2010/10/10 東京・江戸前トライアスロン

5:30起床。
雨がしっかり降っている。
でも、参加する。
今が一番からだが動くはずだから、夏の渡良瀬大会の記録更新を目指すのだ。

しかしながら、少々寝不足である。
寝床上で胡坐をかいて、しばし、ボンヤリとする。
気合一発、起き上がり、準備開始。
パン、バナナなどで朝飯を取り、パッキング済の荷物とロードバイクを車に積み込む。
トライショーツは履いておく。

しっかりと雨の降りしきる中、6:15に自宅を一人で出発。
寒そう。
今回はLiLiSuke単独参加である。

6:30に自宅待機の妻から、娘2号の運動会の開催の可否が携帯電話に連絡される手はず。
大会現地へ向かう途中、運動会中止の連絡が入る。
当然だ。

こんな雨で外で運動するなんざ、正気の沙汰ではない・・・

・・・って、これから海で泳ぐ俺はどうなの?

現地到着は予定より少々遅れて、7:20。

第二駐車場に誘導させるが、駐車場の前に車の列ができていて、全然前に進まない。
これは何かのトラブルに違いない。
7:45受付終了の時刻を迎えても、まだ駐車場に入れない。
誘導係が、前の方から、一台一台に話かけては、一台一台列から離れてUターンして行く。
なんとも効率の悪い案内だ。

やっと自分の車の横に係員がやってくる。
「駐車場がぬかるんで、これ以上は入れないので、他の駐車場を使ってください」・・・怒
もっと早く伝えろよ。
ず〜っと待ってて時間を無駄にした。
他の駐車場の場所を聞いて、急行する。

雨は降り続く。
駐車場に車を乗り入れる。
準備開始、急げ。

前日に買った山用のハードシェルジャケットを羽織る。
こんなに早く活躍の場が現れるとは。
傘などさしている余裕はない。

ボトルにドリンクを詰め、バイクに装着する。
スイムゴーグルのバンドをちょっときつめに調節し、レンズに曇り止めを塗っておく。
もって行く荷物をIビニール袋に小分けにして、IKEAのブルーバックに突っ込む。
容量も大きい、汚れても気にならないIKEAのバックは、こういう時には便利だ。

ジャケットのフードをかぶり、雨降りしきる中、ロードバイクで会場へ急ぐ。

7:52会場到着。

予定時間を過ぎているが、主催者側も事情は分かっている。
受付を無事済ませる。

予定通り、年齢別に分けられた、第3ウェーブのスタートを確認。

雨は降り続いている。

ゴォ〜!!!

見上げると飛行機が轟音を響かせ、雲の隙間にドデカイ下っ腹を見せて上空を飛んでいく。

そう、会場は羽田空港のすぐ近く。

次はトランジットエリアにバイクと装備を運び込む。

自分のレースナンバー(同僚オフィシャルによると、ゼッケンとは言わないそうだ)の表示を探し、バイクラックにバイクを掛る。
ヘルメットをハンドルに掛ける。
ヘルメットに貼ったレースナンバーのシールが雨ではがれる。
これも、ガムテープで留める。
大型ゴミ袋を引き裂いたシートを掛けてガムテープで軽く留めて、ハンドル〜シートまで雨よけする。
バイクシューズは素足で履く予定なので、ランシューズに靴下を突っ込む。
雨が降っているので、シューズ、タオルを、別々のビニール袋に入れて、バイクの脇に並べる。


お次は着替え。

ハードシェルジャケットを脱ぎ、Tシャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、クロックスを脱ぐ。
トライショーツ一丁の素っ裸状態になる。
トライウェアを着る。
ワンピースのウェットスーツを下まで履く。
再び、ハードシェルジャケットを羽織り、フードをかぶる。
脱いだ服をビニール袋に入れ、IKEAのバックに詰め込んで、トランジットエリアの外の見える場所に置く。

準備完了。

雨の中、開会式会場へ向かう。

08:15競技説明会。

飛行機が飛び去る直下で、競技説明を受ける。
雨は降っているが、予定通り行われるとのこと。
水温は25℃とのこと。
心配するほど冷たくない。
ちょっと安心する。

レースコンディションとしては、良いとは言いがたい。
しかし、記念すべき第一回大会なので、雨が降っていようが、少々の不手際があろうが、皆で大会を盛り上げていこうと言う気持ちが大きい。

