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インフェルノ
INFERNO

米=伊 1980年 107分
監督 ダリオ・アルジェント
音楽 キース・エマーソン
出演 リー・マクロスキー
   アイリーン・ミラクル
   アリダ・ヴァリ
   サッシャ・ピトエフ
   ダリア・ニコロディ
   エレオノラ・ジョルジ
   ヴェロニカ・ラザール


 足の悪い老人が猫をセントラルパークの池に投げ込んでは殺している。すると、池に住みつくドブ鼠の大群が老人を襲って池へと引きずり込む。助けを呼ぶと、近所のホットドッグ屋の親父が聞きつけて、包丁片手に駆けつける。ああ、助かったと思いきや、親父は包丁で老人の首を切断する.....。(左写真)
 この場面、映画のストーリーとはまったく関係がない。ホットドッグ屋の親父はこの場面にしか出てこない。こんな意味不明な殺人が累積されて、意味不明な物語が構成される。最後まで見ても、いったい何を見たのか判らない。しかし、華麗なる色彩と音楽に騙されて、何か大したものを見た気になる。『インフェルノ』とはそんな映画だ。『サスペリア』で世界的に成功したダリオ・アルジェントがアメリカ資本で撮った作品だが、見事に馬脚を露してイタリアに帰って行った(註1)。

 物語は極めて不可解である。或る女性が『三人の母』という古書を手に入れる。これは或る建築家の日記という体裁で、彼は「三人の母=魔女」に依頼され、ローマとニューヨークとフライスブルグに館を建てた(註2)。後になって彼女たちの目的が世界滅亡であることを知る。彼女たちはこの館に忌わしい秘密を隠した。その秘密を知る鍵は.....。
 といった感じで極めて大袈裟に始まるこの映画は、この館(在ニューヨーク)と「三人の母」を巡るミステリーとして展開するのであるが、関係者が次々と殺されていくだけで(主人公だと思った冒頭の女性も早々に死んでしまう)、謎は一向に解明されない。冒頭の女性の弟がようやく鍵を見つけて秘密の部屋に侵入すると、そこには「三人の母」の一人がいて「私は死神ッ」とか叫んで、ベタベタな死神姿
(ガイコツにケープ)に変身する。途端に火事で天井が抜けて館は全焼。結局、謎が判らないまま終わる(註3)。
 いったい何だったんだ、この映画は?。
 何度観てもさっぱり判らない。
 判らないが、アルジェントだから、これでいいのだ。

註1 これはちょっと云い過ぎ。製作配給の20世紀フォックス側が「なんじゃこりゃ?」と思ったのは本当だが、不幸なことにちょうどその頃、フォックスで経営を巡るゴタゴタが起こり、そのためにお蔵入りしかけたのである。これに懲りたアルジェントは、二度とハリウッドでは仕事をしないと誓ったという。

註2 『サスペリア』はフライスブルグの魔女の話なので、本作は実は『サスペリア』の続編なのである。

註3 謎の答えは「三人の母は死神だった」ということなのかも知れないが、それは薄々判っていたので、謎というほどのものでもない。


関連人物

ダリオ・アルジェント(DARIO ARGENTO)


 

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