追加2002/7/13        ベルへのBBCインタビュー

 「死後の世界を突きとめた量子力学」(コンノ・ケンイチ著、徳間書店)に「ベルの不等式」で有名な物理学者ジョン・ベル
へのインタビューが載っています。
 ベルは相対性理論を否定する発言を行っているのですが、EPRパラドックスとアスペの実験を絡めての興味深い内容と
なっていますので、紹介します。

「死後の世界を突きとめた量子力学」p.143〜146

「ジョン・ベル」へのBBCインタビュー

 量子力学における最近の問題に対するラジオ・ドキュメンタリーがイギリスBBCラジオで企画され、ラジオ・プロデューサーの
J・R・ブラウンがジョン・ベルや他の著名な科学者たち数人にインタビューを行っている。
以下は、邦訳された「量子と混沌」(地人選書)からの一部抜粋である。

ブラウン ベルの不等式は、私の理解しているところでは、二つの仮定から出発しています。一つは、いわゆる客観的実在と
いわれるもので、つまり、我々の観測には依存しない外的世界の実在です。もう一つは、局所性または非分離可能性、いい換
えれば光より速くなり得ない信号です。さてアスペの実験は、この二つのうち一つを取り去らなければならないことを示している
ようです。二つのうちのどちらを頼りにしますか?

ベル さあ、実際のところ私にはわからないのです。私にとって、それは、解答をハイと出せるようなものではないのです。私に
とってそれはジレンマです。それは深いジレンマだと思いますが、それを解くのは容易ではありません。おそらく、我々のものの
見方をかなり変えないといけないでしょう。しかし、安易な解決法は、相対論をアインシュタイン以前に戻すようなことです。
ローレンツやポアンカレのような人々は、エーテル、つまり、基準座標系があると思ってました。そこで、我々の測定器は運動
によってひずむわけですが、そのひずみ方はエーテルの中の運動を検出できないように起こるのです。さて、そんなふうにし
て、基準座標系があると想像できるわけですが、この基準座標系内では、物は光より速く動くのです。しかし、他の座標系で
は、光より速く動くばかりか、時間も逆行する、つまり、光学幻覚が起こるのです。(中略)
 教科書ではあまり強調されないことですが、私の意見では、アインシュタイン以前の、ローレンツやポアンカレ、ラーマーや
フィッツジェラルドらの立場は首尾一貫しており、相対論と矛盾しておりません。エーテルがあるという考え方や、フィッツジェラ
ルド短縮やラーマーの遅延、その結果、器具がエーテルに対する運動を検出できないこと------これらは完全に一貫した見
方です。

ブラウン で、それはエレガントでないというので捨てられたのではないんですか?

ベル いえ、哲学的でないというんです。つまり、観測できないものは存在しないという哲学です。
そしてまた、単純ではないからです。アインシュタインの発見は、エーテルという考え方をとってしまうと、理論はもっとエレガント
で単純になるということでした。私の考えでは、エーテルの考え方は、教育的道具として学生に教えるべきものだと思います。
というのは、たくさんの問題がエーテルの存在を考えることにより簡単に解けることがわかります。しかし、それは今は別問題で
すが、私がエーテルの考え方に戻りたい理由は、EPRの実験で、その幕の後ろで何かが光より速く伝わっているからです。
さて、もしすべてのローレンツ座標が等価であるなら、それは時間が逆行できることを意味します。

ブラウン そう、そしてそれが大問題なのですが?

ベル そうなればたくさんの問題が出てきます。因果律のパラドックスとかですね。だからこれをきっちりと避けるには、エーテ
ルの中で定義される本当の因果の順序というものがある、と私はいいたいのです。そこでの謎は、これはローレンツやポアン
カレにもあったことですが、このエーテルは観測に現れてこないことなのです。それはまるで共同謀議のようなもので、場に
現われることを許されない何かが幕の後ろで進行しているかようです。それは非常に不快であることは認めます。

ブラウン アインシュタインも葬り去られるわけですね!