この大会を成功させて、次回6月大会につなげるのだ。

そして、雨がやんだ。

曇ってはいるが、雨がやんだ。

対岸に羽田空港の管制塔と、旅客機の群れが見える。

トランジットエリアで身支度の最終チェックを済ませ、スイムスタートエリアへ、試泳に向かう。

いよいよだ。

8:45から入水チェックと試泳タイム。

計時用のアンクルバンドと、ウェーブごとに色分けされたスイムキャップを受け取り、スイムエリアに入る。
真っ黒な砂浜に素足で立つ。
曇天の中、左手対岸、目の前に羽田空港が見える。

残された試泳時間は5分ほど。
ゴーグルをはめ、急いで水の中に飛び込む。

冷たい!

先ほど開会式で、水温は25℃と発表があったが、本当か?
もっと冷たく感じる。
しかも、曇り空もあって、水の中は真っ暗。
視界ほぼゼロだった渡良瀬遊水地では、日が差していたので、視界ゼロながらも、緑色の水が明るく見えた。
今回は、視界はもう少しよさそうだが、暗い。
水の色が黒い。
体に悪そう・・・。

クロールで沖へ向かう。
泳げば体も温かくなって、水の冷たさも忘れるだろう。
沖まで50mほど泳いで、ウェットスーツで浮く体で仰向けになると、上空を飛行機が横切っていく。
あぁ、これが青空バックで日が差していたら、どれだけ気持ちのいいことか。
さて、時間だ。
岸に帰ろう。

岸に向かってクロールで進む。
が、なんだか息苦しい。
息継ぎのタイミングだけでは、息が苦しくなる。

ハァハァ息が乱れる。

思わずクロールをやめて、顔を上げて平泳ぎに変更する。
なんだか、胸が締め付けられて息苦しい。
ウェットスーツは借り物で、サイズが微妙にきついのは事実だ。
でも、こんなことは、前回の渡良瀬ではなかった。

やばいなぁ〜。
これって、いわゆる過呼吸か?
そんなことを漫然と考えながら平泳ぎで岸に到着。

大丈夫。
落ち着いて泳げば大丈夫なはず。
自分に言い聞かせる。

参加者全員が浜辺で集合完了。
海にボードに乗って展開しているライフセーバーたちに向かってみんなで感謝の拍手。
トライアスロンに参加して思うのだが、この競技の参加者って、老若男女、いろんな立場の違いがあれど、トライアスロンに関わっているという仲間意識がとっても強いと思う。

主催者、要人の挨拶を聞く。
開催までやっとこぎつけた嬉しさがあふれている。
水温の発表は、23℃とのこと。
さっきの25℃よりも下がっている。
でも、実感としてはもっと冷たく感じた。

いよいよ、第一ウェーブのスタートが迫る。
自分は第三ウェーブなので、スタート横断幕から離れた位置で、彼らのスタートを見守る。

プワァ〜ン。

エアホーンの音が曇天に鳴る。
9:15、記念すべき第一回大会の、第一ウェーブスタート。

ウオォ〜!!!

掛け声勇ましく、真っ黒なウェットスーツに身を包んだ集団が、走って黒い海に飛び込む。
たちまち黒い水面にしぶきが上がり、白く泡立つ。
集団が泳いだ軌跡が水面に刻まれ、そこだけ水の色が変わって見える。

第二ウェーブもスタートした。

沖合いをどんどん進む集団が見える。

いよいよ私の番だ。
興奮で、先ほどの過呼吸の心配など吹っ飛んでいる。
やったるでぇ!
横断幕の下に、会社の同僚オフィシャルが目に止まり、両手を挙げて手を振ると、クールにニコリと微笑み返しされる。

プワァ〜ン!

