Lingua Franca-X
sideA COCO
sideB 1 d.B
2 ZOY
Lingua Franca-X(以下LF-X)は「復讐のためのアルバム」に思える。
誰が、何に対しての復讐なのか。
それは「佐藤 薫が、世間とニューウェーブファンに対して」の復讐であ
る。LF-Xの帯を掲載するので見て頂きたい。
潰されたサヴ・タイトル(昭和崩御)、消されたジャケット。
出回ったLF-1デモテープの意外な酷評。そして、「狂った5・21計画」
取り分け、稀代のプランナーだった佐藤 薫が5・21計画を
達成出来なかったのは、耐えがたい屈辱だったように思う。
そうして、ぺヨトル工房よりリリースされたLF-Xは「怨念」に
満ちたミニ・アルバムとなる。
LF-1で収録された「 Coconut」は「COCO」と名を変え再収録。
グリム・スキップのコーラスを極力押さえ込み、リズム・セクション
を前面に打ち出した。「これなんでしょう?皆が聴きたかった
EP-4は」という、カオルの薄笑いが透けて見えそうな一曲である。
LF-1は実質上、川嶋バナナ制御のもとに作られた感が強い。
その為に「ファンク」カラーが薄れた。
つまり「ライブはカオルのもの、レコードはバナナのもの」という
棲み分けが出来ていた様に思う。
さて、LF-Xのインナーにも無記名だが、大変美文が掲載されている。
例によって、謹写させて戴く。
EP-4の素晴らしさを完全に理解していないと、ここまでの美文には
ならないだろう。
彼方より訪れるヴァイブレーション EP-4
LIFE TIDES
生命の中に宿る音像
渦の闇に胎動する一本の思考線
闇の明線
重量という思考を展開する唯一の波動
鉱物を胎動させる動機
月光を孕む羊水の記憶
低周波を内臓するユニット EP-4
7日ごとに襲い来る銀河の波動
肉体の中に流れる塩の黙示録
白い流跡を秘蹟のように啓示する
海が創造していたのが信仰という
原初キリスト者への可能性
ソラリスの海の中で 我々は夢を見る
対象との距離 それを人間は愛という
具象に変えた
距離を距離としない愛
それが細胞
植物園の片隅に 廃墟となった水道路がある
その地底に眠る円形劇場
肉体を腐食する
有害塵芥物が積もる石室の中で
なお細胞動作を想起できうるか
(中略)
胎児番号4
先見しようとする嗜好はつまるところ
畸形の嗜好を含んでいる
しかし畸形の姿には太古の匂いがする
恐怖を知らない潮流の中の夢
進もうとする意志には回帰への願望がある
螺旋軸の中に埋め込まれた胎児群
(中略)
第4の惑星 第4の世界 第4の思想
EP-4
ネプチューンの投影する地球への磁気作用
夜我々は 窓から 青い炎の粒子が
舞い落ちるのを見続ける
遊星が運ぶ生命の潮流
反対称に支持されたバリ島の石
石英結晶の塵芥が月光蒼色を浴びて虹色に光る
絶対の停止 EP-4
この「絶対の停止 EP-4」というテクストだけでも、LF-Xがリリース
された意義があるのではないか。
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