2000年7月

 前回までの教訓で、”周りをよく聴くこと”を身を持って学習した私たちは、少し進歩した感じでした。このことは合奏をやっていく上で、基本中の基本ですよね。大人になってから楽器を始めた私たちは、理論上というか、頭の中ではよくわかっているつもりです。しかし、身体がついていかない、、、といった感じでしょうか。やっぱり、自分のパートに必死になっているようです。

 ところで、私たちの職場では毎年7月の下旬に”ビアパーティー”なるものが開催されます。かなり大きな会場で、皆でワイワイやります。”団のできるまで”のページでも書いたのですが、昨年のビアパーティーの席で、大塚と新行内がバッハの「二つのバイオリンのための協奏曲(第一楽章)」を余興で演奏したのでした。そこで、、、というわけで今年は弦楽四重奏団のお披露目だ、などと何とも無謀な計画が持ちあがりました。初心者は身分をわきまえず、とかく無謀な計画を立てがちです。夢は大きいのです。でも果たしてうまくいくのでしょうか?それに第一、あと一ヶ月しかないのに間に合うのでしょうか?
 
 しかし、ある意味ではアマチュアの場合、これは大事なことではあるようにも思うのです。つまり、何でもそうだと思うのですが、少し無謀であっても高い望みを抱いたり目標を立てて取り組む方が上達しやすいのではないでしょうか。(しかし、その結果についてはどうなるかは不明ですが。)

 などど、言い訳をつけて、とにかく挑戦することになりました。ところで、曲はどうするの?ということになります。特に理由はないのですが、何となくモーツアルトの「ディベルティメント K136 ニ長調」に決まりました。これまた、何とも無謀な!と皆さん思われるかもしれません。「アイネクライネナハトムジーク」にしようかとも思ったのですが、こちらは少し弾いてみたら結構難しくて、結局「ディベルティメント」となりました。後になって考えれば、ビアパーティーという場ではポピュラー系の曲にしておけば受けも良く、もっと映えたかもしれませんが、当時は弦楽四重奏といえばまずこの2曲が頭に浮かんだのでした。

 いよいよ、練習の始まりです。もうあまり時間がありません。前回までの教訓で、少なくとも自分のパートについてはある程度は理解しておくことを前提としました。もちろん、モーツアルトの曲をきちんと弾くのは相当難しいのですが、最低でも自分の役割はわかっている必要があることを各々が感じていました。するとどうでしょう。第一回目の練習から、比較的合わせることが出来たように思いました。それでも、自分のパートに夢中になってずれてしまう部分もありますが、ほんの少しでも周りに注意を向ける習慣をつけることで、曲作りがだいぶ進歩したように思います。これも、当然といえば当然です。上級者の方から見れば、「何を今さら」という感じだと思いますが、初心者が身を持って習得していく過程はこんなものなのでした。

 少し慣れてくると、細かいところでは全く合っていないことに気付きます。それがどういうところかというと、いろいろとありますが、やっぱり一番目立つのは難しいパッセージが出てくる部分です。おそらくその部分までくると、その前まではそれなりに聴き合って合わせていたのに、突然、周りに注意を向ける余裕がなくなり、必死でそのパッセージを弾こうとして自分の世界に入り込んでしまうためなのでしょう。そして早いパッセージでは夢中で音符を追いかける結果、走ってしまいます。実際にはそんなに早く弾かなくてもいいのに、、、。必要以上に早く弾いてしまうのでした。こんな時、当たり前のことなんですが、少しでもチェロのリズムを聴くようにすればだいぶ合わせられるという事にも気付きました。また、早いパッセージを何とかこなした後は、急に安心するのか、突然遅いテンポになってしまうという現象も見られました。「ディベルティメント」では、チェロは比較的一定のリズムを刻んでいることが多いので、慣れさえすればチェロをしっかり聴けば合わせやすいということも学びました。

 こうして、あっという間に本番を迎えました。今回は第一楽章と第三楽章のみの演奏です。ところで、私たちの仕事はなかなか時間通りに終わらせることが難しく、約束というものができません。ですから、当日、その時間になってみないと実は参加できるかどうかすらわからないのです。初めての演奏ということで、ひじょ〜に不安な私たちは、出来れば本番の直前に一回でも合わせたいところです。しかし、なかなか仕事が終わらず、結局、慌てて会場に駆けつけるという感じになりました。そして、本番。

 本番は、もっとあっという間でした。とても心配された結果ですが、未熟な演奏ではあったとは思いますが、大きな事故もなく最後まで通りました。ビアパーティーですから「細かいところは気にしない!」という雰囲気でもあったので、小さなミスは適当にごまかしました。演奏後、まだ仕事が残っていたので一部の団員はそそくさと職場に戻りました。

 ところで、今回の演奏で弦楽四重奏の一般的知識として疑問を感じた点があります。

疑問点その1
 今回の会場はいわゆる披露宴の会場みたいなところで、じゅうたん張りの大きな部屋です。弦楽器は音が大きくない上に、じゅうたんに音が吸収されてしまうようで聴きづらかったようです。また、人間で会場がいっぱいになると、さらに吸収されてしまうように感じました。そのため、数本のマイクを立てたのですが、結果がどうであったかは不明です。
 そこで、上級者やプロの方に伺いたいのですが、こうした会場で四重奏を演奏するときはどのような工夫をすれば良いのでしょうか?マイクは立てたほうが良いのですか?立てるとすればどのような位置に何本立てるのがよいのでしょうか。アドバイス頂ければ嬉しいです。

疑問点その2
 ふだん私たちは、職場の一室で練習していますが、狭い部屋なので4人がかなりくっついて弾いています。そのため、お互いを見たり聴いたりがやりやすい環境です。今回初めて舞台で演奏し、4人の配置をどうしたら良いのか疑問を持ちました。「クアルテットの教科書」という本には、「四つの譜面台はできるだけ近づけてひとまとめにします」とあります。今回はよくわからず、かなり離れて4人が位置してしまい、他パートの音が非常に聴きづらく苦労しました。正しい配置の仕方はどうなのでしょうか?どなたか、お教え下さい。

 こんな疑問点も感じながら、何とか初めて人前で四重奏を演奏しました。他にも職場のバンドグループがポップス調の曲を演奏し、こちらはとっても上手いのですが、ビアパーティーの雰囲気ともあいまって非常に盛り上がっていました。ビアパーティーに弦楽四重奏っていうのは、あんまり合わない感じがしましたが、でもとても良い経験になりました。
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