ベル 確かにそうです。皮肉なことですが、彼の相対論こそがまさに、量子論の解釈について困難を作り出しているのです
(それが量子力学についてのアインシュタインの非慣例的見方の本質なのです)。


 (73〜76ページ傍点は筆者)
 杉岡註:傍点が書けませんので、上では赤文字に代えさせて頂きました。


 最先端の物理学者は、ようやく相対論の欺瞞に気付きはじめたようです。
 それにしても、一旦信じ込んでしまった考えから、抜け出ることがいかにたいへんか!このインタビューからわかろうという
ものです。
 「光速を超えると因果律が破れる!」という相対論の主張がじつは大嘘であることに、世界の科学者が気付きはじめ
ました。
 相対論の呪縛から解き放たれることこそが、現代物理学にとって最も大切なことです。相対性理論はまもなく確実に葬り
去られます。

 しかし日本の場合は・・・・
日本の科学者、マスコミは相も変わらず「擬似科学だ!トンデモだ!」と当分の間叫びつづけるでしょう。
そして、またしても世界の先端から遅れてしまうのでしょう。
やれやれ。




追加2002/7/23        リンドリーの相対性理論に対する見解

 空間物理研究家のコンノ・ケンイチ氏は、「科学をダメにした7つの欺瞞」(徳間書店)の中で、著名な科学ジャーナリスト
D・リンドリーの相対論に対する見解を紹介されています。
 それは、上記ベルの意見とも関連する興味深いものとなっているのですが、量子論方面から相対性理論の誤りを研究さ
れている方には、非常に有益な意見と思いますので、コンノ氏の文章も含めて紹介します。

「科学をダメにした7つの欺瞞」p.41〜43
・・・
 アインシュタイン特殊相対性理論は「瞬間的な伝達」、いわゆる光速を超える現象の存在は絶対に禁じている。しかし
1982年、アインシュタイン信奉者を心底から震撼させる実験結果が公表された。
 アラン・アスペクト(Alain Aspect)が率いるパリ大学の研究グループが「ベルの定理」に基づく実験を行い、アインシュタイ
ンの主張した「隠れた変数」という考え方が完全に誤っていることが証明された。そこでは素粒子間における情報の交換
が、瞬時(超光速)に行われていることが明確に検出されたのである。
 この実験結果について、D・リンドリーは次のように述べている。

 「(アインシュタイン特殊相対性理論の基本ルールでは)原因がその影響を伝える速さは光の速さでしかない。瞬間的に
伝わることは絶対に禁じられている。(中略)量子力学はその基礎を完全に崩してしまった。」(126ページ)

 「この姿勢は、量子力学と相対論が基本的なところで両立しないということを物理学者たちは完璧に知っているという点
で、なおいっそう奇妙になる。(中略)
 この点で、相対論は欠陥があり、量子論によってしかるべきところへ引き上げられなければならないということは一般に
認められている」(137ページ)

 「相対論と量子力学の間の矛盾は、今日の基礎物理での大問題をなしており、「究極の理論」を求める動機の根源とも
なっているが、大方の姿勢は、量子の不確定性をすべての面で考慮に入れるためには、一般相対論にも手を加えなけれ
ばならないというものだ。気味の悪い遠隔作用(コンノ註、アスペクトの実験による光速を超える瞬間的な情報交換)を除
去するために量子力学の一部を変えるという考え方は、量子力学の標準解釈の命ずるところによって、禁止を宣言されて
いる。表面の下を探るような問いは明確に禁じている命令である。測定されるものだけがあるというわけだ」(138ページ)

 D・リンドリーは「量子力学と相対論が、基本的なところで両立しないということを物理学者たちは完璧に知っている」と控
え目な表現をしているが、これは一方(量子論)が正しければ、も一方(アインシュタイン理論)は完全に間違っていたとい
っているのである。
 同業者に対する心遣いはどこの国でも同じのようだが、すでに勝敗の帰趨を欧米の物理学者たちは完璧に知っている
のだ。知らぬは、どこかの国の科学者だけらしい。

(杉岡註1:D・リンドリー引用文後のページ番号は、リンドリーの著書「物理学の果て」のページのこと。また、傍点が書けませんので、
上では赤文字に代えました。)



 私はこれまで相対論の誤りを、量子論とは全く別の観点から指摘してきましたが、量子力学方面からも、相対性理論はも
はや瀕死の状態なのです。
 欧米の科学者はすでに気付いています。
知らぬはどこかの国の・・・





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