スタートだ。
本当は集団の中段で入水して、バトルもこなしつつ、最初から全力で泳ぐプランだった。
750mの距離なら、最初から全力で飛ばしてもいけると思っていた。
ただ、試泳の時の不調が心配だったので、このプランは変更。
今回も最後尾からゆっくりエントリーし、とにかく自分のペースをつかむことを第一に考えた。

ゆっくり歩いて前進し、腰まで水に漬かり、前傾して水に飛び込む。
ゴボゴボと水の音が聞こえる。

暗い。

寒い。

いつも以上に、ゆっくりとストロークして進む。
顔を上げるたびに、灰色の重たい空が目に入る。
水に顔をつければ、真っ黒な世界。
息よ落ち着け。

駄目だ。

息が苦しい。
最初のブイにたどり着く前に息が乱れだす。
一度乱れた息が落ち着かない。

こうなるとちょっとしたパニックである。
これから700m以上は泳がなくてはいけないのに、スタート直後からこんなことでどうする。
顔を上げての平泳ぎに変える。

駄目だ。

リタイアか。
いや、それだけは絶対にしない。
ゆっくりでも良いから泳いで進もう。

顔を上げての平泳ぎなので、遅々として進まない。
一緒にスタートした参加者は、皆前方はるかを泳いでいる。
私の周辺で泳いでいる参加者は3、4人だ。
だれもが、何かしらのトラブルできちんと泳げていない悲惨な状況の参加者のようだ。
息をゼイゼイ言わせて、背泳ぎで蛇行している参加者もいる。
ライフセーバーがしきりに「曲がってる!」「大丈夫か!」と声を掛けている。
彼に比べれば、まだ自分の方が、大丈夫そうだ。

折り返しのブイになんとかたどり着いた時点で、第四ウェーブスタートの集団の先頭に追いつかれる。
それからは、次々と抜かれる。
こちらがトラぶっていることなどお構い無しに、水しぶきけたたましく抜いていく。
邪魔にならないように脇に避ける。
息が苦しい。

駄目だぁ。

たどり着けないかもしれない。

折り返すと、左手前方遥かに、岸に架かった黄色いゴールゲートが見える。
あんな遠くまで泳いで帰っていかないといけないのか。
息が苦しいので、背泳ぎにしてみる。
でも息が落ち着かない。

思い切ってクロールしてみるが、ふたかきほどするだけで精一杯、顔を水に漬けること自体が苦しく思われて、すぐに平泳ぎに戻る。
水に顔を漬けるのに恐怖心さえ感じる。
こんな経験は生まれてこの方、初めてだ。

亀の歩みで進む。
いや、亀ならもっと速く泳げるだろう・・・。
つまらないことを考えながら、平泳ぎでもがく。

横には先ほどから、ライフセーバーが一人、専属で付きっ切りで並走してくれる。
彼が居るから気持ちが折れないで、泳いでいられる。

ずっと横に居てくれ。

黄色いゴールゲートが近づいてきた。
あと100mほどか。
ここまでくればあとちょっとの距離なのだが、それでも、もうリタイアしたい気持ちがあるくらい、息苦しい。

あと50m。

ライフセーバーが「ガンバ!」と声をかけてくれる。
「クソォ!」
自分のふがいなさに腹が立ち、うめく。
息継ぐたびに、あごの下で水しぶきが立つ。

あと15m。

苦しさたまらず、脚を着こうと立ち上がる。
が、脚は空を切る。
まだ底に脚が着かない。
平泳ぎに戻る。

あと10m。

立ち上がる。
着いた。
「ありがとう」
ライフセーバーに一礼し、岸に上がる。
最後尾の泳者に拍手が送られるが、全然嬉しくない。
情けない。

ふと、会社の同僚オフィシャルと目が合う。
驚き顔でこちらを見て、「どうしたんすか?」
両手の平で小さく罰点マークをつくり、「駄目」小声で答えてすれ違う。

体が重い。
砂浜に脚を取られつつ、フラフラ進む。
テーブルの上に並べられた紙コップで給水し、とぼとぼとトランジットエリアに入る。

気持ちを入れ替えて、バイクはがんばろう。

ウェットを脱いで、バイクシューズを履き、ヘルメットをかぶる。
ラックからロードバイクもぎ取り、小走りで押しながらバイクスタート地点へ向かう。
公園から道路まででて、バイクにまたがる。

