予防線











前々から気にはなっていたことがある。
二つ年下の一年生。
入部した時から何かと亜久津に纏わりついていたのは知っているけれど
その理由については聞いたことがない。
聞く気も更々なかったからまぁいいのだけれど。
しかし最近度が過ぎているような気がしないでもない。


「あっくんさぁ、壇クンに何かしたワケ?」
「知らねぇ」

たった一言、それでもきっぱりと言いきる亜久津の言葉に嘘偽りはない
んだろう。・・・そうなると本人の計り知れないところで事は起こっていた
というところだろうか。
無意識のうちに何か・・・・。


千石としても亜久津に付き纏う事に関しては別に何とも思わないのだが、
敢えて亜久津の周りに余計な虫を増やす必要性も無い。
「・・・・・早めに対処した方がいいか」
笑顔のままで千石は冷ややかな視線をコートの隅の一年へと向けた。





部活が始まって間もなくして亜久津は部室の扉を開けた。
あまりサボってばかりもいられず、仕方なく部活へと足を向けたのだった。
すでに部活は開始されている為、部室には誰も居ないだろうと踏んで欠伸
交じりに部室内へと足を踏み入れた。
「遅いよ、あっくん?」
突然かけられた声に驚いたもののその声の主に知らず眉根を寄せて振り
返る。
「・・・・んだよ、千石。部活始まってんじゃねぇの」
室内のベンチに座っている千石に厭味を込めて一瞥する。
それに対して千石は自分こそ、とでも言うように苦笑した。
何故ここに千石が残っているのだろう、という疑問は残るがすでに部活開
始時刻より30分。いい加減出なくては後が煩い。
出て行こうとしない千石に構わず着替えを済ませるとさっさと部室を後にし
ようと歩き出した。
目の前を通り過ぎる瞬間に急に腕を取られて体制を崩し、そのまま千石に
引き寄せられるようにベンチへと倒れ込んだ。
「−−−ってぇな!何っ・・」
罵声を浴びせる前に唇が塞がれた。
暖かい息が触れたと思うと頭を固定され深く口付けられる。
「んっ・・!う・・・」

性急なキスに力一杯千石の胸に拳をぶつけてみるがそれでも止めるどこ
ろか怯みすらしない。
千石の手がジャージのウエストに掛かった時、やっと我に返った。
「・・・っちょ・・・待っ!何考えてやがる!」
「何って解ってるでしょ」
言いながら手はズボンを下ろしていく。
止めさせようと伸ばした腕も千石のもう片方の腕に頭上で押さえつけられる。
「・・・・・・いい加減にしろよ、千石・・」
「そんな格好で言われても説得力ないよ、亜久津?」
「ふざけんな!誰か来たら・・・!」
「来ないよ、誰も」
さらりと言う。
その表情から本当に誰もここには来ないのだと悟った。
だとすれば尚更千石が何を部員に言ったのか・・・・
そうこうする内にも千石の手は亜久津の下半身へと延びてくる。亜久津は
自由にならない体で何とか千石から逃げようと身を捩った。

「・・・どこ行くの?こんな格好で?」
冷やりとした感触が最奥へと触れる。
まさか・・・と思う間もなくいきなり貫かれた。
「いっ・・・あ!」
引き攣れるような痛みに思わず唇を噛み締めた。
熱さと痛みで目の前が真っ赤に染まる。
「そんな噛んだら切れるよ、唇」
言葉とは裏腹に尚も奥へと突き入れられる感覚にいつのまにか押さえを無
くした両手で千石の上着を引き剥がすように握り締めた。結果的には縋って
いるようにしか見えないのだが。
「痛・・・・・・ぁ・・・」
「大丈夫だよ、声だしても。ここには誰も来ないからね」
そう、誰も来ないのだ。
・・・・・・・・・・・たった一人を除いては。
他の部員は出来の良い二年が押さえてくれているだろう。
目的はただ一人。

いつもと違い余裕の無い交わりに亜久津は完全に翻弄されていた。
殆ど無意識に回された腕に力が篭る。
最初は必死に声を押さえようとしていた亜久津だったが、それも長くは続か
ず、次第に意識しない声が自然と口から洩れる。
本人の自覚の無い甘い声。
「あっ・・・んぅ・・・・」
痛みはすでに快楽へと摩り替わり耐えようの無い熱を与えてくる。
揺さぶられるたびにあがる声に満足げに笑みを浮かべるとそっと高潮した
頬へと口付けた。
千石の耳に微かに遠く砂地を蹴る足音が聞こえた。
小走りに走ってくる足音。それは目的の人物であることを告げている。
部室まであと数メートル・・・・・・・
気づいて敢えて無視を決め込むと千石はゆっくりと亜久津の耳元へと唇を
寄せた。
「亜久津、イキたいならちゃんと言って?」
その言葉に潤んだ瞳で睨みつけると暫くしてすっと視線を外し顔を隠すように
千石の肩口へ埋め聞こえるか聞こえないか位の小さな声で呟いた。
・・・・・・・清純・・・・イ・・・カせて・・・
「良くできました」
千石は亜久津自身へと絡ませた指に力を込めた。
「ああっ!・・・はっ・・」
イク瞬間亜久津の肩越しに見えたのは部室の扉の影になっている一年生。
驚愕したように見開かれた瞳とぶつかり千石は不敵に笑って見せた。
次の瞬間にはもうその姿はなく、半開きになった扉から微かに風が入り込ん
でいた。


掌に吐き出された白い液体を舌で舐め取り大きく息をついている亜久津に視
線を戻す。
「あっくん大丈夫?」
「・・・じゃねぇよ!馬鹿じゃねぇか、こんなとこで盛ってんじゃねーよ!!」
重くダルイ腰に力が入らず起き上がれずにいる亜久津に軽く口付けて、
「でも、たまにはこういう所も燃えるんじゃない?」
と笑顔で言うと途端右拳が飛んでくる。
「死ね!馬鹿が!!」
「あははごめんごめん。ま・目的も果たしたしね〜」
「は?」
「何でもありません」
腑に落ちないと言った顔の亜久津にもう一度なんでもないと言いベンチの下に
腰掛ける。
・・・これで少しはあの一年も大人しくなるだろうか・・・
考えてふと気づく。『見られた』こと自体を亜久津が知ったらどうするのだろう
か・・・・と。まあ、言う気はないから大丈夫だろうけど。
あの一年が言う筈もない。
ここまでしてもまだ宣戦布告をしてくるようならこちらにも考えがある。
取り敢えずは『亜久津は俺のモノ』だってことは伝わったろうし。
そうなったらそのとき考えればいいこと。





どちらにしてもいい迷惑なのは亜久津仁のみである・・・・・・。














ふっと思いついたエロ!!
っていうか一部身内が「太一X亜久津」ってうるさいんだもんさ!!
ゴクアクなの〜〜〜〜!!!あっくんは千石のモンなの〜〜〜〜!!!
って意味で書きました。夜中に急に!
だってなんだかだってだってなんだもん!!!
あ、でもあんまエロくなってない〜〜〜
精進精進★・・・いつもこればっか;;

                      なる。