<全13話 STORY ダイジェスト>

長き眠りから覚め、マウントアストロゲートで物語の扉が開いた頃・・・

 アメリカ西海岸において新たに3体のマイクロンが目を覚ました。
若きリーダー・レッドライン、経験豊富なフラットアウト、チームのマスコット的存在のサーボ、スーパースタントチームの3名だ。
街に入った彼らは正体不明のマシンの攻撃を受ける。地球人ステラ・ホリーの車にエボリューションすることで辛くも敵を撃退した彼らはステラとサイキックリンクを果たし、目覚めた地・地球を知る。同時期、ポーランドの郊外では同じくマイクロンシグナルをうけて眼を覚ましたテイルスライドが謎のマイクロン・トップギア指揮するマシン・フィクサーバクにより、破壊を好むマイクロンに”アップグレード”されてしまう。(第一話〜第二話)

 探査衛星からの情報で地球に来訪した宇宙船を感知したスーパースタントチームはステラと新たな仲間・ダートと共にはデカン高原で大型TFの快速宇宙船を発見する。バルク(大型TFの俗称)との接触を図る彼らの前にミッドシップ、テイルスライド、トップギアら”アップグレード”したスピードチェイサーチームが現れる。危機に陥るレッドたちだが宇宙船でやってきたバルクといち早くエボリューションしたダートの協力でスピードチェイサーチームを撤退させる。しかし一同が静穏を取り戻したときにはダートはその大型TF・・・デバスターと共に姿を消していたのだった。(第三話〜第4話)

 レッドラインによればパネルから目覚めさせられたり、合体(エボリューション)したりするとマイクロンたちは相手に強い帰属感を覚え、行動を共にしてしまうのだという。これはマイクロンたちの基底プログラムによる「追従システム」により、これはデストロンなど相手によっては自由意志を支配されてしまう恐ろしい一面を持っているのだ。デバスターから宇宙船を譲り受けたスーパースタンとチームの前に旧知の女戦士ソニックアサルトチームのマイクロン・ファルシアが現れる。ファルシアはレッドラインが確保していたマイクロンパネルからチームメイト・トゥワールを奪い返し去ってゆく。憤慨するレッドラインだったが、”アップグレード”たちの脅威を知る彼らは彼女を放っておくわけにはいかなかった。彼女を追跡するスーパースタントチームだったが一瞬早くスピードチェイサーチームの襲撃にを受けたファルシアはトゥワールのパネルを破壊されてしまうのだった。(第五話〜第六話)

 チームリーダー・コンバスタらと合流したファルシアはレッドラインの提案を受け入れ命がけの再生処理に臨む。
自らの組成エネルギーを分け与え、新しいデジタルエンティティフレーム(マイクロンの実体)を作り出す一方で、肉体を離れ、マイクロンの集合無意識領域”リンケージ”に飛び込み、直接トゥワールの”心”を回収するのだ。トゥワールの再生は成功した。「つまりこの子は二人のベビーてこと?」というステラの言葉に命がけの共同作業を終えたレッドラインとファルシアの二人は声をそろえて「ちがう!」(第七話)

 数日後、マウントアストロゲートに集うマイクロンたち。
時を越えた記憶のとおり、子供たちに出会えたことを喜ぶサーボに「一緒に来て」とウィリーは合流を促す。サーボはウィリーたちにレッドラインの意思を伝える。リンケージに侵入したレッドラインとファルシアはリンケージで恐るべき真実を知った。そして、それと向き合わねばマイクロンに未来はないという事実に直面した。伝説のマスターキーへの手がかりを手に、解決策を模索している・・・サーボは伝える「変化に備えてくれ」と。・・・そのころ、南極に集結していた”アップグレード”たちはダブルフェイスから恐るべき”破滅の種子”を入手していた・・・。(第八話)

 スピードチェイサーチームの指示を受け、”アップグレード”アクアレイダーチームがレッドラインらの宇宙船を急襲する。しかし彼らは襲撃を予想して、船を囮に進化の鍵・マスターキーの実現に着手していた。レッドラインの仮説によれば本来、バルクとの合体により戦いを激化させることを目的として生み出されたマイクロンにはマイクロン本来のスーパーパワーを完全に操ることが出来ない機能上の限界がある。フィクサーバグによる”アップグレード”が自我を抑圧し、マイクロン本来の使命に絶対的忠誠心を生み出す代わりにスーパーパワーへのアクセス制限がなくなることに着目したレッドラインはそこから自らを改良する方程式・マスターキーをついに作り出すことに成功した。圧倒的な”アップグレード”の攻撃の中、レッドラインとコンバスタはついに進化に着手する。しかし、そこにスピードチェイサーチームが到着、さらにバルク・ラヴィナスを投入した!(第九話)

