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ヴァイラス
GHOST IN THE MACHINE

米 1993年 96分
監督 レイチェル・タラレイ
脚本 ウィリアム・デイヴィス
   ウィリアム・オズボーン
出演 カレン・アレン
   クリス・マルケイ
   テッド・マルクス


 同じタイトルの映画が複数存在するということはややこしいのだ。やめたらいいのだ。タイホなのだ。
 ワシも昔、二つの『フランケンシュタインの逆襲』の区別がつかなかったのだ。一つはピーター・カッシングとクリストファー・リーが共演した正当派なのだ。ハマー映画の記念すべき怪奇映画第1作なのだ。ところが、もう1本は宇宙人が出て来る支離滅裂なSFなのだ。ワシは同じタイトルの映画が二つもあるとは知らないから、二つが合体してしまって、
「なんかヘンなのだ。なんかへんなのだ」。
 と途方に暮れてしまったのだ。

 最近の例でいえば『TATARI』がそうなのだ。ワシはてっきり『山荘綺譚』の映画化の、ロバート・ワイズ監督の『たたり』のリメイクだと思ってしまったのだ。しかし、見ているとどうも様子が違うのだ。ヴィンセント・プライスもどきのおっさんが出て来たので、
「なんかヘンなのだ。なんかへんなのだ」。
 と途方に暮れてしまったのだ。
 ハジメちゃんが教えてくれたが、これはウィリアム・キャッスル監督の『地獄へつづく部屋』のリメイクだったのだ。

 この『ヴァイラス』も二つあるのだ。だけど、ワシは順番に見たので、これは間違えなかったのだ。
 最初はこっちの方なのだ。殺人鬼が死んだ後、インターネットに住み着いて、いろいろと悪さをする話なのだ。原題は「ゴースト・イン・ザ・マシーン」。ママの好きなポリスのアルバムと同じなのだ。
 もう一つは、難破船に「電気のような宇宙の人」がやって来て、いろいろと悪さをする話なのだ。これは原題も「ヴァイラス」なのだ。
 ハジメちゃんが教えてくれたが、「ヴァイラス」とは「ウィルス」のことなのだ。「ヴァイラス」が正しい発音なのだ。「ヴァギナ」の正しい発音が「ヴァジャイナ」のようなものなのだ。

 ワシもバカボンも、こっちの『ヴァイラス』の方が面白いと思ったのだ。瀕死の殺人鬼をMRIで検査中に落雷し、
「MRIが採取した脳のデータを雷がネットに飛ばした」。
 と説明されるのであるが、MRIとは「人体を輪切りで見るスキャナー」に過ぎないのだ。その内容までもデータ化するものではないのだ。だから、その人格までもがネットに飛ばされる筈がないのだ。そんなこと、ハジメに訊かなくても判るのだ。
 しかも、この殺人鬼はインターネットだけでなく、電気コードも行き来して、電子レンジや食器洗浄器、トイレの乾燥器も操って、どんどこ人を殺すのだ。こんなこと、出来る筈がないことはワシやバカボンでも判るのだ。
 だけど、だからこそ、この映画は面白いのだ。
 ハジメやママは「非科学的だ」とうるさいけれど、ワシはとっても面白かったのだ。
 これでいいのだ。


備考

 今回、どうして私(岸田)がバカボンのパパと化したのか、まったく記憶にない。謎だ。


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