さよならジュピター 東宝 1984年 130分 |
この映画を初めて観た時、私は赤塚不二夫のこんなエピソードを思い出した。 物語は複雑怪奇で説明に窮するが、要するに、火星で「ナスカの地上絵」が発見される宇宙古代史物語と、木星を太陽化して宇宙ステーションのエネルギー源にしようとする宇宙開拓物語と、全長120キロに及ぶ「ジュピター・ゴースト」の謎を追う宇宙神秘物語と、巨大なブラックホールが太陽系を直撃する宇宙パニック物語とが複雑に絡み合い、これに「ロミオとジュリエット」が加わる、という分裂症気味の内容である。 失笑を誘うのは、特に「ロミオとジュリエット」の部分である。 |
ところで、このジュピター教団、どういう団体かというと、要するに単なるヒッピーなのである。自然主義者であり、人為に基づく宇宙の変革の一切を認めない。教祖はピーターという歌手で、これがまたハナ肇の「アッと驚くタメゴロー」みたいなベタな風体。 「君はとても大きくて、 作詞は本作の製作者にして原作脚本担当者、つまり最高責任者である小松左京御本人。恥ずかしいなあ。恥ずかしいけど、アマノジャクな私はこの歌が大好きだ。 で、地球をブラックホールから守ろうとするロミオ=三浦友和と、木星を守ろうとするジュリエット=マリアが、ジュピター教団のテロが相次ぐ中で共に討ち死に。宇宙の藻屑と消えて、観客が釈然としないままに映画は終わる。 |