2000年10月

とりあえず演奏会は一ヶ月先延ばしとなりました。やはり仕事の関係でなかなか時間が取れず、2、3週間合わせられなかったりもしましたが、先述のような方法で少しずつ練習を進めました。
職場では庶務課の方が大々的に宣伝してくれて、10月21日「秋の院内コンサート」と題してポスターまでできてしまいました。技術的に自信がないし、第一間に合うかもわからないので、あんまり大げさになるのは少し怖いような気もしました。
あと少しの期間しか残っていませんが、どのように仕上げていったらよいのか?初心者ばかりでは悩みます。弦楽器のプロに指導を受けるのは無理としても、客観的な第三者に聴いてもらい意見を求めてはどうかということになりました。ビアパーティの時にも書きましたが、職場にはバンド(ボーカル、ギター、キーボード、ドラム)を組んでいるメンバーがいます。その人たちは弦楽器は弾きませんが音楽的にはとても優れているので、そのメンバーの一人に聴いてもらうことにしました。合奏をする者は、自分たちの団が出している音を直接聞くことはできません。自分の弾いている音が一番大きく聞こえ、しかもバイオリンやビオラは顎を伝わってくる音もあるので、全体的なバランスとしてどのように聞こえているかは全くわかりません。また、初心者の場合、必死になって弾いているとずれていても気づいていなかったりします。
聴いてくれた人は、彼なりの意見を述べてくれてとっても参考になりました。彼はまた、趣味でしっかりとした録音機材を持っており、それらを運搬してきてくれて全曲を録音してくれたのです。そしてそれをCD-ROMにおとしてくれました。これが非常に役に立ちました。なにしろ、自分たちの演奏を良い録音レベルの状態で聴くことができたのですから。”良い録音レベル”ということは、つまり上手な演奏は上手に、そして下手な演奏は下手に聞こえるということです。それ以上でも以下でもありません。ですから、私たちにとっては残酷なほどに”客観的”でした。(ただし、”響き”という点においては、録音では再現できない部分があるとは感じましたが、、、)
従って、CDを聴いた各人はそれぞれ自分の欠点が手にとるようにわかりました。自分ではちゃんと弾いているつもりでもかなりずれていたり、バランスが悪かったりしていました。また、弦楽器は自分で音程をとる(作る)わけですが、自分で弾いているときに聞こえている音程と、録音での音程がかなり異なっていることにも気づきました。反省点は限りなくあるのですが、一番目立ったのは(つまり聞き苦しいと感じたのは)、フレーズ感というか音の感じ方でした。例えば、モーツアルトの曲の場合でいうと、音符(特に8分音符)の長さが各パートでかなり異なっており、とりわけスラーを含むフレーズのアーテュキレーションの違いが目立ちました。また、フレーズの終わりの音の処理の仕方がばらついているのも非常に耳障りでした。こうしたことがCDを聴くことにより客観的にとらえることができ、次の練習に生かすことができたように思います。
この録音の2週間後、何と彼は再び機材を運搬して録音してくれたのです。たった2週間でしたが、こうした作業の後に録音した演奏は、自分たちで言うのもおこがましいのですが、かなり上達していました。”自分の演奏の録音を聞く”ということが、こんなにも効果的であったことを身を持って感じました。
そうこうしているうちに、とうとう演奏会前日となりました。ところで前日はどのように練習すべきなのでしょうか?限られた時間の中ではそれなりに進歩したようには思います。それでも細かい部分ではまだまだであり、課題はいっぱい残っています。とりあえず、一回通してみました。やはり、あまり良く出来ていない部分もあります。でも、前日になって、そうした部分を細かく練習してもあまり意味がないのではないか、と思いました。それよりも、全体の雰囲気作りの方がよっぽど大事なのではないでしょうか。そこで、出だしや転調する部分の雰囲気を全員で確認しあう、といった作業をほんの少し行った上で、もう一度簡単に通して早めに切り上げました。
心情的には「あの部分はもう少し細かくやりたい」といったところもあるのですが、前日になって細部を調整するのはかえって混乱するように思えたので止めました。これは何事にも共通するのではないかと思います。例えば学生の頃を思い出すと、一夜漬けの試験勉強は別として、一定の準備期間を経て受ける試験の場合、不安のあまり前夜になって細かいところをほじくるのは疲れてしまうだけ、といった経験があります。むしろ、早めに寝て翌日に備えた方がよっぽど結果が良かったりします。私たちの場合もちょっとそんな気がしました。
そしていよいよ本番です。どんな演奏であったか?詳しくは演奏会履歴のページをご覧ください。


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