NZ旅行こぼれ話 |
『NZ地獄のケーキ』 ふるさんの場合 |
私は、NZに新婚旅行に行きましたが、ここでは日本の感覚でケーキが食べられないなぁ、とつくづく感じました。 むちゃくちゃに甘いか、全く味がないかのどちらかでして・・・。私は、大酒飲みですが甘いものも大好きなので、 通常のケーキなら好んで食べます。しかしNZ初日のディナーで出されたチョコレートムースはスプーン一杯を食 べるのに死ぬ思いをしました。スプーンで一口食べる度に砂糖を口に押し込まれたみたいで、コーヒーを飲んで 口の中をゆすぎました。だいたい、ディナーが異常でした。「田舎風パテ」という献立だったのですが、肉にマーマ レードジャムがかかっているのです。マーマレードをパン以外に付けて食べたのは、この時が人生で最初で最後 だと思います・・・。 次の日がまた驚き! バイキングスタイルのランチで、ケーキを食べようとコーナーに行ったら、地元のお婆さんが 「メレンゲ」をたっぷり皿に採っていました。私は、昨晩の経験から、ムースは異常であると学習したので、メレンゲ なら甘味はないだろうと思い、ほんのちょっと皿に採って味見をしようとしたところ、お婆さんが東洋人が遠慮をし たのと勘違いしたのか、いきなり微笑みながら、有無を言わさずに皿一杯に「メレンゲ」を追加してくれたのです。 席に座っても、そのお婆さんが監視を続けるので、仕方なく一口食べてみると、あめぇーの何の!思わずオレンジ ジュースで口をすすぎました。きっと、あのお婆さんは、乙女の頃、太平洋戦争で恋人を日本軍に殺され、密かに 日本人に仇をとろうと考え、突然復讐のチャンスに恵まれたので私を糖尿で殺そうとしたに違いありません。多分 秘密結社の一員だと思います。もっとも、そのお婆さんも自らを犠牲にして、大皿一杯の地獄のメレンゲをペロリと 食べて自殺を図りましたが、にこやかにレストランから出て行きました。幸い、私は、死のメレンゲを他のツアー 参加者に押しつけることに成功したため、一命はとりとめました。 その日のディナーでは、デザートで色々な種類のケーキをワゴンから選べるため、昼の教訓を生かして、日本にも あるショートケーキを選んで食べてみたところ、涙ボロボロ…まったく甘くなく、乳製品の脂肪だけの基本的な味 しかしませんでした。この国の味覚は、見た目ではまったく判断できないと悟った私は、その時から、ことケーキ に関しては、他の人が注文して一口食べた時の表情で味を判断して、おいしい顔をした人と同じケーキを注文す るようにしました。この作戦は、当初は大成功を納めましたが、自分が味わった不幸を他人に背負わせる風潮が ツアーにはびこり、選択を失敗しても顔に表情を出さず、むしろにこやかに対応するので、ツアー客は全員疑心暗 鬼となってしまいました。日本人の和を乱す、恐るべきNZのケーキだと思います。 |
『ペンギン調査員の謎』 雪いちごの場合 |
帰国を間近に控えた10月のとある休日、”NZにいる間にペンギンをみるぞー”と一念発起し、”YHのゲストブックに 書いてあった”という話をたよりに友人2人を誘ってOamaruまでドライブしました。飽きるほど続く牧草地帯を抜けて 現れたOamaruの街は整然として美しく、白い石材質の建物がすっきりとして明るい印象でした。 まずビジターセンターを尋ね、ペンギンの情報を確認。"よかった、やっぱりみられるんだわ"、とひと安心。リトル・ ブルー・ペンギンとイエロー・アイド・ペンギンの営巣地、あざらしの現れる時間帯などのアドバイスを受けました。 ペンギンは漁から帰ってくる夕方にならないと現れないので、それまでの時間を展望台やモエラキまでのドライブで つぶしました。(展望台からの眺めはOamaruの街と港が一望でき、とてもよかったです)あざらしは、生憎この日は 現れませんでした。 時間になり、私達は観察小屋でイエロー・アイド・ペンギンを待ちました。小屋からみると、手前の陸はかなり急な崖 になっていて、ほんとにこんな崖をあのペンギンが登ってくるのだろうか?、と半信半疑。3人はただただじーっと崖を、 ビーチを眺めていました。(本当はもっと遠くの砂浜を歩く姿が見られるものらしい)しかし予定の時間帯をずいぶんと まわり、次第に日も傾いてきたけれどペンギンは現れません。後10分、後5分と待ちましたが、とうとうあきらめて 観察小屋を離れました。”残念だねー”と口々にぼやきながら駐車場の近くまで来た時、ばったりKIWIのおじいさんに 会いました。”こんにちはー”と 声をかけると、気さくに話しかけてきます。 ”ペンギンを見に来たのかね?” ”ええ、でも見られなかったんです” ”ペンギンなら巣に戻っているよ。私はペンギンの個体調査をしているので場所を知っている。見せてあげよう。” ”えっ!”思わず小躍りしてしまいそうでした。 私達はおじいさんについて崖沿いの道をしばらく歩きました。なかなか眺めのよい道です。(でもちょっと私有地っぽい) おじいさんはペンギンにマーカーをつけて個体調査をしていることとか、卵がいつ孵るか気になっている、など話ながら 私達を巣穴へと案内してくれました。”ほら、あそこだよ”指差した茂みの前にペンギンが1羽たたずんでいました。 おじいさんは巣穴に近づき、中で卵を温めているもう1羽のペンギンを持っていた棒でどかして卵の様子を確認しようと しました。私達に見せようとしたのかもしれません。でも卵を温めているペンギンは棒攻撃にもひるまず、巣穴の前の ペンギンは頭のてっぺんの毛(?)を逆立てて怒ってました。 私達は自然のペンギンを見られたことに満足しつつ写真を撮ってその場を後にしました。帰り道、”この間も日本人の 旅行者を案内したんだよ。日本のコインをもらったんだ。”と50円玉をみせてくれました。”うーん、50円をあげる意図って なんだろー”顔ではにこにこしながら、(こんなしょうがないものもらってうれしいものかな?)と、ちょっと困惑してました。 そのまま、おじいさんとは別れたのだけど、後になって疑念がふつふつと沸いてきて・・・。あれは案内へのお礼を暗に 促していたのだろうか?あのおじいさんはほんとに調査員だったのだろうか?いやいや失礼な、ただのとっても親切な KIWIのおじいさんだよ・・・。 だから私、”決められた場所よりペンギンに近づく事は禁止”という今のガイドブックの注意書きを見ると、 ちょっとドキドキしてしまうのです。 巣の前で怒ってたペンギン(左)と卵を温めてたペンギン(右) |