『ジョーズ』とそっくりな構図のポスターに姉妹編かと思ったが、さにあらず。まったく関係ない便乗映画であった。物語もそっくりで、ここまでそっくりにマネをしたウィリアム・ガードラー監督の臆面のなさに舌を巻いたものだ(註1)。最近DVD化されたので、これを機会に再確認したのだが、『ジョーズ』が如何によく出来ているかがよく判った。
試みに『ジョーズ』との類似点を列挙してみよう。
01 舞台は観光地(海水浴場/森林公園)。
02 最初の犠牲者は女性。
03 人食い動物(サメ/クマ)の出現を隠蔽したいエライさん。
04 大人数で狩りに出掛けてお祭り騒ぎに。
05 人食い動物(サメ/クマ)がおそろしくデカいものであることが判明する。
06 それでも観光地(海水浴場/森林公園)を閉鎖したくないエライさん。
07 そうこうするうちに子供が殺される。
08 反省するエライさん。
09 人食い動物(サメ/クマ)退治に出掛ける3人組。
(警察署長+学者+鮫ハンター/森林警備隊長+学者+ヘリのパイロット)
10 夜中に昔の人食いばなしで盛り上がる。
11 オトリで誘き出すも、不意をつかれて乗り物(船/ヘリ)をやられる。
12 爆発させて(ボンベ/バズーカー)退治する。
まったく判で押したかのようにそっくりである。
私が特に呆れたのは10の部分。『ジョーズ』では、それまで仲違いばかりしていた3人が、この話を切っ掛けにサメ退治に向けて一つになる。そんな名シーンだったのだが、『グリズリー』の3人は最初から仲良しで、ただ人食いばなしをするだけなのだ。この映画の脚本家は『ジョーズ』の上辺だけしかなぞっていないのである。酷いもんである。
ただ、たった1点だけ『ジョーズ』とは異なる場面がある。『ジョーズ』では学者は死なないが『グリズリー』では学者は死ぬ。グリズリーに襲われて、死んだフリをしていたところ、見すかされて食べられてしまうのである。
オリジナルなのは本当にここだけだったのには驚いた。
註1 ガードラーは雇われ監督なので、彼には罪はないのかも知れない。
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