演奏会だより
新入職員歓迎会での演奏
2004年5月27日(木)
本当に久しぶりの演奏会だよりになりました。活動を再開した様子を、ようやくお伝えすることができそうです。長い休止期間を経ての活動再開、そして演奏の模様はどうであったのかをリポートします。
職場の看護師さんの歓迎会で演奏を依頼されました(注:現在では、看護“婦”ではなく、医師、薬剤師と同様に、看護“師”と呼びます)。これは毎年恒例となっていますが、新たに入職した若い人から、それを迎えるベテランの看護師さんまで幅広い年齢層に楽しんでもらえるためには、どんな曲を選択したらよいのか迷います。しかも、多くの人は音楽に対して、特別な興味を持っていないという点も曲選びには重要視しなくてはいけません。
これまでの経験をふまえ、以下のようなプログラムを組みました。
プログラム
・エーデルワイス
・鉄腕アトム
・なごり雪
・異邦人
・小さな旅
・いい日旅立ち
・イッツ・ア・スモール・ワールド(アンコール)
・ドラえもん(アンコール)
まるで初夏の陽気のようになった5月の末、職場の講堂で行われました。メンバーが急いで会場に駆けつけると、すでに会は始まっていました。乾杯の後、新入職の人たちの挨拶が行われていたようです。メンバーは、講堂の2階で音合わせと、いくつかの曲の出だしの確認をしていたところ、「もういつでもいいですので、お願いします!」と声がかかりました。
1階の講堂に下りると、司会の人が「これから演奏です。皆さん、“静かに”聴きましょう」とアナウンスしていました。拍手を持って迎えられる中、それぞれが着席しました。「久しぶりだから緊張しそうだな」と言っていたメンバーですが、比較的落ち着いて演奏出来ました。
演奏に際しては、いつも団長の大塚が挨拶や曲目紹介を行っています。大塚は普段からユーモア溢れる楽しい性格です。ご存知ない方は、彼の書いた“団員のひとりごと”のページをご覧下さい。一つ一つの言葉にその人柄が滲んでいて、毎度会場の笑いを取っています。他のメンバー達にとって、実はこれは非常にありがたいことなんです。緊張した面持ちで着席した時、大塚の一言で会場に笑いが起こるとメンバーも一緒に笑うことができ、それまでの緊張感が次第に薄れていきます。そんな名司会ぶりにいつも助けられて、落ち着くことができるのです。
最初はおなじみのエーデルワイスです。これは、非常に弾きやすいピースなので、緊張している第一曲目には最適です。難しい部分はなく、全弓を使ってしっかりと音出しできるような曲なので、毎度リハーサルなしでいきなり弾かなくてはならない私達にとっては良い指慣らしとなります。それでいて和声感に溢れる編曲でもあり、喜んでいただけたようです。
ついでメンバーと楽器の紹介を行いました。普段はメンバーの名前だけ紹介しているのですが、今回は「弦楽四重奏とは何なのか?」ということも含めて簡単に解説しました。実は、音楽にあまり興味のない人にとっては「この楽団は4人の職員がたまたま楽器を持って集まっただけ?」と思われがちなのですが、そうではなく「弦楽四重奏は一つの確立された演奏形態である」ということを、是非わかってもらいたくて説明を行いました。こんなときも決して堅苦しくならず、楽しく解説するのも大塚の得意とするところです。そもそも多くの方々が、バイオリン、チェロは知っていても、ビオラなどという楽器は知りません。バイオリンとビオラをそれぞれ掲げ、その大きさを比べながら示したところ、「へーェ!」と理解していただけたようで嬉しかったです(ちょっとした音楽教室気分?)。
さて、編成について理解いただいた後は、2曲目の鉄腕アトムに移ります。今から41年前にテレビ放映が始まったアトムですので、年配の方もご存知の曲です。ストーリーでは昨年(2003年)に誕生日を迎えたらしいですが、その当時の手塚治虫は将来2003年が一体どんな時代になると想像していたのでしょうかね?最近の日本は暗いニュースばかりが目立っていて寂しいですが、それとは反対に元気溢れる曲です。今回はリヴァ−ストンミュージックの既製ピースを使用しましたが、弾きやすい上に演出的に映える編曲となっており、このようなステージにはピッタリでした。
今回は昨年までと違って、司会の人の「静かに聴きましょう」の言葉どおり、会場の方々は“本当に”静かに聴いてくださいました。宴会の席なので、ある程度しゃべったり盛り上がっている人がいてもいいのですが、皆さん、箸も休めてこちらを振り返り聴いていました。とてもありがたく、嬉しいことです。また、今回初めて演奏したこの講堂は特別なホールではありませんが、とても響きが良いようで、安心して演奏できました。
