ポリオワクチンについて

ポリオ・ポリオワクチン関連のリンク (ご参考)

【重要】2012年9月1日より、定期接種は経口生ポリオワクチンから、不活化ポリオワクチンに切り換りました。皆様のご協力に感謝申し上げます。
 なお、経口生ポリオワクチンのウイルスの感染により、麻痺を発症した被害者の発見と救済は、まだ終わっておりません。

 厚生労働省厚生科学審議会感染症分科会感染症部会:第4回ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会(2002年11月12日) 出席報告

 当事者団体として意見陳述しました。医療・福祉においてのポリオへの理解の無さや、ポリオによる障害者数が10年間で1万2000人増えていることに驚きの反応があり、また、ワクチン二次感染者に対応しようという支援のお申し出もいただくなど、大変ありがたい励ましをいただきました。

[2010年4月6日] メモ
厚生労働省のWEBサイトから、「ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会」の資料が削除されました。同委員会の資料へのリンクは、WAM NETに変更しました。
[2010年5月15日] お知らせ:(意見陳情から8年経過して)
ポリオの会は、このたび、現行のポリオ生ワクチンを不活化ワクチンに一日も早く切 り替えるよう、署名活動を行いました。
[2012年9月1日] おしらせ:
2012年9月1日より、定期接種は経口生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンに変更になります。
[2015年9月25日]お知らせ: New
国立感染症研究所など、一部の外部ページがリンク切れになっていたのを修正しました。
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ポリオ生ワクチンの不活化ワクチンへの切り替えを早急に実施してください
(平成14年11月12日 ポリオ及び麻しん予防接種に関する検討小委員会)

 東京を中心に活動しているポリオ患者団体「ポリオの会」責任者の小山万里子です。ポリオ患者の会は全国で現在8団体あり、互いの連絡と全国的活動のため、全国ポリオ会連絡会を2001年に結成いたしました。今回、ポリオワクチンを生ワクチンから不活化ワクチンに切り替えることへの意見を、ということで、見解を述べさせていただきます。

医療、福祉現場にポリオの知識を

■ 現在のポリオ患者の状況

 その前に、現在ポリオによる障害者数は増え続けていることを指摘いたします。障害者白書では平成3年調査で脊髄性小児麻痺つまりポリオに由来する障害者数が4万3000人でしたが、平成8年に4万7000人、平成13年に5万5000人と増えております。本来新たな患者の発生がみられなければ、ポリオによる障害者数は自然減のはずなのが実際はこの10年の間に1万2000人も増えていることを留意していただきたいのです。ポリオによる障害児数は平成3年に1000人、平成8年に700人、平成13年に200人です。この数字からも、ポリオによる障害者数の増加は新たな発病者によるものではなく、障害の重度化による障害者手帳取得者の増加が考えられます。この点については、二次障害の問題として後ほど述べます。

■ 医療サイドの、ポリオへの無理解の現状

 しかも、この間、障害者手帳申請のため、ポリオによる障害という診断書を福祉課に提出すると小児麻痺は脳性まひだとして処理される例が何件もあることは、如何にポリオが医療、福祉現場で忘れられた病気であるかを物語っています。このことにもご注目いただきたいのです。実際、もはや、ポリオを現場で診察した、ポリオ患者を目にした医療関係者は極めて少なく、ポリオという病気への知識もほとんど無いか、誤ったものになっています。

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免疫獲得率の低い世代に、注意喚起と不活化ワクチンの投与を

■ 不活化ワクチン切り替えへの賛同

 このたび資料を読んで気がついたのは、いわゆる先進国での不活化ワクチン切り替えが行なわれていない国は日本だけであるということです。50年前にノルウェーやスウェーデンでは不活化ワクチンが採用されています。早急に日本でも切り替えを御願いいたします。生ワクチンは大流行時の緊急避難的な使用には爆発的効果を発揮していますが、100万人か200万人に1人ということですがワクチン由来発症者が出ます。

■ ワクチン感染者の問題点

 これに加えてまた、二次感染の危険は、昭和50,51年頃の生ワクチンによる免疫獲得率の低い世代が親となる今現在、きわめて差し迫った危険性を持っています。これについて、厚生労働省はHPなどで再接種を呼びかけておいでですが、子供への投与を通知するときや、また、母子手帳交付の際に、など、繰り返し注意を喚起し、衆知徹底する必要があります。この再接種にはぜひとも不活化ワクチンの投与を御願いしたく、費用の助成も考えていただきたいものです。ポリオという病気は小児麻痺とも呼ばれたため、子供にしか罹らないから大丈夫だなどの誤解もあり、また、ワクチン投与を受けているのに免疫が無いということは本人には分かりません。出来れば、この世代に不活化ワクチンの投与を全面的に実施していただきたいのです。
 実際、子供のワクチン投与から20日ほどして力が抜けて動けないがどうしたらよいかとか、医者にワクチンで感染したのだろうかとたずねたら、子供のワクチンで感染するはずが無いといわれてどうしようもない、といった問い合わせがあります。とりあえず、私どもは予防接種リサーチセンターに相談するよう答えていますが、ポリオワクチンによる二次感染への公的な対応窓口を、きちんと設けていただく必要があります。受け入れる、相談できる医療機関もなしに乳児を抱えて麻痺が出てきているのではという不安と恐怖にいる方の状況をご想像いただけませんか。

