水映月 〜 Gallery 〜
美紀さまの心の声より
メランコリー
私はいつも部屋に閉じ隠って 花を描いていた
同じような花をいくつもいくつも
そして決まって最後に黒く塗り潰した
見えなくなるまで
欠けた鉛筆の芯はナイフのような形をしていた
ある時は部屋に閉じ隠って音楽を聞いていた
辺りを気にせず大音量で
それが唯一聞こえる誰かの声だった
私も歌った
声が出なくなることを恐れていたからだった
小さな箱舟に一歩足を踏み入れると
小さな自由を与えてくれた
虚ろな瞳を静かに閉じると
不思議な世界に連れて行ってくれた
だから私は降りたくなかった
こんな居心地の良い場所から
またある時は部屋の窓から空を眺めていた
透きとおった空をずっとずっと
止まっているようだけど確実に動いている雲
私も同じように
止まっているように見えて前へと動いてるの?
小さな箱舟は時に私を堕落させ
小さな邪心を抱かせた
虚ろな瞳を静かに閉じても
消せない画像が甦るだけ
だけど私は降りたくなかった
仮初の居場所を失いたくなかった
本当は心に希望があるのに
無理矢理 押し殺して
虚ろな瞳を静かに閉じたら
闇黒の海に私を浮かべて
深く深く沈むから
波の冷たさに気付くまで