次になごり雪です。前2曲と違って、このような落ち着いた曲は、決して派手な部分はなく微妙なニュアンスを表現しなくてはならないためとても神経を使います。出だしのバイオリンの分散和音を合わせることを心がけながら弾き始めます。テーマを支える伴奏部の縦の線を合わせるのも重要で、ちょっと気を抜くと不安定になります。また、中間部においては、第二バイオリンとビオラがG線でメロディーを取り、音が高くないこともあって十分な響きを持って弾くことが必要です。これまでの経験では、宴会の席でこうした落ち着いた曲を弾くと音が伝わりにくくパッとしないことが多かったのですが、今回は静かに聴いていただけたためか演奏が終わると同時に拍手が沸きホッとしました。
次いで異邦人を演奏しました。大塚が曲目を紹介すると歓声が上がりました。皆さん、こうした歌謡曲にはとても興味を持っているようです。最近リバイバルされ、またCMでもしばしば流れる名曲です。私達も大好きな曲なのですが、実はけっこう難しいのです。「♭」が4つも付いています(←そんなの難しい理由にはならないョ by
外野の声)。また、独特な和声感を出すために第二バイオリンとビオラは重音だらけです(←そんなの難しい理由にならないョ by
外野の声。 いや、難しい! by メンバー達)。特に、出だしの部分は2つのバイオリンがオクターブで旋律を弾くのですが、ここは極めて音が取りにくく練習で最も苦労した部分です。
こういうところは第二バイオリンがしっかりと音を出し、ハイポジションの第一バイオリンは軽くそれに乗るような感じで弾くように意識したところ、何とかクリアーできました。続いてメインテーマの部分に入り、内声部が奏でる軽妙なリズムに乗ってメロディーが歌われます。このメロディーがもう一度繰り返されるところで流れてくる第二バイオリンの対旋律(原曲ではオーボエの音色で奏される極めて東洋的な部分)が魅力的です。次いでビオラのA♭→Aに誘導されつつ、曲は突然にヘ長調に転調します。ここからは全楽器が全弓で大きく波を打つように歌いながら盛り上がり、最後はヘ短調の下降音型にて力強く終わります。大きな拍手をいただけました。
次にNHKで放映されている「小さな旅」のテーマ曲を演奏しました。日本情緒豊かな美しい曲で、以前の病棟演奏において気に入っていただけたので選曲したのですが、今回の参加者に対する反応は今ひとつでした。このようなしっとりとした曲は、静かな病棟で演奏するには向いているのかも知れませんが、大人数の宴会で弾くとなかなか曲の良さが伝わりにくいのでしょうか(あるいは、単に演奏が悪かっただけでしょうか???)。また、若い人にとっては、日曜日の朝に放映されているこの番組を見ることがあまりないので、曲自体を知らないのかもしれません。
あっという間に最後の曲です。山口百恵の「いい日旅立ち」です。これもいい曲ですね。やさしさの中にも力強さを持ち、とにかく旋律と和声が美しいです。今回使用したリヴァーストンミュージックの編曲譜は、かなり四重奏っぽく書かれていますが、原曲の良さは十分に表れています。メロディーは第一バイオリンで開始されますが、後半はさらにチェロ、ビオラ、第二バイオリンと順に移っていきます。個人的な好みとしては、多くのパートにメロディーが移るような編曲はあまり好きではないのですが、このピースはよくできていると思います。一部、D.S.で戻る部分がチェロによるテーマの単なる繰り返し構造になっていて、ここはもう少し全楽器による盛り上がりがあった方が良いように感じるものの、全体を通して演奏する者にとっても楽しく弾くことができました。心を込めて最後の曲を演奏しました。
アンコールとして、いつも御馴染みの2曲を弾いて終了しました。その後は宴会に混ぜてもらってくつろいだ次第です。その席で、「今回はプログラムが良かった!」と複数の人から言われました。なるほど、、、。確かに今回は歌謡曲を中心に一般の方々に受けそうな曲ばかりのプログラムでした。いつもは一曲ぐらいはクラシックっぽい曲を入れてみたり、ムード音楽的なものを弾いたりしていたのですが、当初悩んでいた「皆に好まれる曲」の選択が認めてもらえて弾いた甲斐がありました。
最近、ほとんど「ポピュラー楽団」と化している私達ですが、演奏を依頼される場の特殊性を考えるとこんなプログラムばかりを取り上げる四重奏団があってもいいのだろうなと感じます。この後も、2件の依頼をいただいていますが、その何れもがやはり特殊な場での演奏ですので、ますますクラシックからは遠ざかっていきそうです!?。
半年以上ぶりの演奏でしたが、良い演奏会になったと思います。
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