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ワクチン感染者に・医療面での継続的な対処を

 ワクチン感染者が、私どものポリオの会に3人参加しています。30代の方、20代はじめの方、中学生です。親御さんは、子供のためを思って飲ませたワクチンでと、飲ませなければこうはならなかったと自分を責めています。
 生ワクチン投与ではワクチン由来の発病者は避けられないということです。統計上の発病数が100万人に1人でも10万人に1人でも、発病する本人にとっては、まさしく自分の発病なのです。そして発症数が少ないことが、当人にとっては悲惨となり得ます。なぜなら、周りには誰もそんな病気を知る人も無く理解も得られない状況で生きることを余儀なくされるからのです。

■ 私たちの活動

 流行期に発病している私たちは数も多く、発病時に対処を受けてきましたが、最初に申し上げたように近年、ポリオによる障害者の数が増えています。いわゆるポリオの二次障害、ポストポリオ症候群を発症する人が数多いということが言えるでしょう。
私自身もその一人です。しかし、ポリオ自体を知っている、診察できる医療関係者が少なく、患者団体として、論文集を刊行したりアメリカやイギリスなどから資料を取り寄せて翻訳出版するなどして働きかけていますが、なかなか理解が得られません。ポストポリオ症候群への対策はポリオ患者の高齢化に伴い、いっそう急ぐ必要があります。ぜひとも公的な取り組みを御願いしたく存じます。しかし、数が多い、5万5000人の障害者が平成13年現在いるということで、互いに情報交換も出来、医療機関への働きかけも可能です。ポリオに関係の無い病気の際にも、ポリオ患者は特別な対処が必要とアメリカでは認められていますが、それらの知識も共有を図っています。

■ この私たちの活動をワクチン感染者に活かすようにしてください

 今後とも費用対効果を重視し、生ワクチン接種を続けることで、毎年日本中で4、5人ほどのワクチン由来のポリオ患者が出るとしたらどうでしょう。その人たちに適切な治療を施し、二次障害も含めて対応してくれる医療機関は確保されているでしょうか。その場合、責任を持ってずっと対処してくれる態勢を国は持っているでしょうか。金銭面は言わずもがなですが、医療面での継続的な対処をきちんとできることが補償としては重要です。そのためにも私たち流行期発病者のデータを保存してワクチン由来ポリオ発症者の最後の一人となった人のために役立てるように、ぜひ、していただきたい。これは国の責務ではありませんか。

■ 結論として

 また、近年、中米などで生ワクチンに使用されたウイルスが強毒化したことによるポリオの流行がありました。この危険は常に存在するのではないでしょうか。とりわけ、地球規模の人口移動の見られる現在ではどのような形でのウイルスの変異が出現するかもしれません。危険は常にあります。アジア太平洋地域でのポリオ根絶宣言が出された今をきっかけに、WHOとユニセフに、ぜひ日本政府から、不活化ワクチンへの全世界的な切り替えを働きかけていただきたい。
 ワクチン投与を続けることでの免疫獲得と費用対効果の重視を越えて、思わぬウイルスの叛乱とただ一人でも不幸な症例を防ぐことへの方針転換は、国民を大切にする真の文化国家のありかたといえるのではないでしょうか。

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ポリオ・ポリオワクチン関連のリンク (ご参考)

  • 平成20年3月の参議院におけるポリオ生ワクチン質疑
    予防接種健康被害認定審査会において生ポリオワクチン接種後に麻痺を発症したと認定された事例は、平成元年度以降80件であり、また、同審査会において生ポリオワクチンを接種された者からの二次感染と認定された事例は、平成16年度以降5件である。
  • 米国CDCのポリオワクチンステートメント 2000年1月1日と日本語訳
     米国CDC(米国疾病予防管理センター)では、2000年1月1日から、もはや生ワクチンは推奨していません。もし、医師が生ワクチン(OPV)を処方しようとした場合は、このステートメントを見せて、不活化ワクチン(IPV)を使うように、頼みなさいとまで記載されています。
  • WHO WEEKLY EPIDEMIOLOGICAL RECORD, NO. 39, 24 SEPTEMBER 2004
    WHOでは、生ポリオワクチン(OPV)を使った場合、新生児100万人あたり、2から4人の、ポリオワクチン由来の麻痺患者(VAPP)が発生するとレポートしています。ポリオが根絶した地域でOPVを使い続けることは、野生株や実験室でのウイルスからの脅威よりリスクが高く、不活化ワクチンか、不活化ワクチンと生ワクチンの組み合わせに変更すべきです。
  • 世界各国と地域のポリオワクチン切り替え状況 (2010年2月現在 ポリオの会まとめ[2010年9月更新])
    世界地図

    ご参考)WHO等の世界ポリオ根絶計画では、2016年より全世界で不活化ポリオワクチンを導入し、2018-2019年には生ワクチンの完全廃止を計画しています。(The Global Polio Eradication Initiative

  • ワクチン産業ビジョン推進委員会ワーキンググループ 検討とりまとめ (厚生労働省)
    • 第2会WGに置ける議論 (Page 4) ポリオ
      1980 年以降日本では野生株の患者発生はないが、年に1名か2名ワクチン由来の麻痺症状患者が発生。これを防ぐためにも、不活化ポリオワクチンを導入すべきとされている。現在DPTワクチンと混合化させた4種混合ワクチンの開発が進められており、定期接種で用いるワクチンとして期待されている。
    • 第4会WGにおける議論 (Page 13) DPT-IPV 4種混合ワクチン
      このワクチンも早期開発が求められながら、開発見通しが不透明で、ポリオ対策が立てられない。
      注)DPT-IPVとは、三種混合に不活化ポリオワクチンを加えた4種混合ワクチンのこと。
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