1.モールス符号、短点と長点の比率について

ここでは、皆さんの良く知っている「教科書」的なものは書きません。理由はありきたりでつまらないからです。

モールス符号は、アマチュア無線、かつて聞こえていた業務無線(と言っても、業務無線は船舶間通信、船舶陸上間通信、特別な陸上通信で使用され、1999年1月31日をもって海上通信からは一部を除いて廃止され、
GMDSSへと完全に移行しました)で活躍していました。現在、まともにモールス電信が使用されているのは残念ながらアマチュア無線だけということになりました。

さて、皆さんは、知識としては短点と長点の長さの比率が1:3であることは良く知っているかと思います。しかし実際に受信していますと、様々な比率で送信されているのに気づくと思います。

今回は、長点が長くなったり短くなったりする理由を理解するために参考になれば、とこの項目を作りました。内容は家主の体験、経験に基づくもので、他人からの伝言、書籍の参考はありません。

1.純粋にアマチュア無線から始めてアマチュア無線で使用している方は、概ね教科書通りの綺麗な1:3の符号を送信してきます。ただし、最近は自動的に短点、長点を発生する「エレキー」が普及していますので、それを利用する方も大変に増加しています。

2.陸上電信で、音響受信機で訓練を受けた方は概ね短点が短くなります。理由は音響受信機の構造にあります。切片が符号に会わせてコイルに吸引されるときにコイルの頭部の金属とぶつかり「カチッ」と音がします。そして電流が切れると戻り、押さえ金とぶつかり、「カチッ」と音がします。この時間差で短点と長点を判断しています。そのため、長点を長く送信するとかえって分かりづらいため、長点を短めに送信する習慣がつきます。

3.船舶通信の実務を行っていた方は概ね長点が長くなります。短波を使用している船舶通信では、雑音が入ったりフェージングにより符号が聞き取りにくくなることが多いわけです。更に、汽笛を使用した音響信号による通信では、短点長点の比率が1:4以上1:6以下と決められています。この2つの理由から概ね1:4位で打つ習慣がついたものと思われます。

同じモールス符号でも、利用のされ方に違いがあるわけですから、当然、打ち方に差が出来ても不思議はないということになります。

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