁ?
ゴールに向けて直進しかけて、コース脇のオフィシャルに、聞く。
まさかとうは思うが、「二周ですよね?」
なにを寝ぼけたことを言ってるんだ、タワケ、という感じで、「三周です」
・・・ゲゲゲの鬼太郎。
力尽きる。
分岐まで逆向きにとぼとぼと戻り、周回コースに入ってすぐのエイドステーションで水を受け取り、開き直り、思い切り立ち止まって、ゆっくりと水を飲む。
周回数を勘違いするなんて、アホだ。
腕時計のタイムをみれば、距離が足りないのは分かるはずだが、頭が茹で上がっていたので、腕時計が示す数字の意味を理解していなかった。
しかたないので、もう一周走る。
かなりの苦行。
折り返し地点が近づき、前方から三たび、ときパパさん登場。
すれ違うたびに、距離が離されているのがよく分かる。
最後のすれ違いは、ハイファイブでエールの交換。
パワーを分けてもらった。
よし、最後まで全力でがんばろう!
折り返し、水浴びしながらゴールを目指す。
もうすぐ、今度こそ、ゴールだ。
最後の最後は、もう一度、ペースアップ。
ゴール寸前、前走するランナーを一人パス。
ゴールテープが見えた。
前にも、後ろにも、ランナーが居ないこと確認。
単独で、堂々と、力いっぱい両手を挙げて、テープを切って、ゴォール!
やったぁ、やり遂げた!
で、タイムは?
手元の腕時計は、2時間30分を示しているが、これは、バイクに乗車してからのタイム。
総合タイムが分からない。
ゴールゲートにタイムが計時されていない。
タイムが分からないので、どんだけがんばれたか分からないのはちょっと不満だが、全力を出し切ったので、満足度かなり高し。
ゴール脇のテントで完走賞のタオルをもらい、ときパパさんと再会、ギュッと握手、お互いの健闘を称えあう。
オフィシャルからペットボトルの水をもらう。
500mlを数秒で一揆飲み。
残念ながらバナナは売り切れ。
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