演奏会だより
外科病棟での演奏
2003年9月11日(木)
当団にとっては、久しぶりの演奏になります。これで3回目になる外科病棟の演奏です。実はずいぶんと前から依頼を受けていたのですが、メンバーの都合で延び延びになっていました。
前2回の教訓を生かしつつ、更にあまりマンネリ化しないことも念頭に置き、下記のプログラムを用意しました。事前に病棟側からは、SMAPの「世界で一つだけの花」のリクエストが来ていました。
プログラム
・瀬戸の花嫁
・イエスタデー
・亜麻色の髪の乙女
・見上げてごらん夜の星を
・世界に一つだけの花
・やさしく歌って
・関東甲信越小さな旅
・アンコール:知床旅情
これまで病棟の演奏会は過去にやった曲の寄せ集めであることが多かったのですが(←いつも準備が間に合わないため)、今回は瀬戸の花嫁とアンコールの知床旅情以外は全て新しい曲です。このところ、演歌や童謡など少しマンネリ化してきたため、少し毛色の違った曲も取り入れつつプログラムを組みました。
まだまだ残暑が残る暑い日の午後、外科病棟の一番奥の病室で行われました。メンバーは仕事のため、開始時刻直前に慌てふためいて病棟に集合、チューニングだけ行い本番です。病棟演奏ではいつもこうなってしまうのです。できれば一通りリハーサルのように合わせたり、少なくとも指慣らしをする程度の余裕が欲しい所です。これは初心者にとっては少々辛いものがあります。
病室に行ってみると、入院患者さんとその家族の方を中心に約20名程度の方が集まっていました。今回はどういうわけか女性が多かったです。しかし病室に入れる人はその3分の2くらいで、残りの人は入りきれないため廊下に椅子を並べて戸口から覗いていました。
プログラムは、いつものように「瀬戸の花嫁」から始まります。最初の曲ですから多少の緊張はありましたが、繰り返しの後からは自分達のペースに乗ることができました。以前にもお伝えしましたが、この曲は非常に弾きやすく、直前に合わせられない場合はなおさら、“指慣らし”となりプログラムの冒頭に弾くには最適です。これを弾いているうちに、楽器にも会場の雰囲気にも慣れることができます。
2曲目はビートルズの「イエスタデー」です。この曲は年配の患者さんでも知っている方が多いし、クラシック的な一面も持っているので弦楽四重奏で演奏するには良い曲だと思います。分りやすい旋律に加え、和声の進行も魅力的です。この曲は技術的には難しくないのですが、そのせいか、ともすると“ダラダラ”と表情なく弾いてしまいがちなので(←注:私達の場合)、アーティキュレーションやデュナーミクに注意して練習を重ねてきました。この頃には緊張は全くなくなり、練習で検討した部分を表現することができたと思います。
次には「亜麻色の髪の乙女」です。団長の大塚が間違えて「ザ・タイガースの曲で、、、」と紹介してしまったのですが、年配の患者さんが「ヴィレッジ・シンガーズです!」と訂正されていました。そうです。最近リバイバルされたこの曲は、若者にも、そして年配の方にもどちらにも親しんでいただけると考えて選びました。前半は“ヴィレッジ・シンガーズ風”にゆったり目のテンポで歌いますが、後半は一転してポップス調になり“鳥谷ひとみ風”にテンポが上がり、皆さんに楽しんでいただけたようです。
「見上げてごらん夜の星を」も有名な曲ですが、やはり表現するのが難しいように思います。こうしたゆったりと歌う曲は、絶対にごまかすことができず、自分達の技術や音楽性がそのまま表れてしまいます。一つ一つの音符は難しくありませんが、どのように表現するのかという点で、練習では最も試行錯誤した曲でした。例えば、“心を込めてしっかりと弾く部分”や“わりとさらっと流す部分”など、、、これらについて「このように弾くのが正しい!」といった決まりごとは存在しませんが、「それでは実際どのように弾いたらいいのか?」と考えると非常に難しい曲だと思います。自分達なりの解釈ではありますが、当団の色が出るように考えて弾きました。
次は事前に病棟からリクエストのあった「世界で一つだけの花」です。SMAPの曲は、、、どの曲もそうなのですが、“言葉を語りかけるような歌い口”をうまく再現するのが難しいと思います。また伴奏部においても微妙な和声の変化がありますので気を遣います。後半はちょっと慌ててしまい、果たしてどれくらい上手く弾けたかは自信がないのですが、リクエストされていた曲のためか一番大きな拍手をいただきました。
「やさしく歌って」はネスカフェのCMでよく知られたしっとりとした名曲です。原曲を知っている人は、特に年配者では少ないと思いますが、どなたでもCMで流れるメロディーは絶対に耳にしたことがあると思いますし、原曲自体は大変美しいため楽しんでいただけました。
そして最後の曲、「関東甲信越小さな旅」となりました。この曲は、一度聞いたら忘れられないような素朴で魅力的なメロディーとハーモニーを持っています。私達自身も弾いている中で曲の良さが実感できました(←ただし、ちゃんと弾けたかどうかは別問題)。心を込めて弾けば弾くほど、曲の美しさが表現できそうです(←と勝手に思っている)。参加者からは「癒しの曲ですね」と言われましたが、確かに心が和む名曲だと思います。途中でメロディーと伴奏部が1拍ずれてしまい、ちょっとヒヤヒヤしたのですが何とか持ち直して弾くことができました。
こうして一通りのプログラムが終了。どの曲でも、皆さん体を動かしながら聴いてくださり、“一応”満足いただけたかな?という手応えでした。
演奏してみて、自分達が感じたこととして
@今回は直ぐに会場にも慣れて、ほとんど緊張せずに弾けた。これについては理由は不明ですが、会場の雰囲気も良かったし、自分達もだんだんと演奏会の開催に慣れてきたこともあるかもしれません。
Aこのところの練習では“合わせる”という点を意識してきました。それにより“ストリング・カルテット”の音色、ひいては“当団の音色”といったものを少しでも感じることができるようになってきた。
というようなことが挙げられると思います。
立派な演奏とは言えませんが、私達なりの魅力を少しでもお伝えできたかなと感じました。
最後に病棟演奏ではいつも人気がある「知床旅情」をアンコールとして弾きました。外科病棟に限らず、患者さんはこうした雰囲気の曲がお好きなようです。最後に改めて大きな拍手をいただき全てを終了しました。ある女性から「こんな演奏会に参加できて、今回入院してラッキーでした」とのお言葉をいただきました。入院しないですめばその方がいいに決まっていますが、それでも入院しなくてはならないこともあるでしょう。そんな時、私達の演奏が少しでも皆様の心の安らぎとなれば本当に嬉しいです。
おまけ
なんと、演奏終了後に女性患者さん達から「一緒に記念撮影してほしい」との要望が!??、、、。こんなことは、これまでいろいろな場での演奏を行ってきて初めての経験です(ドキドキ!)。メンバーはほとんど芸能人?(←勝手に言ってろ!)のように5人の女性と写真を撮ることになりました。その写真は、是非とも皆様にも見ていただきたいところですが、患者さんのプライバシーがあるので控えさせていただきます。こうして声をかけていただけるのもまた大変有難いことです。皆さん、ありがとうございました。

病室での演奏では、このような形にベッドを
寄せて場所を作り演奏しています
ベッドにはそれぞれ患者さんが座っています
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