重装皇女メタルプリンセス
ブランド アハン声 ちゅぱ音 運命
AniSeed 一部有り

止まって落ちてリスタート、きちんと作ろうアニメゲーム。

○月×日
メタルプリンセスの事前情報を仕入れようと、販売会社のサイトを覗く。
このサイトにおいてデモムービーが公開されているという情報を掴んだものの、
サイト自体が重く全く繋がらない状況、サンプルCGだけを閲覧する羽目になる。
雑誌等で公開された情報によれば、アニメーションエロゲーとのこと、
割と綺麗な原画と感じたそのCGと、アニメーションという言葉の持つ要素に惹かれ、
どんなアニメーションかもわからぬまま、購入を決定する。

○月×日
通販サイトの「トレンド通信」にてメタルプリンセスを注文する。
普段なら別の通販サイト「ソフトピア」で頼むのだが、
メタルプリンセスに関しては他の通販サイトと値段が変わらない、6000円台後半の値段であり、
送料等を踏まえた上で、トレンド通信で買うことを決定する。
トレンド通信のような大手通販サイトは、今までフライングで届いた事が無いので、
他のエロゲーユーザーと同じく事前にゲームが出来ない事に多少落胆しつつも、
期待して待つ。

○月×日
メタルプリンセスが届いたので早速インストール作業をする。
「フルインストールじゃないと音声が再生されない」との忠告から、
1,2ギガバイトのフルインストールを実行する。
20分ほど作業を進めたところで、エラーが発生する。
デフォルトのインストール先であるProgram Filesフォルダを、
別のフォルダにインストールするように変えたからと、エラー発生条件に当たりをつけたが、
また20分もの時間を使うのが惜しい為、プレイを先送りにする。

○月×日
再びメタルプリンセスのインストール作業をする。
デフォルトのままインストールをしたら、今度はきちんと作業が終了した模様、
無駄な時間を使った事に多少後悔しながらプレイを開始する
冒頭からフルスクリーンのアニメーションが始まり、少々驚く。
いつか見た記憶のある、いかにもなロボットアニメ調のオープニングであり、
エロゲーにおいてこのクオリティが体感出来た事で、作中のアニメーションにも期待が高まる。
しかし、パッケージ裏に書かれている通りのご都合主義シナリオ、
正義の司令と悪の首領を行ったり来たりのシナリオに、多少辟易とする。
普段ならご都合主義に対して特に思う事はないのだが、
パッケージ裏にご都合主義と書いているのだからそれに徹するべきところ、
テキストの端々に製作者のご都合主義に対する「照れ」が見えて、
折角のアツめな正義ロボットアニメなのに、プレイしているこっちが冷めてしまう。
ここで一旦休憩を入れる。

再開後、戦闘に突入する。
ロボット同士が押し合って、画面外に出したら勝ちという単純なゲームのところ、
押すパワーを決定するという要素を持って、ゲーム性を演出している。
初めは要領を掴めなかったのだが、
プレイしている内に、目押しと連打だけで勝てる事を確認、
往年の高橋名人と姿をダブらせるかのように、マウス相手に振動連射する。
勝利した後にはアニメーションで必殺技がカットインされる。
必殺技という、ロボットアニメに欠かせない部分に対して、
オープニングと同じようなクオリティを誇るアニメーションを挿入してることに好感が湧く。
これがエロも同じようなら、と無駄な希望を持つが、
案の定、戦闘後のご褒美エロシーンは少ないコマ数をループさせるだけの、
単なるパラパラ漫画と化している上、コマの切り替え時に矢鱈とカクカクする。
別のキャラクターと戦闘し、違うエロシーンも確かめる為にここでセーブしようとするが、
ゲームが全く止まってしまった。
日を改めてプレイしよう。

○月×日
……あれからどれぐらい、戦闘してエロシーン回収を繰り返したろうか、
その間にどれぐらいの回数、ゲームが止まってしまったろうか。
ほとんどの凌辱シーンを回収したものの、
純愛エロシーンに関しては全く回収されていない、
それどころか、イベントCGですらバッドエンディングのCGしか回収されていないのだ。
凌辱シーンに一応精液アニメーションはあるものの、
コマ切り替え時にカクカクすることが一向に改善されることなく、
おかげで回想シーンを使ったためしがない。
もう、わかっている、重大な欠陥を抱えたゲームであることを。
修正バッチが公開されるまで、放置することを決定する。

○月×日
修正バッチが公開される。
六メガバイトという大きな容量であるものの、
なんという幸運か、最近ADSLへ回線を変更した為に、簡単にダウンロード出来てしまった。
修正をあてる前に、一緒に付いてきた使用上の注意を読むと、
「セーブデータの流用は効かない」とある。
一旦全てのセーブデータを削除しないことには、修正ファイルの効果は無いらしい。
一生懸命戦闘を繰り返した結果を全てゼロに戻さなければいけない、
この感情をどう表現していいかわからないまま、
明日へとプレイを持ち越す。

○月×日
再び初めからプレイを開始する、軽く涙を拭って。
要領は既に心得ている上、修正を当てたことでメッセージスキップが早くなり、
快適にエロシーンを集める。
途中で見た事もないようなイベントが起こり、
ああ、修正が入ってるんだな、と感心するも、
もしかして六メガという修正データ容量の中に初めから無いイベントデータを入れたのか?
という疑念が湧く。
そうこうするうちに、とある凌辱シーンに突入、
したと思ったら、ゲームが全く止まってしまう。
今度の不具合は今までより深刻で、再起動すらかけることが出来なくなり、
断腸の思いで電源を落とす、そして続けていたデータが消える。
修正という文字が表す意味を考える。

○月×日
ハードディスクを掃除しようと眺めていたら、ふとMetalフォルダに目が行く。
フルインストールで1,2ギガバイト、
これはパッケージでも説明書でもインストール時でも表示されてる容量のはずが、
実際のフォルダ容量は700メガバイト、
残り500メガは何処に行ったのかと疑問に思うが、
考えるのも面倒臭くなった為、見なかったことにする。

○月×日
修正第二弾が公開される。
今度の修正は、第一弾の修正を補完したデータであり、
第一弾の修正データを更に修正したデータではない、ということから、
また再びセーブデータを全て削除しなければいけないらしい。
一度は削除を実行、プレイを開始するも、
不死鳥の如く蘇るオープニングムービーとソングが脳天から脊髄までを刺激した為、
このままでは危険と判断し、再び放置プレイに入る。

そして三月五日の現在。
押し入れを開けるとそこに佇むパッケージが一つ、
表紙に刻まれた名は「重装皇女メタルプリンセス」。
全然終わってなどないが、自分の中では終わった事とけじめをつけて、
今日も新たなエロゲーの情報を探そう。
しかし、サイト巡回中にふと修正第三弾を探してしまう自分がいて、
改造セーブデータ若しくは攻略しているサイトが有るかもしれないと探してしまう自分がいて、
―憎い。

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