 ラヴィナスは強力な強制合体コマンドでサーボとトゥワールを合体する。
ラヴィナスの神経回路には”破滅の種子”が接続されている。”破滅の種子”とはユニクロンの眷属が数々の世界で滅ぼした生物の断末魔の想念を凝縮した結晶・・・いかなる種族の精神世界をも破壊させる力を持っているのだ。そう、”アップグレード”たちは”マイクロンのリンケージ”を破壊するつもりなのだ!ファルシアと合体した自動車の変形したアーマーで果敢にも戦いを挑むステラがサーボの救出に成功するが、ラヴィナスはトゥワールとリンクしたまま飛び立ってしまう。進化を手に入れたレッドラインが後を追うしかし・・・。そのときコンバスタの呼びかけに応じたマイクロン・キングボルトが到来、辛うじてトゥワールを救出する。ラヴィナスを破壊しようとするレッドラインとキングボルトにトゥワールが叫ぶ「彼はサイバトロンよ!」(第十話〜第十一話)

 進化したマイクロンは超パワーでラヴィナスの体内時間を戻し、かつての姿を再生する。ラヴィナスは人為的にマイクロン依存体質にされたサイバトロン戦士だったのだ。破滅の種子がラヴィナスから摘出される。「やつらの陣地にお見舞いしてやろうぜ!」というインパルサーの言葉にレッドラインは首を振る。「これは生き物たちの心なんだ!それも苦しみに満ちた・・・。このまま放り投げるなんて僕には出来ない!」レッドラインは閉じた次元を作り出し、自らのボディにそれを封印するのだった。
進化したマイクロンたちはついに結集した。別れを惜しむステラにやさしく言葉をかけるレッドライン。「知ってる?マイクロンの心は遙かな昔に人間から分けてもらったものなんだ。僕たち二つの種族の心は奥深いところでつながっている・・・どんなに遠く離れていてもね。だから悲しまないで・・・」ステラはマイクロン一人ひとりを抱きしめる。「おそらくここへはもう戻らない、でもかならず君にサインを送るよ、生き延びることが出来たら」そしてマイクロンは宇宙の果てでユニクロンとの最終決戦に臨むのだ・・・(第十二話)

 ついにマイクロンはユニクロンに挑む。
全存在をかけ、その創造主に挑むのだ。レッドラインの前に宿敵スピードチェイサーチームが立ちふさがる。「貴様など病んだ細胞の一片に過ぎぬ無価値な存在、滅ぶべき理由しかもたぬものだ!!」「どうかな?そうしてお前たちの恐れる理由を僕らは持っている、今からそれを見せてやろう!」ユニクロンの前に緑に輝くマイクロンのユニクロンが立ち上がる。そして・・・。

 あれから一年が過ぎた。地球に残されたステラもすっかりもとの生活を取り戻した。マイクロンと分かれてからステラは絵を描くことを始めた。彼らのことを思い続けることできっと彼らの力になれると思ったから・・・そして、ステラには見える、新しい世界を手にしたマイクロンたちの姿が・・・。これは本当のこと。だって、ステラにだけ分るサインが彼女の元に届いたから(Fin)(第十三話)



<作品解説>


 本作品は超ロボット生命体トランスフォーマーマイクロン伝説のDVDシリーズ(初回限定版)に特典として封入されたコミックである。各巻1枚(4ページ)が封入され、各話3〜4ページがストーリーに当てられ、時に1ページがキャラクター解説などに当てられた。市川裕文氏の手によるフルカラーコミックで、全13話・本編45ページ。登場キャラクターはDVD各巻に同じく初回限定特典として付属したオリジナルカラーのマイクロンたちで、全キャラクターが登場している。本コミックはアニメシリーズ本編に完全にリンクし、設定面を補完し世界観を補強する役割をも担っている。またその完成度は国内TFの媒体としても屈指の出来であり、珠玉の一篇である。
 

THE LEGEND OF MICRON
"LINKAGE
"