ようこそ、小説の小部屋へ
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☆こ・い・し・ひ・ろ・い
(2005年12月、完結)
日本社会をドロップ・アウトした僕は、最初の訪問国、オーストラリアで有紀という女性に出会う。
☆R A S (ラス)
―愛したくても、愛することのできなかった娘への贈り物―
(2006年1月、連載開始)
アメリカのロス・エンジェルスに暮らす麻子とスミレ親子は、麻子の実家がある日本に里帰りするにあたり、
初めて西日本への旅行を計画するが、娘のスミレが、どうしても訪ねたいと言い出したのは、
麻子には二度と耳にしたくないと思っていた、島根県の津和野という地名だった。
津和野という町は、昔アメリカで一緒に暮らし、あげく麻子が裏切られたと思っている、礼一という男の出身地だった。
二十数年前、日本社会に収まりきらない麻子は、日本の建築の専門学校を出ると、
夢と野望を持ってアメリカに渡った。アメリカでの現実は厳しいものだったが、
それでも麻子は、6年という時間は掛かったものの、無事アメリカの大学の建築科を卒業し、
アメリカで生きていく道を模索し始める。そんな頃出会ったのが、礼一だった。
同じような生き方、同じような道をもつ二人は、いつしか惹かれるようになり、一緒に暮らし始めるが、
ある日、礼一が持ち帰った、建築のデザイン・コンペに、二人揃って作品を出品する。
ところが、アメリカでのキャリアのない礼一にはすでに限界があり、見事当選したのは麻子だった。
二人は、麻子の当選のお祝いに、食事に出かけるが、麻子はそこで、酔いに任せて、礼一を傷つける言葉を吐いてしまう。
礼一が理由も告げず、麻子の側から姿を消したのは、それから暫くしてからだった。
理由も告げずに消えた礼一。さらに、麻子のお腹には礼一との新しい命が芽生えていた。
苦悩する麻子だったが、その命を捨て去ることはできず、生んで育てる決意をする。
その時生まれたのが、スミレだった。しかし、それで全てを失いかけた麻子は、礼一を心底恨むようになる。
そんな理由があり、渋々だったが、津和野をスミレと訪れた麻子は、太鼓谷稲成神社の参拝に出かけ、
階段で躓いてケガをした、盲目の初老の男性を助ける。麻子は行きがかり上、
その男を無視することはできず、同行を申し出る。
長い九十九折れ階段を、お互いの身の上話を交わしながら上る内、麻子はその男が病気で、
すでに余命が幾ばくも無いことをしる。
そして、お互い名乗らぬまま別れるが、別れ際、男は麻子に、実家の金沢にはこれから行くのか訪ねる。
それに何気なく答えた麻子だったが、別れて暫くして、男が麻子の実家を知っていたことに気づき、
もしかしたらその男が礼一だったのかもしれないと、呆然とする。
それから3ヶ月ばかりして、ロス・エンジェルスの麻子のもとへ、ニューヨークの画商と名乗る男から電話が入る。
その電話は、礼一から頼まれたものを渡したいので、ニューヨークに来てもらえないかという申し出だった。
そのことを麻子から聞いたスミレは、麻子の態度を見て、ニューヨークに行くことを同意する。
会ったことも無い父親に、まったく興味のないスミレと、長年礼一を恨み続けた麻子。
二人が、ニューヨークで明かされる礼一の秘密と半生を知った時・・・。
FOREVERと言わないで
―私はユダヤなの。彼女は、寂しそうな顔をして、ぽつりとそう言った・・・。―
(2006年10月、連載開始)