2002年11月 その2

赤ちゃん同窓会での演奏も無事に終わりました。次は、恒例のクリスマスコンサートへの出演依頼があるのですが、このところメンバーが当直などで定期的な練習の都合がつかずにいます。

ところで、皆さんの中には、他のオケなどにエキストラとして呼ばれて弾く方もいらっしゃることと思います。どこのアマオケでも弦楽器奏者は少ないことが多く、上手な人はあちこちから声がかかるようです。人数の少ない団体では、かなりの部分をエキストラに依存しているケースも見かけます。

そこで質問ですが、四重奏団での“エキストラ”というのはあるのでしょうか?実際、プロの四重奏団の演奏予定を見ていると、「この日は、都合によりチェロは○○○○になります」といったメンバーの変更があったりします。実際、メンバーの都合によって、このようなことはあり得るだろうと思います。

今回の赤ちゃん同窓会では、第一バイオリンの新行内が都合で参加できなかったため、急遽、別の職員に依頼しました。言ってみれば「エキストラをお願いした」ということになります。今回第一バイオリンの代役を依頼した職員は、4歳からバイオリンを始め技術的には非常に上手いです。彼に導かれるように、他の3人の団員も楽しく演奏し、何とか演奏会を乗り切ることができました。

ところで、今回初めて彼と合奏した時、呼吸を合わせるのが普段とかなり違うことに気付きました。彼は、オケや合奏団での経験も豊富で、他と合わせていく術も十分に持ち合わせています。しかし私たち3人が最初は上手く合わせることができなかったのは、私たちにとっては、これまで3年近く一緒にやってきたメンバーと違う顔ぶれになったからかも知れません。

一般に、弦楽四重奏は固定したメンバーで長い年月をかけて作り上げていくものと言われます。海外では弦楽四重奏のみを仕事とする団が少なくありません。また、コンクールに向けて四重奏だけに専念できるように援助を受けるケースもあると聞きます。プロの団では、最高の音楽を作るためには当然のことなのかも知れません。

有名なスメタナ弦楽四重奏団のメンバーの話を引用します(クァルテットのすべて:音楽之友社)。
「4人が数多く、できれば連日顔を合わせて練習することも望まれる。数多く集まっていると趣味や好みが一致してきたりして、例えばベートーヴェンのこの小節のsf はどうしたらよいのか、といった好みも一致してきたりする。」

私たちはプロではないし、第一、連日合わせるなんてことはもちろんなく、忙しい時は一ヶ月に一度すら集まることが出来ないこともあります。それでも結成以来3年近く経過すると、各メンバーの好みというか“癖”のようなものをそれぞれが感じるようになってきたのは事実だと思うのです。

例えば、「あの部分は、第一バイオリンはこう来るだろう!」などと想像できたりして、実際にいちいち口で説明しなくても自分たちなりに慣れた方法で合わせていると思います。“新しいフレーズの入り方”や、“リタルダンドの仕方”、“内声部の動き方”などもまた、これまでの各人の癖を掴んで何となくお互いに意思疎通を図っていると思います。そのため、4人のうち一人でも欠けると成り立たないし、上手な人が新たに加わったとしても、直ぐに合わせるのが難しいのではないでしょうか。

さらに、“音色”に関しても同様のことが言えるようにも感じました。私たちは、まだ音色について議論できるほどのレベルにはないかも知れないのですが、それでも、“いつものメンバーで弾いた時の音色”と“今回エキストラの人と弾いた音色”とでは明らかに違っていました。第一バイオリン以外の3人のメンバーは変わっていないのに、かなり音色が違ったのが印象的でした。

今回は、何回か練習するうちに徐々に合わせられるようになっていきました。考え方を変えれば、上手なエキストラと合奏することにより、他の3人のメンバーは多くのことを感じたり考えさせられ、良い経験になったとも思います。むしろ、時にはこうして第三者に入ってもらって普段気付かないようなことも学んでいくべきなのかも知れないとも思いました。
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