全力で行こうとの気持ちはあるが、思った以上にスイムのダメージがでかいようだ。
バイクにまたがっても、なかなか息が整わない。
ゼイゼイと息をしながら時速30kmで進むのが精一杯。
風が冷たい。
息は荒いが、体は冷え切っている。
冷たい左脚の太もも裏が痛い。

コースは埋立地特有の直線コース、直角コーナーの連続。
途中で橋を渡る時は登り下りがあるが、あとはフラット。
10kmコースを2周、20km。

前にも後ろにも、誰も居ない。
水溜りの水を跳ね上げながら単独でペダルを踏む。

前方彼方にやっと一人の選手を発見。
彼を目標に追いつき、追い越す。

そしてまた単独走。

そんなことの繰り返しで、規定周回の2周、20kmを走りきる。

最後の最後で、やっと息がいい具合に落ち着き、体も温まり、背中に汗をかけた。
もっと走りたい、もっと速く走れるはずなのに、と不満足にバイクを降り、押してトランジットエリアへ戻る。

バイクをラックに掛け、靴を履き替え、ランへ。

バイクは最後の最後まで全力でペダルを踏んでいたので、ランに入って脚がパンパンなのを実感する。
ゼイゼイと息をしながら、とぼとぼと走る。
痰が絡む。
ツバを吐き出すと緑色の塊。
東京湾の色なのか。

理想と現実のギャップに打ちのめされながら走る。
前方に目標にできる走者は見えない。
遥か彼方、折り返してくる選手とすれ違うのみ。
単独で走り、時々すごい勢いで後ろから走ってくる選手に周回遅れにされる。

苦闘の末、ゴール。

ガッツポーズをとる気になんてなれない、失意のゴール。
タイムさえもチェックする気にならない。
渡良瀬大会よりも悪い記録だということだけは確かだ。

タオルとバナナをもらい、ゴール地点を後にする。

すでにトランジットエリアが開放されているので、バイクの元へ。

着替えを済ませ、装備を片付け、IKEAバックに詰め込んで再びゴール周辺へ。

ホント便利。

今回の殊勲賞は、IKEAのバックだな。

たくさんの出店が出ている。

まずは、お好み焼き400円を食す。

美味なり。

豚汁150円。

美味なり。

締めは、カレー350円。

美味なり。

たらふく食べて、駐車場へ戻り、帰宅。

自宅到着は13:00ちょうど。

今回のスイム大失敗にショックは大きい・・・。

まとめ

リザルト
総合タイム : 1:41:27 総合順位 : 270位/完走者290名
スイムタイム : 0:27:30 スイム順位 : 289位
バイクタイム : 0:46:05 バイク順位 : 187位
通過: 1:13:35 266位
ランタイム : 0:27:52 ラン順位 : 274位

王滝快走でちょっといい気になっていた鼻っ柱を、ボッキリ完全骨折させられた今大会。
とにかくスイムの大失態が尾を引きそうである。
プールではマイペースなら何キロでも泳ぎ続けられるので、750mなんてチョロイと思っていたのに、あやうく溺れるところだった今大会。

タイム的には云々するレベルではないが、渡良瀬大会の記録を更新できたのはラン。
まぁ、涼しかったから当然か。
バイクは頑張ったつもりだが、渡良瀬大会よりも遅い。
やはりスイムの失敗があとを引いたのだろう。

次回、同じことにならないためにも、簡単に改善できる範囲の原因をみつけておくことが肝心だ。

1.借り物のウェットスーツはサイズが合わない
胸が息苦しくなったのは、ひとえにウェットスーツがきつかったせいだ。
決して、冷たくて暗い水に精神的に怯えたわけではない!
自分のサイズに合ったウェットスーツを買おう。

2.海の水はプールの水よりも冷たい
でも、やはり、冷たい水はいやだ。
ウェットスーツは、ロングジョン(袖なし)ではなく、長袖タイプのを、買おう。

3.体調を整えて参加すべし
寝不足だった。前日、前々日と深夜まで起きていた。トライアスロンをなめてた。
早起きに備えて、前日は早寝しよう。

以上3点のせいで、今回はスイムでトラぶったということにする。

以上、3点さえ改善すれば、次回はきちんと泳げる。

ぜったいに泳げるはず。

そう信じないと、トラウマになってしまう・・・。

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