Case266〜266号事件〜
ブランド アハン声 ちゅぱ音 運命
コンプリーツ 無し 無し

追うぞレイピスト、犯人探しのアドベンチャー。

原画からして、最近の流行である「アニメロリ」を無視し、
「劇画」タッチで攻めるこのゲームは、エロゲの中では異端児のようで、
そこまで気合を入れた、「現代ミステリー」と言えるアドベンチャーが本作品。
敢えての変化球勝負という気合の入りっぷりと、
最近、現代ミステリーの雄「宮部みゆき」を読んだからという理由で、
本作を始めてみました。
お好きな人にはタマラナイ、これだけのシチュエーションを揃えて、
どこまで勝負ができたのでしょうか。

舞台となるのは、アメリカ中西部にあるという架空都市「ロウヴィレッジ」
ここの刑事「ラルフ」となって、脱獄したレイプ犯の二人組を追っていきます。
日本の警察機関ではなく、アメリカンポリスを彷彿とさせる細かい設定、
市警のコーヒーは不味いと評判、そんなフレーズも思い浮かびます。
設定はね。

この作品は、いわゆるミステリーという趣ではなく、
頭に「現代」と付くミステリーなんですね。
登場人物の葛藤、交錯。
そういうものがテーマになるもの程面白いのが現代ミステリー。
のはずが、主人公が刑事では、所詮公僕、
個人に事情があるにせよ、市民を守る義務の方が先立つ訳でして、
何故犯人を追うのか? この動機付けが希薄な物になってしまいます、
刑事コロンボみたいなガチンコ推理物ならともかく。

案の定、脱獄したから追いかけるといった、
ある意味刑事として正しい、しかし物語として間違っている、
そんな始まりのオープニングです。
動機付けって点では「家政婦は見た!」のほうがマシです、
家政婦は「見た」からな。

実際、この動機付けに関しては、
後からのテキストで盛り上げることも可能でしょうが、
刑事物というハンディキャップだけでなく、
オープニングのテキストが弱い、
伏線を貼るつもりか、核心を伏せておくテキストが為に感じてしまったこのスカスカ感では、
先にも期待できそうにありません。

捜査一日目。
犯人が現れそうな場所を洗っていきます。
ここでの移動方法は、コマンド式に選択するのではなく、
マップから候補地を選択します。
このマップが、またまた雰囲気を感じさせてくれるシロモノで、
日本地図のような雑然さは無く、ストリート事に区切ってある地図、
アメリカンテイストを醸しているこの小道具にも、このゲームが凝っている事をアピールしてます。
んが、選択しても、地名が表示されないというリアルまで凝ってどうするんでしょう。
ちょっとだけ表示される背景で、場所を区別することを強制します。

地名と背景を一致させる為に歩き回った一日目、
収穫ゼロ。
そう簡単にヒントなど見つからない、刑事物に対するディティールの濃さはわかりますが、
ゲームになってませんって。

捜査二日目。
事態は急展開、市民からのタレコミで、怪しい人物がいるとの事です。
早速現場に向かうと…うわぁドンピシャ。
刑事個人の捜査には限界がある、それはわかりますが、
ゲームで思い知らされても良い気分にはなりません。
気を取り直して、犯人と対峙します。
にやにや笑う犯人達を見ていると、物語はまだ伏線の段階のようで。
ガチャリ、手錠をかけます。
ゲームエンド。
…へっ?

当然トゥルーエンドでは無く、続きもあることだし、
出来損ないの小説を見ているようだ、と結論付けるにはまだ早いのですが、
それより何より、
物語の核心やエロシーンが見たかったら犯人を泳がせておけ、という、
刑事物の矛盾を平気でやる製作者の節操の無さこそ糾弾すべきと思うんですがどうでしょう。
パッケージ裏に、
「犯人逮捕が物語の正義、エロを見せるのが製作者の正義」
とありますけれど、
それを理解できない奴はプレイするなって事ですか?
ディティールの濃さはダマシのテクニックですか?ダマサレタ俺が悪いの?

迫真のレイプシーンが憎い。
声無しが憎い。

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